2012年7月アーカイブ

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アメリカ大統領選の共和党候補ロムニーが、イスラエルとパレスティナを比較しながら述べた言葉がちょっとした波紋を投げかけている。イスラエルを訪問中のロムニーは、選挙資金を集めるパーティを開いたのだったが、自分の息子をも伴ったそのパーティの席上で、イスラエルを礼賛し、パレスティナを貶めるような発言をしたのだった。

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草間彌生さんはヤヨイ・クサマとしての方がしっくりする。ということは、彼女は日本の文化に収まりきれない、国際的なスケールの芸術家だということを意味している。今年83歳になる彼女は、ニューヨークのホイットニー美術館の目玉となり、かつはルイ・ヴィトンとのコラボレーションを通じて、世界中のファッションを席巻しようとしている。彼女には老いるという言葉がなじまないのだ。

山口昌男氏の「敗者たちの精神史」第6章は、「敗者たちへの想像力」と題して、前章に引き続き、維新の敗者側に立った人々を取り上げている。前章は新島襄のところで終わっていたが、ここでは、新島を出発点にして、新島と吉野の森林王といわれた土倉庄三郎がとりあげられ、庄三郎の息子六郎の友達として川田順が取り上げられ、川田順の父親川田甕江の友人と云う資格で、再び依田学海が登場する。筆者にとってもっとも肝心だったのが、この学海であることはいうまでもない。

7月29日に実施された山口県知事選で、自民・公明が推薦する山本氏が、脱原発を旗印にした飯田氏を破って当選した。25万票対18万秒の差だから、それなりの数字を獲得しての勝利だった。しかし、自民・公明両党にとって手ばなしで喜べないのは、保守王国とされた山口県で、民主党が候補者を立てないという状況の下で、脱原発を掲げた飯田氏に激しい追い上げを食らったということだ。仮に民主党が候補をたてていたら、保守層が分裂して飯田氏が漁夫の利を得たかもしれない、それを考えると、手放しで喜んではいられないということだろう。

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この絵は、正しき魂たちが地上の天国から天上の天国へと昇天していく場面である。ボウツは地上の天国の空の一角にぽっかりと空いた穴に向かって魂たちが吸い込まれていく様を描いたが、ボスの場合には、ここにあるように、トンネルのような暗い空間を通して、トンネルの先に開いた光に満ちた空間を目指して、魂たちが移動している。

 僕は誰とも全く口をきかないで、一人ぼっちで暮らしていたんだけど、そうして6年がたった時に、飛行機が故障して、サハラ砂漠に不時着したんだ。モーターのどこかが壊れたみたい。飛行機には、エンジニアも、お客も、乗っていなかったので、僕は一人だけで、むつかしい修理に取り掛かった。だって、生死がかかっていたからね。8日の間、飲み水もなかったんだよ。

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ロンドン・オリンピックの開会式が、今朝(7月28日)の5時から実況中継されるというので、早起きして見た。日本との時差はサマータイムで8時間なので、ロンドン時間は前の夜(7月27日)の9時である。果してテレビ画面には、夜空を背景にした競技場の光景が映し出されていた。夜の9時から開会式が始まるだなんて、日本人には考えられないな、東京オリンピックの時は真昼だったはずだ、などと思いつつ画面に見入った。

蘇軾が恵州まで連れてきたのは、末子の過と愛妾の朝雲だけだった。朝雲は、杭州の出身で、その地に蘇軾が二度目の赴任をした時に妾とし、長男を設けたのだったが、その子は幼くして死んだ。その後も朝雲は蘇軾に連れ添い、嶺南の流謫地まで一緒にやってきたのだった。その時蘇軾は57歳、朝雲は31歳だった。

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江南地方には水郷の古鎮と呼ばれるところが何か所もあるが、中でも西塘は上海に近いという地の利もあって、観光客には人気がある。トム・クルーズ主演の映画「ミッション・インポシブルⅢ」の部隊になったこともあって、世界中にその名を知られるようにもなった。NHKも取り上げて紹介していたから、日本人にも馴染みが深いといえよう。

