2012年4月アーカイブ

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テーブルを境にして手品師と観客が相対している。手品師がやっているのは、コップと玉の手品だ。手品師は球を顔の前にかざし、観客に向かってこれからコップの中に入れると宣言しているのだろう。彼の腰にぶら下がった籠にはフクロウの顔がのぞいているが、それは邪悪の象徴だ。また手品師の足元には犬がかしこまっているが、こちらは阿呆帽をかぶっている。

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写真(ハフィントン・ポストから)は、クマが木から落下する瞬間を写したもの。まさに絶妙のタイミングをとらえている。同じポストには、このシーンを写したヴィデオも投稿されているが、それを見ても、クマが落ちる様子は、そんなに明瞭には映っていない。とにかく、ラッキーなショットだといえる。

ルソーの「エミール」が教育論として画期的だったのは二重の意味においてである。一つは教育の目標として人間の自然性という概念を持ち込んだこと、もう一つは教育の対象としての「子ども」を発見したことである。

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2006年以降深刻化していたミツバチの大量消滅現象について、これまで様々な原因が推測されてきたが、最も蓋然性の高いのは農薬(殺虫剤)だとする研究が、最近相次いで公表された。その概要を、ニューヨーカーの記事が伝えている。Silent Hives Posted by Elizabeth Kolber

日本では、会社員は自分の意思だけで会社を辞めることが権利として保障されている。民法627条で、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する」と、規定されているからだ。

ロベール・デスノスの「おりこうさんのおとぎ歌」から「カンガルー(Le Kangourou)」(壺齋散人訳)

  最初のカンガルーは カンガルーの王様
  ひづめには大きなサーベルを下げ
  キャベツの葉っぱの冠をかぶってる

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民主党元代表小沢一郎氏の政治資金管理団体陸山会の政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑にかかわる裁判の結果が無罪と出た。この裁判は、一方で検察側による、事実と反する不当な調書作成が明るみに出ていたこと、また、2,009年5月に導入された、検察審査会による強制起訴の最初のケースということで、大いに国民の注目を浴びていたものだ。

村上春樹という作家は小説の小道具として音楽をよく使う。デビュー作の「風の歌を聴け」以来、ほとんどすべての作品で、音楽が重層低音のような効果を作り出している。「ノルウェーの森」ではビートルズの同名の曲が作品のタイトルになったほどだし、「海辺のカフカ」ではナカタさんを四国まで連れてきてくれたダンプの運転手星野君が、ベートーベンのピアノコンチェルトに陶酔するといった具合だ。

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天の川銀河の供銀河であるマゼラン雲の一角に、ひときわ明るい星雲がある。「カジキ座の30(30 Doradus)」あるいは、タランチュラ星雲とも呼ばれる。非常に明るいために、かつては恒星と思われていたが、18世紀の中ごろに、星雲であることが確認された。

予去杭十六年而複來留二年而去平生自覺出處老少粗似樂天雖才名相遠而安分寡求亦庶幾焉三月六日來別南北山諸道人而下天竺惠淨師

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ホッキョクグマは、いまから約15万年前に、ヒグマと共通の祖先から分かれて出現したとされてきたが、新たな研究の結果、ホッキョクグマの出現は60万年前だったことがわかった。

2005年の反日デモは、日中関係にとって画期的な転回点になった、毛里和子氏の著書「日中関係」はそうとらえている。それまでは主に政府間関係として動いてきた日中関係に、一般の国民が深くかかわるようになり、政府といえどもこうした民衆の形成する世論を無視できなくなった、それは両国間の関係が全く新しい段階に入ったことを意味する、と理解するわけだ。

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昨年9月、古川宇宙飛行士による実況中継を交えた宇宙空間の映像を、NHKが「宇宙の渚」と題して放送したが、今回、その古川宇宙飛行士が地球にもちかえった映像を編集して、宇宙の渚でおきている壮大な現象を、テーマ別に紹介してくれる番組が始まった。第一回目は、「謎の閃光 スプライト」と題して、4月22日に放送された。

クルーグマンの「世界大不況からの脱出」(三上義一訳、早川書房刊)は、1999年の「世界大不況への警告」を下敷きにして、リーマンショック後の世界的な大不況について併せて論じたものだ。前著では、1990年代におきた中南米やアジア諸国の大不況について、なにがそれらを引き起こしたのかを論じた。そこでの論点は今回の世界大不況にもそのまま当てはまる、とクルーグマンはいう。

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ボスは民衆の愚かしさを面白おかしく描いた。民衆の愚かさを見つめるボスの視線は、軽蔑のまなざしというより憐憫のまなざしであり、時には暖かささえ感じさせる。この絵「石の切除手術」も、民衆の愚かな偏見を面白おかしく描いたものだ。

