ミツバチ消滅の原因は農薬(殺虫剤)?

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2006年以降深刻化していたミツバチの大量消滅現象について、これまで様々な原因が推測されてきたが、最も蓋然性の高いのは農薬(殺虫剤)だとする研究が、最近相次いで公表された。その概要を、ニューヨーカーの記事が伝えている。Silent Hives Posted by Elizabeth Kolber

2006年以降のミツバチの大量消滅については、このブログでも取り上げたことがあるが、これまでその原因として取りざたされてきたのは、ウィルス、カビ、ダニ、ストレス、あるいは携帯電話から発せられる有害電波といったものだった。だがいずれの説も、いまひとつ決め手を欠いていたところが、ある種の殺虫剤が、ミツバチの消滅と深いかかわりがあることを証明した研究が、最近3本あいついで発表(あるいは発表予告)されたのである。

まず、イギリスの研究グループが、オンライン上で、ネオニコチノイド(neonicotinoid)の一種イミダクロプリッド(imidacloprid)という殺虫剤を蜜に含ませ、それをマルハナバチに摂取させる実験をしたところ、巣の成長が止まったこと、女王蜂の出現が抑制されたこと、などの結果が見られた。

フランスの研究グループが、同じくオンライン上に発表した実験では、やはりネオニコチノイドの一種であるサイアミトクサン(thiamethoxan)という殺虫剤を含んだ蜜を摂取したミツバチの個体は、巣から出たまま戻ってこなかったという結果が得られた。

近々発表される予定の第三の研究によれば、やはりイミダクロプリッドを含んだ蜜を摂取したミツバチの巣について、16のうち15が死滅したというショッキングな結果が得られたという。

こうした結果は、ペンシルベニアの養蜂業者で、農薬の危険性を強く訴えてきたデーヴ・ハッケンバーグ(Dave Hackenberg)氏を大いに勇気づけた。氏は、2006年以降のミツバチ消滅の原因は、果樹園にまかれた殺虫剤だと想定し、連邦環境省に、強く抗議してきた人だ。

氏は、環境省は十分なフィールドワークをしないまま、有害な殺虫剤を認可し、それがミツバチ大量消滅という悲惨な事態をもたらした、と主張している。

今から50年前に、レイチェル・カーソン女史が、農薬による環境破壊を告発したことが、まだ人々の記憶から消えていないうちに、政府は同じような過ちを繰り返した。そういって氏は、政府の適切な対応を求めていく考えだという。(写真もニューヨーカーから)


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