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イチローがヤンキースに電撃トレードで加入する一方、松井がヤンキースに拾ってもらえないばかりか、大リーグに留まるのも難しくなっている事情を取り上げて、ニューヨーク・タイムズが、この二人の偉大な日本人プレーヤーを比較評価する記事を載せた。Careers of Suzuki and Matsui Are Further Intertwined

先日紀伊半島への旅を共にしたあひるの仲間たちと、暑気払いをかねて飲み会を催した。場所は以前使ったことがある新宿西口の飲み屋「三代目網元」だ。

牛島信明は、「ドン・キホーテ」を、反対のものをも包みこんだ多義的な曖昧さからなる文学世界だとしたうえで、その曖昧さを形成するものはセルバンテス独特のユーモアなのであり、そのユーモアを醸し出すのはアイロニーだとしている。彼の定義によれば、「ドン・キホーテ」とは「アイロニーの文学」ということになる。(「反・ドン・キホーテ論」第6章)

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ロシアのウラル山中に釣りと薪取りに出かけた男性が、魚ではなくてへんてこなものを見つけた。四つのブルーの缶だ。男性が中身を確認すると、目を背けたくなるようなものが出てきた。ホルマリン漬けにされた胎児の遺体が248体も出てきたのだ。

野田政権は2030年における原発の依存度について、0パーセント、15パーセント、20~25パーセントの三パターンを提示した。0パーセントは積極的に廃炉して2030年までに脱原発を完成するというシナリオ、20~25パーセントはこれからも原発に依存していくというシナリオだ。それでは15パーセントはどういう意味をもっているのか。

万葉集に収められた「葛飾の真間の手古奈」の悲しい物語。この物語のヒロインの名前を「手古奈」というのだが、この「テコナ」とは、チョウチョを表す言葉だった、と言語学者の堀井令以知氏がいっている。

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7月23日、目下安全性を巡って問題になっているオスプレイを、米軍が岩国基地への陸揚げを強行したことについて、森本防衛大臣が「混乱なく陸揚げできて、ほっとした」と発言したところ、地元の岩国市長らが早速反発した。「いったい何にほっとしたのか」というわけだ。

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このたびの旅行は旅館に一泊したとあって、話す時間はたっぷりとあった。日頃おしゃべり自慢の熟女たちのことだ、時間を気にする必要がないとあって、とことんおしゃべりを楽しんだようだ。人間何がくつろぎのタネになるかと言えば、おしゃべりに如くはない。おしゃべりをしている限り、憂鬱な気分に陥ることもなければ、くよくよと下らぬことに気を揉むこともない。人間というものは、しゃべるほどに心が軽くなるように出来ているものなのである。

山口昌男氏の「敗者の精神史」を繙いてみたところ、まず最初にあった記事は三越に関するものだった。国際博覧会とか見世物の系譜のなかに日本の近代的デパートを位置付けようとする論旨のようだが、三越がなぜ敗者と関係があるのかわからない。三越はむしろ維新の勝組ではないか。そんな風に思って読みとばし、ページを先に送ると、「敗者たちの生き方」と題して、面白そうな一文が目についた。

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翌日の朝は6時に床を出て浴場へ降りていくと、M女がホールのソファに身を沈めて転寝をしている。声をかけると朝風呂につかったばかりで、いい気持になって寝なおしているのだという。他の二人は部屋に戻ったそうだ。筆者は朝湯が苦手なので、風呂には入らず髭を剃るだけにとどめた。

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ボスは最後の晩餐の関連作品として「死後の世界」を描いた四枚一組の作品を作った。死後の世界とは、死んでからキリストによる最後の審判を待つまでの間、暫定的に身を寄せる場所のことで、地上の天国と暫定的な地獄とならなる。もちろんこれは、聖書に書かれているものではなく、民衆の間の迷信に過ぎなかったが、中世末期の人たちは本気でそれを信じていたのである。

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ロンドン・オリンピックに出場するサッカー日本男子チームがビジネスクラスでフライトしたのに対して、女子チーム「なでしこ」はエコノミークラスでフライトした。この事実が知れ渡ると、ヨーロッパ中のメディアが関心を示したそうだ。日本では相変わらず、男女差別が平然と行われているのではないか、というわけだ。