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今の時代にこんなことがまかり通っているとは、大いなる驚きだ。アマゾン周辺の森林地帯が消滅の危機にさらされていることはかねて伝え聞いていたが、その過程の中で、森林とともに暮らしてきた原住民が、生活の糧を奪われるばかりか、命まで奪われて、部族全体が絶滅の危機に瀕しているというのだ。They're killing us': world's most endangered tribe cries for help By Gethin Chamberlain The Observer

ルソーの社会契約論にとってカギとなるのは「一般意思」の概念である。一般意思とは、人々が社会的な結合体を結成するにあたり、よりどころとなる合意のことである。その合意は、すべての人々にとって共通する利害を表している。だれもそのことに関しては異存がない。人々はこの合意に基づいて社会的な結合体である政治体を作り上げるのだ。

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米金融大手シティグループの株主が4月17日に、パンディット最高経営責任者(CEO)に1500万ドルの報酬を支払う案を株主総会で否決したと、ロイターが伝えている。この報酬案は、CEOの報酬を金融危機以前の水準に戻そうとするものであったが、55パーセントの株主が待ったをかけた。理由は、シティグループの業績が業界基準を達成してこなかったというものだ。

ロベール・デスノス「お利口さんのおとぎ歌」から「ロブスター(Le Homard)」(壺齋散人訳)

  ロブスターは海の王者
  青いロブスター 赤いロブスター
  ロブスターは後ろ向きに泳ぐ
  そら動いたぞ ロブスターが

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「ブリキの太鼓」などで知られるドイツ人のノーベル賞作家ギュンター・グラスが、84歳の高齢で歌い上げた一片の詩が、複雑な波紋を生じさせている。

村上春樹の創造した人物像の中にあって、タマルは牛河以上にユニークな人間だ。表向きは謎めいた老婦人の執事ということになっているが、実体としては夫人のボディガードであり、また夫人の大胆な野心の実現を支えるエクスパート=その道のプロでもある。青豆が夫人の野心を実行する実働者=殺し屋とすれば、タマルはその殺しを演出する参謀だ。

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昨年7月22日にオスロとオスロ郊外の湖の島で合計77人の人々を殺害したアンデルス・ブレイヴィク(Anders Behring Breivik)に対する裁判が、4月16日、オスロの地方裁判所で始まった。

蘇軾の詞「臨江仙‧錢穆父を送る」(壺齋散人注)

  一別都門三改火  一たび都門に別れしより三たび火を改め
  天涯踏盡紅塵   天涯 紅塵を踏み盡す
  依然一笑作春溫  依然として一笑し春溫を作す
  無波真古井    波無きは真に古井
  有節是秋筠    節有るは是れ秋筠

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生物学的には男として生まれながら、女としての性同一性を感じる人々を、最近の日本語ではニューハーフというのだそうだ。女として生まれながら、男としての性同一性を感じる人々については、そうはいわないらしい。もともと芸能界起源の言葉だという。

毛里和子著「日中関係」(岩波新書)を読んだ。戦後の日中関係の歴史を概観したもので、両国関係の過去を知るとともに、今日両国間で起きている様々な問題を理解するうえでも、なかなか参考になる。併せて、今後の日中関係のあり方についても、示唆に富んだ提言を行っている。

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フランス映画「アーティスト」を見た。今年(2012年)のアカデミー賞作品賞を受賞した映画だ。フランスの映画がハリウッドの映画をさしおいてオスカーを取るのはおそらく初めてのことだと思うが、この映画はそれに加えて、もっと珍しい特徴を持っている。モノカラーで、しかもサイレントなのだ。

裁判員制度が始まってから3年、この間に裁判員をつとめた人の数は2万6000人にのぼるという。先日(4月13日)には、100日にもわたる長期の裁判の結果、被告に死刑を言い渡した裁判もあった。この裁判は、決定的な証拠がなく、状況証拠の積み重ねだけで被告の有罪を認定するという、非常に困難を強いられた裁判だとの指摘もあり、裁判員の関与も含めて、日本の刑事裁判のあり方に対して、国民に一定の課題を突き付けたといえる。

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聖書に題材をとったいわゆる宗教画とともにボスが好んで取り上げたテーマは、諺や戒めなど民衆生活をいろどる様々な民俗模様だった。それらは中世の民衆の世界観のようなものを反映しており、日常生活から死後の世界に渡る広大な分野をカバーしている。ボスはそれらの一部を絵のかたちに現すことで、民衆の好奇心に応えようとしたのかもしれない。

