日本史覚書


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久しぶりに復活した日韓シャトル外交で日本を公式訪問した李明博大統領、迎えた野田総理はこれを外交上の得点に結び付けたかったようだが、意に反して日韓会談の内容は極めて厳しいものになった。李明博大統領がいわゆる従軍慰安婦問題を取り上げて、野田政権によるこの問題への高度な政治的対応を求め、これ以外の懸案事項がみな消し飛んでしまうほどのインパクトをもったからだ。

昭和時代前期の戦争の時代に登場する日本の政治家には、遠大な展望と精緻な分析をもとに国家を正しい方向へと導けるようなスケールの大きな政治家はいなかった。日本国民にとって不幸なことに、近視眼的な展望と混濁した意識しか持ち合わせない矮小な政治家はいくらでもいた。その連中が、日本と云う国を誤らせた、これが昭和史前期の政治家群像に関する半藤一利さんの基本的なスタンスだ。

昭和史の中で昭和天皇が果した政治的な役割と云うのは、意外と大きいものだった。半藤一利さんは、「昭和史」のなかでそんな評価をしているようだ。それも昭和天皇を、世界情勢を自分なりに認識されたうえで、この国を誤った方向から救い出そうと努力された人として見ているところがある。実際に日本がたどった道を見れば、昭和天皇の意思とは異なった方向に走ってしまったわけだが、天皇は立憲君主制の枠の中で、機会が訪れるたびに、自分の意思を表明しようとされた。

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今年は日米開戦70周年とあって、真珠湾攻撃日の12月8日に向けて、NHKが戦争経験者たちの証言集を放送していた。真珠湾から70年、敗戦からでも66年たっているから、戦争を身を以て体験した人も、かなり高齢化している。実際テレビのインタビュー場面に登場した人々はみな、80歳代後半から90歳代の人たちだった。彼らの多くは、今までは口の重かった人たちだ。その彼らがやっと、口を開いて、自分の経験した辛い出来事を話していた。

半藤一利さんの「昭和史」を興味深く読んだ。この著作には半藤さんの歴史意識のようなものが込められている。

先日神保町の古本屋街を歩いているとき、半藤一利氏の著作「ノモンハンの夏」を見かけて買った。その直前に読んだ村上春樹の小説「ねじまき鳥クロニクル」に、ノモンハン事件の話が出てきて、筆者は非常に感銘を受けていたところだったので、結構厚い本だったが、読んでみる気になった次第だった。

先日厚生省がフィリピンで収集した旧日本軍兵士の遺骨の中に現地の人たちの遺骨が大量に含まれていたというニュースが流れて、遺族たち直接の関係者はもとより、心ある日本人すべての怒りを買った。厚生省のあまりにもお役所的で無責任なやり方が、国民の尊厳を踏みにじるばかりか、旧日本軍が侵略した国の人々の尊厳をも踏みにじったと。

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朝鮮王朝儀軌をはじめ、植民地時代の朝鮮から日本に持ち出された図書1200冊ばかりの「返還」を巡って、先日政治的な騒ぎがあったばかりだが、そもそもこれらの図書類がなぜどのような経緯で日本にわたってきたかについては、これまであまり知られていなかった。大部分が宮内庁書陵部という特別な空間にひっそりとしまわれてきたからだろう。

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日中戦争から米英との全面戦争に発展したあの無謀な戦争で、日本は310万人もの国民の命を消耗した。かけた戦費もまた膨大な額に上った。日中戦争以降の8年間に限っても、7559億円、現在の価値に換算して300兆円に上る。今の日本のGDPは500兆円弱だから、その6割ほどの規模だ。

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広島・長崎への原爆投下については、これまでは日本軍や日本政府当局が想定していない事態のもとで、不意打ちのような形で起きたとされてきた。ところが、最近のNHKの調査の結果、日本軍はアメリカの原爆開発の動向を十分に察知していたばかりか、原爆投下に先立って、事前にB29の動きを察知していたことまで明らかになった。

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NHKスペシャル「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」第4回は、「開戦、リーダーたちの迷走」と題して、昭和16年12月に行われた日米開戦の意思決定が、いかに無責任なプロセスだったかを、当時の指導者たちの肉声を記録したテープなど、第一級資料をもとにあぶりだしていた。

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NHKスペシャル「日本人は何故戦争へと向かったのか」第3回は、日中戦争から太平洋戦争にいたる過程でメディアが果たした役割について検証している。題して「"熱狂"はこうして作られた」

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今年(2011)は大逆事件の首謀者とされた幸徳秋水が処刑されてから100年目の節目の年だ。長らくこの問題にかかわってきた「大逆事件を明らかにする会」事務局長山泉進さんと「大逆事件」の著作で知られるノンフィクション作家田中信尚さんが、月刊誌「世界」に対談を載せているのを興味深く読んだ。

日本の北方領土をめぐるロシアの姿勢がいよいよ頑なになってきた。どうやら永久占領を視野に入れているようだ。最近は、中国や韓国の企業を巻き込んで、開発を進めようとする姿勢まで示している。

NHKスペシャル番組「北方領土解決の道はあるのか」を見た。ロシア人カメラマンを雇ったりして、一年間かけて取材してきた北方領土の現状を紹介し、返還の可能性について考えるというものだったが、折からロシアとの間で高まった緊張が、番組制作にも深い影を落としたようで、なんとも歯切れの悪い仕上がりになっているとの印象を持った。

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NHKスペシャル「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」の第二回目は、「巨大組織陸軍暴走のメカニズム」と題して、日本陸軍に焦点をあてていた。

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今年は日米開戦から70年目の節目の年だ。そこでNHKが、「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」と題して、日米開戦に至った歴史的経緯を改めて検証する番組を、4回に分けて放送することとした。

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メドヴェージェフ・ロシア大統領が、24日に放送されたインタヴュー番組の中で、クリール諸島(千島列島)に触れ、日本が固有の領土であると主張する北方4島を含め、すべての島がロシアの領土であることを強調したそうだ。(上の写真:AFP提供)

菅内閣は河野駐露大使を交代させることにした。事実上の更迭人事だ。メドヴェージェフ・ロシア大統領の北方領土訪問をめぐる不手際な対応について、責任をとらされた形だ。

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上の写真(時事通信提供)は、硫黄島を訪問して、旧日本軍兵士の遺骨の前でひざまづく菅首相。硫黄島には戦死したまま野ざらしになっている遺骨が、いまだに一万体以上残っている。この他、フィリピンやマーシャル諸島にも、収集されていない遺骨が多数残されている実態がある。

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