1960年代のマッド・メン(Mad Men goes back to the Office)

| コメント(0) | トラックバック(0)

120318.mad-men.jpg

Newsweek の最新号が、Mad Men goes back to the Office と題して、1960年代を回顧する特集を組んでいる。「マッド・メン」とはアメリカの人気テレビ番組で、1960年代を舞台にして、当時のアメリカ社会を生き生きと再現したものだ。2007年の夏に放送を開始し、これまでに4シリーズが放送されたが、その5シリーズ目が始まるにあたって、この特集を組んだというわけだ。

1960年代と云えば、アメリカも日本もぎらぎらと輝いていた時代だ。経済は今と違って右肩上がり、人々の気持ちも明るかった。一方ではヴェトナム戦争があったり、若者の抗議精神も旺盛だった。かといえば、職場の男女差別はあたりまえのこと、またオフィスの机の上で誰もが煙草をふかしていた。そんなエネルギッシュで混沌に満ちたアメリカを、この番組はノスタルジックに描き出しているという。(というのも、筆者はまだ見たことがないから)

この作品の舞台となっているのは、1960年代のニューヨークの広告業界だ。その頃のアメリカの広告業界は男の世界だった。女は一人前とは認めてもらえなかった。女は男たちにサービスするのが当たり前、そんな風潮が支配していた。だからこの番組を見た人は、性別や年代に従って異なった評価をする。60年代に青年期を過ごした男たちにとっては懐かしい限り、その頃に青年期を過ごした女たちには甘酸っぱい感じ、といったところか。フェミニズムが社会運動とあして始まるのも1960年代だ。

一方60年代の雰囲気を知らない若い世代にとっては、男女差別といい、古臭い信念といい、今の時代とは大いに異なる、いわば別世界のできごとのように感じられるのではないか。

ともあれ、1960年代のアメリカは若々しくて、エネルギッシュな時代だった。若き大統領ケネディはそんなアメリカの若さをシンボライズしていた。大統領といえども若い男なら浮気も仕方がない、そんな寛容さがあった。ケネディはマリリン・モンローとせっせと浮気したばかりか、ホワイトハウスを見学に訪れた若い女性を、見境なくセックスに誘ったということだ。

一方日本では、1964年に東京オリンピックが行われ、それを境に新幹線や高速道路が普及し、世界の一流国の仲間入りを果たした。総理大臣は老人臭い男ばかりだったが、国自体は若々しかった。アメリカも日本も、エネルギーにあふれていた。

だから日本でも、1960年代を舞台にした作品がテレビ放映されれば、結構話題を呼ぶかもしれない。





≪ フランク・ランジェラ、リタ・ヘイワースを語る | 日々雑感 | マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 ≫

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://blog.hix05.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/3903

コメントする



アーカイブ

Powered by Movable Type 4.24-ja

本日
昨日

この記事について

このページは、が2012年3月23日 20:15に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「小野善康氏の国債論」です。

次のブログ記事は「ティリアード「エリザベス時代の世界像」」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。