筆者が手にしている日経ビジネス文庫版の「クルーグマン教授の経済入門」にはおまけがついている。「日本がはまった罠」と題する小論だ。この小論の中でクルーグマンは、90年以降に日本が陥った深刻で長引く不況について、その本質や原因、そしてそこから脱出するには何が必要かについて論じている。

ウディ・ガスリー(Woody Guthrie)のアルバム「ダストボウル・バラッズ(Dustbowl Ballads)」から「プリティ・ボーイ・フロイド(Pretty Boy Floyd)」(壺齋散人による歌詞の日本語訳)

  さあ おいでよ 子どもたち
  話してやるからさ
  オクラホマのおたずねもの
  プリティ・ボーイ・フロイドのことを 

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南天のみずへび座の方向127光年先に位置する恒星HD 10180は、最大で9つの惑星を持っている可能性があるという。もしそうなら、太陽系の8個を超え、いままでに発見されたうちの最も大きな数になる。

「学問・芸術論」や「人間不平等起源論」でルソーが展開した主張は、文明が人間を堕落させるというものであった。原始の状態にある自然人は、自由でしかも平等であり、誰もが人間としての尊厳を保っていた。ところが人間の中に社会というものが生まれ、そこに学問・芸術が栄え、富の偏在による不平等が生まれるようになると、人間本来のあり方であった自由と平等がおびやかされ、人間は途方もなく堕落した。それ故もっとも肝心なことは、文明の殻を脱ぎ捨て、少しでも自然人の状態を取り戻すことである。

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国際社会の一致した批判を無視する形で、北朝鮮は本日(4月13日)7時38分ころ、人工衛星と称するミサイルを打ち上げたが、ほぼ一分後に爆発して黄海に落下、打ち上げは失敗に終わった。これはこれで、たいへん大きな意義をもった事態だが、日本人としては、それ以上に見過ごせない大きな意義を持つ事態が起きた。北朝鮮によるミサイル打ち上げに、念には念をいれて準備してきたはずの日本国政府が、打ち上げの事実ですら正確につかんでいなかったことが明らかになったのだ。

2008年のリーマンショックが、市場原理主義といわれるものの産物であったことは、今や広く認められている。市場原理主義とは、市場の持つ調整力を盲信して、政府による規制を最大限なくそうというものだ。そうすれば、経済は自然とうまくゆく。そう考えるわけだ。

ロベール・デスノス「お利口さんのおとぎ歌」から「ヌー(Le Gnou)」(壺齋散人訳)

  パンパンパン 誰だい門を叩くのは
  パンパンパン ガキ大将だよ
  パンパンパン 門を開けてくれよ
  パンパンパン 孔雀を連れてくるから
  パンパンパン 門を開けてくれよ
  パンパンパン ラオスから来たんだから
  パンパンパン 僕はヌーの子どもなのさ

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昨日(4月11日)の夕刻に起きたスマトラ西海岸沖地震は、マグニチュード8.6の本震のあと同8.2の余震が続き、津波の発生も予想されたので、筆者は関心を持ってニュースを追っていた。しかし地震による被害はそうたいしたことはなかったようであり、また津波の方も一部で1メートル程度のものが観測されたが、大した被害は起こらなかった模様だ。

ユーロ圏の一部諸国におけるソブリン危機問題や、アメリカの政府債務支払い危機問題を通じて、財政赤字の問題が大きくクローズアップされた。日本もその例外ではないので、このまま放置しておくと大変なことになるから、いまのうちに消費税を増税して、財政赤字を解消する努力をしなければならない。それができなければ、日本は市場によってアウトを突きつけられ、やがて破滅の道をたどることになるだろう。こんな半分脅迫ともいえる論調がまかり通っている。

「1Q84」には、「ねじまき鳥クロニクル」の中で出てきた奇妙な探偵牛河が再登場する。しかもかなり重要な役回りでだ。彼は「さきがけ」というカルト集団のリーダーに見込まれて、様々な人間の身辺調査などをしていることになっているが、やがては、青豆と天吾にとって最も危険で脅威的な存在へと高まっていく。実際この作品のBOOK3では、青豆、天吾と並んで、牛河も主人公の一人に列しているのだ。

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ダルビッシュ投手が9日(日本時間10日朝)、大リーグ・デビュー戦に臨んだ。相手はイチローのいるマリナーズ。日本人の野球ファンにとってはしびれるところだ。結果はイチローに三本の安打を打たれたほか、6回投げて8安打、5四死球、5失点と、決してほめられた内容ではなかったが、チームの打撃力に支えられて、勝ち投手になった。

