ダルビッシュ投手が9日(日本時間10日朝)、大リーグ・デビュー戦に臨んだ。相手はイチローのいるマリナーズ。日本人の野球ファンにとってはしびれるところだ。結果はイチローに三本の安打を打たれたほか、6回投げて8安打、5四死球、5失点と、決してほめられた内容ではなかったが、チームの打撃力に支えられて、勝ち投手になった。
ダルビッシュにとって、デビューの第一イニングはしんどかったようだ。心臓が強いと思われている彼でも、プレッシャーがあったのだろう。先頭打者にフォアボールを出した後、イチローにヒットを打たれるなどして、この回だけで4点を失った。どぎまぎして心身のバランスが崩れ、それが悪影響してコントロールがさだまらなかったようだ。
松坂のときもそうだったが、マウンドやボールに馴れていないことも災いしたようだ。マウンドは日本より高く硬い。その結果姿勢が前のめりになりやすい。またボールはつるつるして滑りやすく、制球に影響を及ぼしたようだ。
しかし3回以降は見事に立ち直った。一回では、ストライク球が3分の1しか投げられないなどコントロールが悪かったのが、3回以降は3分の2投げられるようになったし、早めに打たせられるようになった。この打たせて取る戦法が功を奏し、6回まで投げられたわけだ。
ダルビッシュから3本の安打を打ったイチローは、「何打席も対戦してみないとわからない」と言葉少なげだったが、「ダルビッシュ投手がマウンドを降りるとき、あれだけの拍手が起きたのに帽子を取らなかった。そこには、この内容では納得していないという思いがあったと思う。帽子を取らなかったあの場面が印象的でした」とコメントした。たしかにダルビッシュは、6回途中で降板するとき、大声援を受けながら、帽子を振るどころか、てれくさそうに、そそくさと小走りにベンチに向かった。
そんな自分の戦いぶりやファンの声援について、ダルビッシュは次のようにいっている。
「勝ってよかったなと思う。こんなピッチングで、ファンはあれだけたたえてくれて逆に申し訳なかった」
ともあれ、大リーグデビューしたばかり。彼はまだ25歳だ。前途洋洋とした未来が待ち構えている。我々ファンの期待にきっと応えてくれると思う。なにしろ、日本人としては型破りな恵まれた体格と強じんな精神力の持ち主だ。是非がんばってほしい。(写真はNHKから)
コメントする