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旅館ますやに身を投じて一休みした後、4人でミニ尾瀬公園まで遊びに出かけた。10年ちょっと前に来たときにも立ち寄ったことがある。尾瀬の草原に自生している様々な植物を寄せ植えし、ちょっとした自然植物公園のように仕立てたところだ。

野田政権は、大飯原発を再稼働させるにあたって、福島原発事故の徹底的な原因究明とそれを踏まえた厳密な再発防止策が図られたことに言及していたが、果たしてそうなのか。事故の原因はもれなく究明され、今後福島と同じような規模の自然災害が発生しても十分に対応できる体制が整ったのか。

6歳の時、ぼくは「歴史体験」という題の、野生の森の本を、読んだことがあるんだ。そこに、すごい絵がのってた。猛獣を呑み込んでるボーア蛇の絵だよ。ほら、こんな感じの絵だよ。

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日頃仲良くしている熟女たちとともに、初めて泊まり込みの旅行をした。この春先にT、Mの両女と青梅まで梅を見に行った際、今度は4人そろってどこかに泊りに行きましょうよと話し合ったことがきっかけになって、筆者が鋭意プランを練ったところ、彼女らがすっかり乗り気になったという次第なのであった。そのプランというのは、東武電車で会津高原まで行き、そこからバスに乗って桧枝岐に行き、そこの温泉にのんびり浸かった後、翌日は尾瀬沼周辺を散策し、上州側に下山して、上毛高原から新幹線に乗って帰って来ようよというものだった。

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リムパック(Rimpac=環太平洋合同演習)が例年のとおりハワイ付近の海域で始まったが、今年の演習にはちょっとした異変が起きているようだ。前回(2010年)の演習では参加国が14か国に急増して話題を呼んだところだが、今年は一気に22か国に増えた。それに加えて、前回はじめてオブザーバー資格を得たロシアが、今年は正式の参加国として招かれた。一方、環太平洋圏の大国中国は参加していない。

蘇軾の五言絶句「茘枝を食す」(壺齋散人注)

  羅浮山下四時春  羅浮山下 四時の春
  盧橘楊梅次第新  盧橘 楊梅 次第に新たなり
  日啖荔枝三百顆  日に荔枝を啖ふこと三百顆
  不辭長作嶺南人  辭せず長へに嶺南の人と作(な)るを

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紹興は古い都である。もとは会稽といった、「会稽の恥を雪ぐ」の会稽である。春秋戦国時代にあっては越の都だったところだ。今でも大都会であるが、日本人には紹興酒の名前が連想されるところだろう。

ナチスを逃れてアメリカに亡命したトーマス・マンが、大西洋上の船の中で「ドン・キホーテ」に読みふけったことは、文学史上の出来事として良く知られている。(「ドン・キホーテ」とともに海を渡る)

黄昏(たそがれ)が「誰そ彼」から発していることを指摘したのは柳田国男である。日が沈む前後の時間帯は、あたりが薄暗くなるので、人々はすれ違う時に、「誰そ彼」つまり「あなたは誰ですか」と言い合いながら、コミュニケーションを図った。そこから日没時を「たそがれどき」というようになり、それが「たそがれ」になったというのである。

「日本開国期に、日本中が攘夷で沸き立ち、そうした世論の中心に天皇・朝廷の攘夷論があったという維新当初から強調された、日本開国の物語こそが、事実と違う」と井上勝生氏は言う(「幕末・維新」岩波新書)。事実はそんな単純なものではなかったというわけだ。

「スティグリッツ教授の経済教室」(藪下史郎、藤井清美訳、ダイアモンド社)を読んだ。スティグリッツ教授が、2003年から2007年にかけて、週刊ダイアモンド誌に月一回ペースで寄稿した記事を中心に編集したものだ。

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「最後の審判」の右翼画はまさに地獄と題されているが、ここでも地獄そのものというより、地獄の門の周辺が描かれているようにも見える。画面下部のほうに描かれているアーチ状の門が地獄の入り口であり、その前に立っているのは大勢の手下を従えた魔王ルシフェルなのではないか。

