日記から:平成廿三年から平成廿四年へ

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余の日記壺齋日録より平成廿三年末より平成廿四年始にかけての一週間の記事をここに再掲せんと欲す。

 十二月廿八日(水)晴。この日はいはゆる御用納めの日にして、荊婦も信人もそれぞれ勤め先の納めの行事に参加しをりしやうなれど、用済みとなり隠居を決め込む翁には何らの感慨もなし。午前ウッドデッキの塗装の続きをなす。昨日の仕事ぶりに手抜きありと荊婦より指摘せられしが故なり。午下長津川。午後執筆。

 十二月廿九日(木)晴。午下長津川。帰宅後うどん汁を手づから作りて食ふ。食ひながら、傍らの炬燵にもぐる荊婦と雑談す。荊婦いふ、これより妾は外出すべし、夕食も済ませてくる所存故、あなたは適当に食べなさいと。余うどんを食ひながらいふ、さればスパゲッティでも作って食ふべしと。幸ひ小ぶりの茄子一丁あり、それを材料にしてトマト味のスパゲッティでも作るべし、トマトと茄子は相性がよいなりと。荊婦いはく、お昼のうどんを食べながら、夕食のスパゲッティを語る、あなたは幸福な人なりと。午後読書。

 十二月三十日(金)晴れて風寒し。午前執筆。午下長津川。午後は読書また執筆。荊婦は土浦に往く。餅をもらはんとてなり。夕刻五時過ぎメールあり、荷物重き故駅まで迎へに来られたしと。余寒風をつきて迎へに赴きたり。荊婦より荷物を受け取るに、渠これより船橋まで買物にいくべしとて、そのまま駅に残りたり。

 十二月卅一日(土)晴れて穏やかな陽気なり。午前船橋にて買物をなし、東武デパートに立ち寄り、注文しをりしおせち料理を受領す。京料理の三段重なり。午後読書また執筆。夕食に年越しそばを食ひたるのちは、炬燵にもぐりテレビの歌番組を見る。いづれの歌手も人の絆を歌ひてあり。けだし大震災被災者への手向なるべし。今年は災害に心をいためる一方、政治の不在に愛想をつかさるること多かりき。政治家は未来を語らず、目先の事に夢中になる。あまつさへ増税を語って国民の痛みには無頓着なり。増税はそもそも社会保障改革と一体のはずなりしに、いつの間にか社会保障の論議は棚上げされ、増税ばかりが先行す。代金の先払いを強要しサービスは後出しなど、かつて聞いたることもなし、これでは詐欺と同様なり、と声高にいふものもあり。けだし同感なり。法華経寺の鐘の鳴る頃、荊婦とともに松島神社に赴き初詣をなす。今年は例年の如き接待の場を設けず。人々は粛々と参拝せり。

壺齋日録巻廿五 平成廿四年歳次壬辰 

 正月元日 半陰半晴。早朝起床してNHKの能番組天鼓を見る。シテは観世流片山幽雪同九郎右衛門なり。九時頃家族して炬燵を囲み屠蘇を飲みおせち料理を食ふ。その後描き初めに龍の水彩画を描き、年頭所感を執筆してブログに掲載す。午後長津川、陽光穏やかにさし長閑な正月なり。広場には子どもら群れつどひて、銘々に飛び跳ねまはり、中には凧を揚げるものもあり。

 正月二日 陰れど寒からず。早朝NHKの狂言番組を見る。見物左衛門(野村萬)、素襖落し(山本東次郎同即俊)なり。荊婦とともに雑煮を食ひて後、十時頃家を出でて電車にて下総中山に至る。この頃天晴る。法華経寺の参道大いに混雑す。境内にては猿に猿芸をなさしむる者あり。猿主人の命令に従ふふりして心憎き芸を為せり。しかして人と握手するに後脚を以てす。その表情人よりはるかに豊富なり。祖師堂に参詣して後鬼子母神堂内に入る。札に胡麻を焚かれんと欲する者を前に、坊主の集団大音声を張り上げてあり。帰途京成電車に乗りて大神宮下に至り、船橋大神宮に参拝す。ここも参詣の者長蛇の列をなし、大鳥居よりあふるること百メートル余なり。列の後に並び。三十分ほどしてやうやく参拝することを得たり。歩いて船橋駅に至り、駅前の蕎麦屋にて昼餉をなし、一時過に家に帰る。午後読書執筆。

 正月三日 乍陰乍晴。午前執筆、午下長津川。いつものとほり散策しをるほどに、広場の彼方に小型の犬何者かを追ひかけまはしてあり、追はるるものの姿はよく弁別することあたはざりしが、そのうち木の上に逃れたるところをみればどうやら猫のやうなり。しばししてその場に近づくに、果して一匹の白猫枝の上に身を縮めゐたり。余の顔をじっと見つめつつ、周囲の警戒を怠らず。犬の姿はもはやあらざれど、警戒に如くはなしと思ひなせしが如くに見えたり。午後また執筆読書。荊婦は朝方土浦に行き、夕刻帰り来る。





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このページは、が2012年1月 4日 19:02に書いたブログ記事です。

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