ロンドン・オリンピックでの日本の獲得メダルの総数は38個。金メダルについては7個で、当初目標の15個を下回ったが、総数としてはアテネの37個をしのぎ史上最大となった。この躍進の影には、国によるサポート・システムの存在があるのだそうだ。
東京北区にあるナショナル・トレーニングセンターと、隣接する国立スポーツ科学センターがそれだ。ナショナル・トレーニングセンターは、屋根つきの全天候型陸上トラックや、柔道、体操などの専用練習場、選手やスタッフの宿泊施設を持ち、競技団体を対象に貸し出しを行う。費用の3分の2は国が負担するというものだ。
一方、国立スポーツ科学センターは、健康管理や筋力トレーニングの拠点として利用される。この二つの施設が一体となって、競技者のレベルアップのためにサポートをする体制ができている。今回の日本の躍進は、こうしたサポート体制の賜物だという側面を強く持っているというわけなのだ。その証拠に、サポートを受けた競技では成果が見られたのに、受けられなかった競技は苦戦した。
かつての日本は、企業がスポーツの面倒を見ていた。バレーボールのニチボー貝塚はその象徴だ。しかし企業が相次いでスポーツ支援から撤退する中で、国によるサポートが求められてきた。イギリスでは1951年、韓国では1966年にナショナル・スポーツセンターが設立されたが、日本でできたのは2008年のことだ。その効果が早速ロンドン大会で現れたわけだ。
今のところ、ナショナルセンターがカバーしているのは、まだ一部だ。今後は乗馬などの野外競技やカヌーなどの水辺の競技、そして冬季競技でのサポート体制が求められることとなろう。