野党に転落して3年たった自民党、一時は敗戦ショックで意気消沈しきっていたが、最近は少しずつ元気を取り戻しているようだ、消費税増税や原発政策を巡って、自分たちの言い分を与党の民主党に飲ませることができるようになってきた、そんな新たな状況が自信の回復につながっているのだろう。

アントワーヌ・サン=テグジュペリの名作 Le Petit Prince は、日本では「星の王子さま」の題名で、内藤濯の翻訳したものが愛読されてきた。これはこれで、多くの子どもたちに、感動を与えてきたのだと思う。

蘇軾の五言古詩「陶の園田の居に歸るに和す六首 其四」(壺齋散人注)

  老人八十餘  老人 八十餘
  不識城市娛  城市の娛しみを識らず
  造物偶遺漏  造物 偶たま遺漏す
  同儕盡丘墟  同儕 盡く丘墟
  平生不渡江  平生 江を渡らず
  水北有幽居  水北 幽居有り
  手插荔枝子  手づから荔枝の子を插み
  合抱三百株  合抱 三百株

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杭州は大都会である。南宋の都として栄えた歴史があるが、それ以前からも江南の大都会であり、唐の白楽天、北宋の蘇東坡が知事をつとめたことでも有名だ。近代以降でも、江南最大の都市として、中国経済の中心地となり、中国で最も金持ちの多い都市だということになっている。蒋介石は、この町の出身である。杭州は彼の権力の一端を財政的に支えたのだともいわれている。

野田総理大臣が議長をつとめる国家戦略会議のフロンティア分科会なるものが、国の長期ビジョンに関する報告書をまとめたが、そのなかにある「40歳定年制」の提言を巡って、ちょっとした騒ぎになっているのだそうだ。

牛島信明は岩波文庫版「ドン・キホーテ」の最新版の翻訳者であり、セルバンテスの研究者としては、日本では一流の人だったと思う。惜しくも(2002年に)62歳で亡くなってしまったが、幸い翻訳のほかに、ドン・キホーテ論も残してくれた。ここに紹介する「反=ドン・キホーテ論」がその主な業績だ。

最低賃金が生活保護の水準を下回る「逆転現象」が、東京、大阪など11の都道府県で起きていることを、厚生労働省が発表した。同省によれば、こうした現象は必ずしも珍しいことではないのだそうだが、11もの都道府県で広範囲に起きたことは、これまでにはなかったそうだ。

山口仲美さんの本「犬はびよと鳴いていた」(光文社新書)を読んだ。山口さんは日本語の歴史的な発展過程に造詣が深いらしく、この本の中では擬音語や擬態語の歴史的な様相に光をあてていた。題名にある犬の鳴き声の考察では、室町時代まで、犬は「びよ」と鳴いており、それが江戸時代に「ワン」と鳴くようになったのは、犬の生活様式の変化と関係がある、などと凡百には気づかないことをあきらかにしてくれる。

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ブラックホールには銀河の中心に位置する超巨大ブラックホールと、恒星が一生を終えたときの超新星爆発によって生じる小規模ブラックホールの2種類があるとされてきたが、そのどちらとも異なる中間質量ブラックホールの存在が確認された、とNASAの研究チームが発表した。

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関西地方を中心に南は九州から北は東北の各地にかけて4700もの前方後円墳が点在しているが、それらが作られた当時の様子については意外に知られていない。盗掘が進んで内部が荒らされていたり、また大型古墳は皇室ゆかりのものとみなされて宮内庁管理下にあって、立ち入りが禁止されているからだ。

第二次大戦後に、日本やドイツなどの敗戦国に対して適用されたいわゆる戦犯三類型のうち、日本人を対象にしたBC級戦犯裁判の実態については、これまで組織的な研究がなされてきたとは言い難かった、と林博史氏はいう。この著作「BC級戦犯裁判」(岩波新書)は、そうした状況に一石を投じるつもりで書いた、と氏はいうのだが、筆者なども、この問題が今後組織的に研究されることを期待している。というのも、先般は南京事件を巡って、某名古屋市長の放言をきっかけに、日中の歴史認識に齟齬のあることがあぶりだされたばかりであり、歴史的な事実に対しては、曇りのない目で向き合うことが肝要だと、あらためて思い知らされたからである。

