墓碑銘 ÉPITAPHE :トリスタン・コルビエール
墓碑銘 ÉPITAPHE :トリスタン・コルビエール詩集「黄色の愛」から(壺齋散人訳)
熱狂から命を絶った あるいは怠惰で死んだ
生き続けるとしても忘却のうち 以下はその生前の姿
唯一の悔恨は自分自身の主人になれなかったことだ
墓碑銘 ÉPITAPHE :トリスタン・コルビエール詩集「黄色の愛」から(壺齋散人訳)
熱狂から命を絶った あるいは怠惰で死んだ
生き続けるとしても忘却のうち 以下はその生前の姿
唯一の悔恨は自分自身の主人になれなかったことだ
トリスタン・コルビエールの詩集「黄色い愛」から「女の友へ」 A une Camarade(壺齋散人訳)
この俺に何を求めるのだ? 可愛い女よ
俺ときてはお前が何より愛しいのだ!
―愛かしら? ―見つかるかどうか探してごらん!
お前が俺を愛するなら 俺だってお前を愛してやる
ガマガエル Le Crapaud (トリスタン・コルビエール:壺齋散人訳)
歌声が風のない夜に響く
―銀色の板のような月
黒ずんだ緑の葉っぱがなびく
歌声がこだまのように生き生きと
草薮から聞こえてくる
―静まったぞ やあそこだ闇の中だ
夜のソンネ Sonnet de Nuit (トリスタン・コルビエール:壺齋散人訳)
けだるそうな十字窓が
俺の度重なる死に硬直している
ダイアを嵌め込んだ硝子には
俺の引っかき傷の跡がある
奪回 Rescousse (トリスタン・コルビエール:壺齋散人訳)
もしも俺のギターが
音締めの甲斐なく
いやな音を立て
インドの匕首
拷問の吊り鉤
首吊り台
びっくり箱のようで
よろしくないなら
トリスタン・コルビエールの詩「時報 」Heures (壺齋散人訳)
泥棒に追い銭
人殺しに目くばせ
剣客には手合わせ
―どうも俺の心は普通じゃない
俺はパンプローナの気違いだ
俺はお月様の哄笑が怖い
黒いパンくずを抱えたゴキブリめ
恐ろしや みな燭台の下でうごめいてるぞ
トリスタン・コルビエールの詩「忌まわしい眺め」 Paysage Mauvais(壺齋散人訳)
干からびた骨の砂 -波が弔いの鐘のような音をたて
ひとつまたひとつとざわめき寄せる
―どんよりとした沼地には
月が虫を飲み込んで 夜が更ける
トリスタン・コルビエールの詩「最期」 La Fin(壺齋散人訳)
まさしくこれらの船乗りども 水夫も船長も
大海に永遠に飲み込まれるべく
遠い航路へと呑気に船出したところが
みな死んでしまったのだ 船出の姿そのままに
トリスタン・コルビエールの詩「ロンデル」 Rondel(壺齋散人訳)
真っ暗だぞ 光泥棒!
もう夜は来ない 昼も来ない
あいつらが来るのを待ちながら 眠れ
あいつらはいう 「いつか!」 そして 「いつも!」と
トリスタン・コルビエールの詩「死のジョーク」 Petit Mort Pour Rire(壺齋散人訳)
軽やかに流れる帚星は髪の毛も梳かしてくれる!
風にそよぐ葉っぱが梳かしてほしいとさ
お前の見開いた目からは火花が散る
それは馬鹿な頭に閉じ込められてた妖精なのさ
ボードレールの散文詩集「パリの憂鬱」から「競走馬」Un Cheval de race(壺齋散人訳)
彼女は美しくはない、だが優雅なのだ。
時間と愛とが、人に爪跡を刻み、ひと時の流れ、接吻の一つひとつが若さと瑞々しさを奪っていくことを、残酷にも彼女に教えてくれた。
彼女は醜い。アリのようであり、クモのようであり、そういいたければ骸骨そのものといってよい。しかしまた同時に、媚薬であり、権威であり、魔法でもある。要するに彼女は素晴らしいのだ。
エディット・ピアフ Edith Piafのシャンソン「日曜日はきらい」Je hais les dimanches:壺齋散人による歌詞の翻訳
週のうちのどの日も
うつろで空っぽだわ
でも最もいやなのは
日曜日なのよ
バラ色めかして
気前よく遊び
幸せそのもののようだけど
その振りをしてるだけ
日曜日はきらい
日曜日はきらいなの
エディット・ピアフのシャンソン「十字架」Les Croix:壺齋散人による歌詞の翻訳
神様 この世には沢山の十字架があるのですね
木や鉄の十字架
なつかしい十字架
胸元を飾ってる
小さな銀の十字架
廃墟の中に捨てられた
修道女の古い十字架
エディット・ピアフの歌「パダム パダム」Padam Padam:壺齋散人による歌詞の翻訳
いつもわたしにつきまとっている
この気配はずっと前からのことだわ
わたしの行くところには必ずいて
シンフォニーのように鳴り響くの
ある日わたしは狂いそうになって
何故なのって何度もいったわ
でもその気配はわたしをさえぎり
わたしより先を歩いては
わたしの言葉を圧倒するのよ
エディット・ピアフの歌「水に流すわ」Non, Je ne regrette rien:壺齋散人による歌詞の翻訳
いいえ いいのよ
後悔なんかしてない
いろんな ことが あったけど
水に流すわ
いいえ いいのよ
後悔なんかしてない
すべて水に流して
気にしないわ
ミスタンゲット Mistinguettの歌「思い人」Mon Homme:壺齋散人による歌詞の日本語訳
この世に ひとつだけの よろこびは
思い人
愛も 心も もてるものを 捧げるの
思い人に
真夜中に
夢見るのも ただひとつ
思い人のこと
男前でも 金持ちでもないけど
愛してるの
ばかげてるでしょ
でもいいのよ
だれがどう思おうと
こころから
愛してるの
ミスタンゲット Mistinguett の歌「サ・セ・パリ」Ça, c'est Paris:壺齋散人による歌詞の日本語訳
パリは ブロンド娘
世界を 魅了する
鼻を つんとさせて
目には 笑みを浮かべ
訪れる 人は誰でも
魅力に うっとりとする
いったん 去った後でも
かならず 舞い戻るの
ミスタンゲットの歌「ほんとよ」C'est vrai:壺齋散人による歌詞の日本語訳
やっとパリに たどり着いたわ
ロンドンと トリーノと
オーストリアを旅し
ウィーンから 舞い戻って きたの
だってパリに いないわけには
いかないもの
パリは いつでも 最高だわ
ミスタンゲットの歌「わたしはパリ生まれ」Oui, je suis de Paris:壺齋散人による歌詞の日本語訳
わたしを
見る人はみんな こういうの
とてもおしゃまで かわいいねって
うれしいわ
そのとおりよ
わたしは
おしゃべりするのも だいすきよ
街中の男たちともお友達
たのしいわ
空騒ぎしても
礼儀正しいの
わたしの
生まれは
(パリ)
そのとおり
ダミア Damia の歌「人の気も知らないで」Tu Ne Sais Pas Aimer(壺齋散人による歌詞の翻訳)
あなたはそんな振りしてるけど
心からは思っていない
だからどんなに微笑まれても
わたしはいいたくなるのよ
人の気も知らないで
両手を差し伸べる
あなたの眼の奥に愛を探しても
見つかるのはうつろな瞳だけ