あひるの暑気払い:新宿西口「三代目網元」にて

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先日紀伊半島への旅を共にしたあひるの仲間たちと、暑気払いをかねて飲み会を催した。場所は以前使ったことがある新宿西口の飲み屋「三代目網元」だ。

集合時間の6時ちょっと前に店の手前まで来てみると、いまちゃんあひるが店の中に入っていくところを見かけた。ところが遅れて部屋の中に案内されると、いまちゃんあひるの姿がない。不思議に思って店員をつかまえ、それらしき人間が入ってこなかったかと問いただしても、拉致があかない。不思議に思っていると、横ちゃんあひるがやってきた。そこで横ちゃんあひるに向かって、先ほどいまちゃんあひるをみかけたといったところ、そんなはずはない、何故ならいまちゃんあひるはまだ職場にいるはずだからと言う。まあいいや、自分の見間違いかもしれないから、と思っていると、静ちゃんあひるも現れた。とりあえず三羽で乾杯しよう。

さしみの盛り合わせやら何やらを静ちゃんあひるが店員に注文する。その中にマグロのあぶりあげと言うのがある。まぐろの身は、これから解体されるはずのマグロを使って欲しいと静ちゃんあひるがいう。どういうことかと思ったら、この店では毎週木曜日にお客の前でマグロを解体し、その場でせりにかけるのだそうだ。そのマグロが一階の入り口の前に置かれているという。さっきは気づかなかったが、言われて入り口を見下ろしてみると、なるほどでかいマグロが見える。近海物のようだ。店員は、よかったら競りに参加しませんかと言い残して去ったが、行われるのは7時過ぎだという。それまでその気が残っていたら参加してみよう。

そうこうするうち、いまちゃんあひるもやってきた。遅れた理由は、6時過ぎまで職場の留守番を務めていたからだという。なるほど、それでは来られるはずはない。さっき見たと思ったのは、筆者の見間違いだったわけだ。

いまちゃんあひるのほっぺたが心もち腫れているように見える。そこで静ちゃんあひるが心配して尋ねると、先日口腔内の手術を受けて、その予後が良くないそうなのだ。痛むのかいと聞くと、笑ったりすると痛むのだという。食事への影響はあるのかいと聞くと、痛むこともあるという。それは大変だ、早く医者に訴えて処置をしてもらわねばならぬ、こんな風に言うと、医者は忙しいのでなかなか早く見てくれないという。それは君が遠慮しすぎているからだよ、痛みを大げさに訴えて、今すぐ見てくれなければ死んでしまうといってごらん、とみんなでけしかける。たしかに、遠慮ばかりしていたら、損な目に会うばかりだものね。

少尉あひるはまだ来ない。7時過ぎになるだろうという。仕事が忙しいらしいのだ。70にもなって仕事熱心なのは殊勝なことだ、僕にはとても勤まらんね、と筆者が言うと、それはあなたには奥さんがいるからよ、と静ちゃんあひるがたしなめる。少尉は奥さんを亡くしてさみしくなり、家に一人いるのがつらいのよ、と言うのだ。筆者には奥さんがいるからさみしくもないだろうし、仕事をせずとも退屈しないだろうという理屈らしい。

芋焼酎に切り替えて、オンザロックなどを飲んでいると、少尉あひるもやってきた。昨年のこのメンバーでいった郡上八幡の踊りが杉並で開催されたので、そいつを友人とともに見に行ったそうだ。すると昨年我々に踊りを手ほどきしてくれた女性もその場にいて、旧交を温めあったそうだ。女性にリードされながら、少尉たちも10曲ばかり踊ったというから、なかなか隅に置けない楽しみ方をしたということになる。

そんな少尉に向かって静ちゃんあひるが、どう? 奥さんが亡くなってさびしいでしょ、と聞く。少尉あひるは正直に、さびしいという。よほど仲の良い夫婦だったのだろう。

そのうち、これからどこに旅行しようかという話になった。筆者はこの秋に中国に行くつもりだけれど、誰か一緒に行くものはいないかい、と尋ねたところ、いまちゃんあひるが是非一緒に連れて行ってほしいという。横ちゃんあひるは、中国はもう行き飽きたからいいやという。彼は別のメンバーと一緒に、来年早々カンボジアに行くのだそうだ。カンボジアはたしか日本との国交がないはずだ。そんな国に無事に旅行できるのかい、第一ビザがとれるのかな、と心配してやったら、仲の良い友人が現地で旅行業を営んでおり、その男の案内があるから大丈夫だと思う、と余りはかばかしくない返事が返ってくる。

少尉あひるは来年の夏を睨んでいろいろと計画があるらしく、パンフレットまで用意して説明してくれた。彼が言うには、二泊三日かけて東北の三大旅行を見回るプランと、富山の風の盆を見るコースと、どちらかも甲乙つけがたいということらしいのだが、どちらがいいか中々結論が出なかった。そこで来年のことは、来年になってから考えようということになり、今年の秋はじゃあどうしようかと、ああでもないこうでもないと話し合っているうちに、一泊二日なら、この秋でも休暇が取れるかもしれないと静ちゃんあひるが言いだした。来年の春にマルタ共和国に招かれて旅行する予定なので、その前には大きな旅はしないつもりでいたのだけれど、一泊二日の国内旅行ならしてもいいわ、というのだ。

じゃあ、南九州なんてのはどうだろう。宮崎から鹿児島にかけてちょっとしたコースがあると思うよ、霧島連山の高千穂の峰に登ったり、指宿の温泉に浸かったり、海の幸も新鮮なはずだ。そんなことを筆者が言ったら、静ちゃんあひるもその気になって、そうね、いいかもしれないわね、ということになった。

そこでいつも幹事役を務めてくれる横ちゃんあひるの方を見ると、こちらはもう酒に酔っぱらって居眠りをしている。とても旅行のプランを検討できるような状態ではない。

こんな具合でワイワイやっている間に時間が過ぎた。筆者の酔いも大分回ってきた。そこで今日の所はここでお開きということになり、5人は新宿駅で別れた次第だったが、その後静ちゃんあひるが珍しく帰路を筆者と共にしてくれるといって、総武線に乗って西船橋まで一緒に来てくれた。その車内でも引き続き旅行のことが話題になって、この秋に南九州にいくというプランをぜひ実現しましょうよ、と申し合わせた次第だった。





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このページは、が2012年7月27日 19:29に書いたブログ記事です。

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