前著「戦後ドイツ」で、三島氏は第二次世界大戦の終了から1990年の再統一にいたるまでのドイツ現代史を、主に思想家の動きに焦点をあてながら解説していた。その続編ともいえる「現代ドイツ」は、再統一後、EU統合の動きが深まりゆく2000年代10年間の前半までをカバーしている。思想家の動向を中心にしていることは、前著と異ならないが、前著に比べると、政治的な動向により大きな配慮が施されている。

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「最後の審判」には刃物の化け物が出てくる。これは中央パネルの右下の部分だが、爬虫類のグロテスクな胴体から巨大なナイフの頭が突き出ている。その上の方には、小屋の屋根からのこぎりが突き出ている。この小屋はどうやら、化け物たちの休憩所のようである。またナイフの右手には、駕籠から脚の生えた化け物が、三日月形の鎌を振りかざしている。

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先日、南米エクアドルのジャングルで発見された新種のアマガエルがイギリスのチャールズ皇太子に進呈されたうえ、その名も「チャールズ皇太子アマガエル」と命名され、チャールズ皇太子は得意満面だったそうだ。

ロベール・デスノスの「おりこうさんのおとぎ歌」から「ふくろう(Les Hiboux)」(壺齋散人訳)

  お母さんフクロウたちが
  ちびっこフクロウたちを
  ひざの上に抱えながら
  しらみ取りをしているよ

民主、自民、公明にみんなの党と国民新党を加えた与野党5党が、橋下「大阪都」構想を実現させる法案を今国会に提案することで合意したそうだ。内容を一言でいえば、今まで東京都に限って適用されていた特別区制度を、他の道府県にも拡大適用できるようにしようと言うものだ。

蘇軾は陶淵明の詩をこよなく愛し、多くの陶詩に次韻している。広陵時代には飲酒20首に和したことがあるが、紹聖2年恵州にあっては、「園田の居に歸る六首」に和した。陶淵明のこの連作は実は5首しかないはずで、6首目は梁の江奄の詩に和したものである。

ロシアと中国はともに、社会主義的計画経済から市場経済への移行を図ってきたが、その結果は極めて対照的なものになった。一言で言えば、中国の成功とロシアの失敗のコントラストである。ロシアが資本主義的経済への体制移行に努めた1990年代に限ってみても、中国は年平均10パーセントを上回る率で成長を続けたのに対し、ロシアは年平均5.6パーセントも成長率を低下させ、その結果2000年におけるロシアのGDPは1990年のそれの3分の2以下になってしまった。ロシアにはかつての経済大国のイメージはなくなり、それに代わって中国が経済大国への道を歩み始めたのである。

福島原発事故を検証するために作られた国会事故調は、自民・公明と民主党内の非主流派が主導したという経緯や、委員会の構成メンバーからして、政治的な色彩を強く疑われていた。果して6月に出した中間報告では、菅政権の対応を厳しく非難する一方、東電に対しては甘いという印象をばらまいたところだ。しかし、今回(7月5日)出した最終報告は、それなりに良識的なまとめ方に収まった、というところだろうか。

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烏鎮は作家茅盾の故郷として知られる。同行の中国人女性に、中国読みを確認したところ「マオトゥン」と発音するのだそうだ。その故居なるものが、東柵の一角にあった。この絵にある橋の、左手に下りたすぐそばのところだ。

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メドヴェージェフが国後島を視察したことについて、日露関係の立て直しの必要性に言及したプーチン大統領の姿勢と反するのではないか、と日本側は(筆者も含めて)強く批判したが、それはG20の場で設定された野田・プーチン会談での合意事項を踏みにじっている、と日本側が受け取ったことが背景の一つになっていた。片方では友好をいいながら、もう片方では相手の神経を逆なでするようなことをする、ロシア側のやり方は不届き極まりない、そんな反応だったわけだ。