「クルーグマン教授の経済入門(日経ビジネス文庫版)」を読んだ。ポール・クルーグマンが一般読者向けに書いた初めての入門書を、山形浩生という一風変わった人が日本語に訳したものだ。一風変わっているというのは、訳し方が尋常ではなく、ふざけ半分のような印象を与えるからだ(橋本治氏の桃尻語の影響を受けているらしい) しかしけっこう読みやすく訳せている。

蘇軾の詩「劉景文の家に樂天身心問答三首を藏す、戲れに一絶を其後に書す」(壺齋散人注)

  淵明形神自我  淵明は形神自ら我とし
  樂天身心相物  樂天は身心相物とす
  而今月下三人  而今 月下の三人
  他日當成幾佛  他日 當に幾佛と成るべき

津村節子さんの小説「流星雨」を読んだ。戊辰戦争のうち会津で行われた戦争と、戦争の結果敗者である会津の人々がたどった過酷な日々を描いている。先日読んだ「ある明治人の記録:会津人柴五郎の遺書」が、男の子の目から見た会津戦争の悲惨な記録だとしたら、これは女の子の視線に立った戦争被害者の鎮魂歌ともいうべきものだ。

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津波はどこまで巨大化するのか、3.11をきっかけに突きつけられたこの大きな問いに対して、世界中の地震学者が回答を求めて取り組んでいる。その取りくみの様子の一端を、NHKの番組が伝えていた。(MEGAQUAKEⅡ 巨大地震 第2回 津波はどこまで巨大化するのか)

AIJ投資顧問が厚生年金基金から運用を委託されていた資金約2000億円を焼失させていた問題が、国民の大きな関心を引いた。この投資顧問は、高い運用利回りを約束して資金を集めながら、実際にはその資金を運用せずにリターン資金にあてるなど自転車操業を続けたあげく、ついには破たんしてしまったというよくある話だったが、ことはサラリーマンの老後を支える貴重な金が、まんまと騙し取られたとあって、当のAIJ顧問がけしからぬのはともかく、騙された形の厚生年金基金もいったい何をやっていたのか、とマスコミの追及の格好の的とはなった次第だった。

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「カナの婚礼」と題したこの作品は、ボス研究家たちによってさまざまな解釈が加えられてきた。彼らの大方の共通意見は、ヨハネ福音書の中のキリストの最初の奇跡の場面を描いたものということだ。ガリラヤのカナというところで婚礼に臨んだ聖母マリアとキリストの物語である。マリアの意思に従って、キリストが樽の中の水を酒にかえて、出席者に振る舞ったというものだ。画面右下に6個の樽が描かれ、そのうちのひとつに男が水を注いでいる。この水が酒に変化するわけだ。

雑誌「世界」の最新号(5月号)に、サム・ピジガティ氏がル・モンド・ディプロマティックに寄稿した「最高賃金という概念」の日本語訳が乗っている。(橋本一径訳)

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 四月七日(土)午下長津川を散策するに、天晴れ渡りて長閑な陽気なり。遊歩道沿の桜並木ほぼ五分とほり咲き進み、微風をうけて軽やかに伸び広がりたり。遊歩道を一周して調整池の広場に下りれば、芝生の上いたるところ弁当を広げる集団あり。花見を楽しむにはまたとなき機会と見えたり。水溜池には先日まで遊泳しをりしマガモの姿見当たらず。北へ移動せしなるべし。そのまま長津川の流れに沿って船橋の市街地へ向かって進む。小さき流れなれど、深さ十メートルばかり、左岸には崖きり立ちてあり。しかして崖の上部には仕舞屋ひしめき建ちたり。面白きことに、ここには旅に出遅れたりとおぼしきマガモ数羽、水に浮かびてあり。流れは船橋の市街地の手前にて暗渠と化す。ややして天沼公園にいたる。ここにもまた桜花爛漫と開きてあり。公園のベンチに坐して、子どもらの遊ぶ姿を観察す。この数年気候温暖化の影響とて、桜花は三月中に開き散り、月をまたぐことは珍しかりき。今年は入学式にあわせて花見頃となり、新入生たちもさぞ思ひ出に残りしなるべし。船橋の街中にて買物をなし、東武線の電車に乗って帰り来る。午後読書。

人間不平等起源論のテーマは自然人である。ルソーは処女作の「学問・芸術論」の中で、学問や芸術といった文明の産物がいかに人間を堕落させたかについて論じたのであったが、では堕落する以前の人間はどんな状態であったのか、詳細に述べることはなかった。人間不平等起源論は、文明に汚染される以前の、つまり堕落する以前の、純粋に自然な状態における人間について述べるのだ。ルソーはその人間を自然人と名付け、人間にとっての本来的なあり方ととらえている。