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欧州合同原子核研究機関(CERN)が6月4日にヒッグス粒子を発見したと発表した。CERNの二つの研究グループがヒッグス粒子の痕跡を見つけたと発表したのが昨年(2011)12月、その成果を詳細に追跡研究した結果、今回の発表につながったという。ただCERNは、発見の確率が99.9999パーセント以上だと強調しながらも、今後さらに制度を高め、ゆるぎないものにしたいといっているそうだ。

ホセ・オルテガ・イ・ガセーの「ドン・キホーテをめぐる思索」(佐々木孝訳)を読んだ。オルテガといえば「大衆の反逆」などで知られる思想家で、20世紀に大衆なるものが出現したことを初めて宣言した人だ。それ故どちらかというと、社会学者としての印象が強いが、本人は哲学者として自己認識していたようだ。

メドヴェージェフの北方諸島(ロシア名クリル諸島)視察について、プラウダ(WEB英語版)が比較的抑制された調子の記事を載せているので、資料保存の意味合いから、ここに紹介しておきたい。

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メドヴェージェフ・ロシア首相が、6月3日に北方領土の国後島を視察した。大統領時代の2010年に、ロシアの最高指導者として初めて北方領土に足を踏み入れ、日本人の反発を食らったものだが、今回は首相の立場としてとはいえ、ロシアによる北方領土の実効支配を強烈にアピールする意図があることは間違いない。本人も、北方諸島(ロシア名クリール諸島)はロシアの領土だと、重ねて強調している。

話し言葉・書き言葉を通じて、平安時代までと中世とではちょっとした断絶がある、と言語学者の山口仲美氏はいう(日本語の歴史)。平安時代までの日本語がきわめて情緒的な性格を帯びていたのに対して、中世以後の日本語は次第に論理を重んじたものになっていく、というのである。その過程で、日本語のきわめて顕著な特徴であった係り結びが、中世には次第に用いられなくなり、ついには滅び去ってしまった、氏はそうもいう。

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古代ギリシャといえば、真っ白な大理石に刻まれた端正な人物像に象徴される"白い"文明と言うのが、我々現代人にとってのステレオタイプになっているが、実はそれらの像には、もともと極彩色の色彩が施されていた、そんな事実が、大英博物館の研究者などの最近の調査からわかってきたそうだ。その様子を、NHKスペシャルの特集番組が紹介していた。(知られざる大英博物館 第2集 古代ギリシャ "白い"文明の真実)

1943年5月のアッツ島玉砕に始まり、日本軍は太平洋の島々に展開していた部隊が次々に全滅するという悲劇的な事態に見舞われた。その主なものを列挙すると、次のとおりである。

スティグリッツ博士は、IMFが1980年代以降市場原理主義者たちの牙城となり、誤った経済政策を追求することになった結果、1990年代以降、世界経済に破壊的な作用を及ぼしたと、強く批判している。そんな中でもIMFの罪が最も大きいのは、東アジア危機を発生するきっかけを作ったことと、それを大災害へと発展させたことだという。

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「最期の審判」中央パネルで展開されている光景は、裁きの場としてのヨシャパテの谷であって、地獄そのものではないとしたら、ここで展開されている責め苦は何を表しているのだろうか。画面のいたるところに、グロテスクな化け物や怪物が跳梁し、裸の人間たちがそれらによって拷問の責め苦を受けている。これは煉獄の試練なのだろうか。

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6月28-29の両日にわたって行われたユーロ首脳会議で、ふたつの重大な決定がなされた。ひとつは銀行同盟の結成であり、もう一つはヨーロッパ中央銀行による各国国債の直接買い取り制度の導入である。ふたつとも、ユーロの統合を一段と深化させるものであり、今や危機的な状態に陥っているユーロへの信認を回復させるものだとして、一定の評価を受けているようだ。いわく、ユーロ統合へ向けて数歩前進だと。

ロベール・デスノスの「おりこうさんのおとぎ歌」から「しまうま(Le Zèbre)」(壺齋散人訳)

  しまうまは闇の馬
  脚を上げて目を閉じて
  背骨をボキボキ鳴らしながら
  うれしそうにいななくんだ



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