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カバンゴ・ザンベジ国際保護区(KAZA:Kavango Zambezi Transfrontier Conservation Area)は、アフリカのアンゴラ、ボツワナ、ナミビア、ザンビア、ジンバブエの五か国にまたがる世界最大の自然保護区だ。総面積はイタリアとほぼ同じ。昨年(2011年)関係国の合意に基づいて設定された。

ロベール・デスノス「お利口さんのおとぎ歌」から「ヒトコブラクダ(Le Dromadaire)」(壺齋散人訳)

  ジャン・ド・パリはカッコいいな
  12頭の足早ラクダと一緒で
  ジャン・ド・ボルドーはカッコいいな
  14頭のフタコブラクダと一緒で
  でもジャン・ド・マデールのほうがカッコいい
  20頭のヒトコブラクダと一緒だから

青豆も天吾も不幸な親子関係の中で育った。青豆は両親からカルト教団への信仰を強制され、それを嫌悪して両親と絶縁した。天吾の母親は彼が2歳の時に死に、父親の手によって育てられた。その父親はNHKの集金人をしており、幼い天吾を連れて、集金をしてまわった。まわる先々で、父親は子供を連れていることで相手の同情を買おうとした。また支払いを拒む連中には口汚くののしった。天吾はそんな父親に対して複雑な感情を抱いたが、やがて父親のもとから飛び出して、自立するようになった。

蘇軾の五言絶句「再び楊公濟の梅花に和す十絶 其八」(壺齋散人注)

  湖面初驚片片飛  湖面初めて驚く片片と飛ぶを
  樽前吹折最繁枝  樽前に吹折す最も繁き枝を
  何人會得春風意  何人か會し得たる春風の意を
  怕見梅黃雨細時  怕れ見る梅は黃に雨は細やかなる時を

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先日首都直下型地震のシミュレーションが公表され、つづいて南海トラフを震源とするマグニチュード9クラスの地震のシミュレーションが公表された。関東から九州にわたる広大な範囲で、最大震度7になると予想される地域が沢山生じ、津波の高さも最大34メートルにもなるだろうという予測に、筆者などは息を飲んだものだ。

明治維新の際に、会津藩が幕府側の中心となったことを咎められ、朝敵の汚名を着せられて官軍の攻撃を受け、降伏後は下北半島に追放されて、塗炭の苦しみを味わったということは、色々な機会に聞いたことがあった。ところがその苦難を、一身を以て体験したという歴史の生き証人の記録を、偶然読む機会をもった。その記録とは「ある明治人の記録:会津人柴五郎の遺書」(中公新書版)というものである。

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先日(2012年3月31日)のNHK番組「シリーズ日本新生 橋が道路が壊れていく~インフラ危機を乗り越えろ」を興味深く見た。高度成長期に整備された巨大な社会資本が更新期を迎えているが、現在の財政規模を以てしては、そのすべてを更新することは不可能に近いばかりか、かなりの部分のインフラが、財政危機のために更新できない可能性があるというのだ。

小野善康氏は、株価の変動が景気に及ぼす影響を認めたうえで、株価の水準は必ずしも経済のファンダメンタルズとは関係のないところで決まる、したがってバブルが発生して景気が過熱気味になったり、逆にバブルがはじけて深刻な不況に陥ったりするという。(小野善康「景気と国際金融」)

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中世の末期にはキリスト磔刑のシーンが画家たちにとってもっとも重要なテーマだった。あるものはそこに深い宗教的な感情を盛り込もうとし、あるものは人間性の邪悪と清浄さの対立をもり込もうとし、あるものは受難の神聖さを表現しようとした。ボスの場合はどうか。

人民網をチェックしていたら、淸明時節雨紛紛という言葉が目についた。唐の大詩人杜牧の詩の一節だ。杜牧は清明節の前後は雨が多いということを歌ったのだが、人民網のヘッドラインは、今年の清明節の特徴のようなものを記している。

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ロシアはなぜアメリカに嫌われるのか、あるいはアメリカはなぜロシアを嫌うのか。この疑問をほかならぬロシア人が自問自答している。(プラウダ英語版の記事 What makes US politicians hate Russia? )

小野善康氏は国際金融の分野でもユニークな見解を展開している。ここでも氏は、主流派経済学が想定している前提が実態とはかけ離れていることを指摘しながら、議論を展開する。以下その議論を「景気と国際金融」(岩波新書)によって、追って行こう。



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