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詩人の魂




2007年3月12日

吊るされ人のバラード:ヴィヨンの墓碑銘

フランソア・ヴィヨン” François Villon;1431-1463?”の生涯は、「無頼と放浪の詩人」という名に相応しく、さして長くもないと思われるにかかわらず、この世の秩序からはみ出たランチキぶり、喧嘩やちっぽけな犯罪、そして追放や懲役といった不名誉な事柄で満ち満ちている。

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2007年3月13日

アルチュール・ランボー:吊るされ人の踊り

アルチュール・ランボー“Arthur Rimbaud;1854-1891”ほど、フランソヴィヨンを深く理解し、その作風を自分の創作に取り込んだ詩人はいなかった。この早熟の天才が、どこから豊かなイマジネーションを得たかを探っていくと、そこにはフランソア・ヴィヨンの巨大な影響があったと思われるのである。

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2007年3月14日

奇妙な果実:ビリー・ホリデイの歌

今では伝説の歌手となった黒人女性ジャズシンガー、ビリー・ホリデイ ”Billie Holiday;1915-1959” は生涯黒人であることにこだわり続けた。ビリー・ホリデイが生きた20世紀前半、アメリカは人種差別の横行する社会であり、黒人は人間とはみなされなかった。南部を中心に、白人の黒人に対する差別は激しいものがあり、時には反抗する黒人をリンチにかけて吊るすことが、当然のことのように行われていた。

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2007年3月15日

フランソア・ヴィヨン:いにしへひとのバラード

フランソア・ヴィヨンの詩は、日本では鈴木信太郎の訳によって広く知られるようになった。岩波文庫にも収められているから、簡単に接することができる。分けても有名になったのが「昔の美姫の賦」である。「さはれさはれ去年の雪いまはいづこ」と繰り返されるルフランが、この詩人の神秘的なイメージを、日本人の間に形成するに一役買った。

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2007年3月26日

フランソア・ヴィヨン:生涯と作品

フランソア・ヴィヨン “François Villon;1431-1463?”は、ジャンヌ・ダルクがルーアンで火炙りにされた年に、パリで生まれた。フランスはまだ中世の世界を脱しておらず、国土も完全には統一されていなかった。こんなフランスにあって、フランソア・ヴィヨンは無頼と放浪の短い人生を送った。その作品は詩人の人生を映し出して、荒々しい妖気を放つ。闇を突き抜けた閃光のようでもある。

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2007年3月27日

老女の繰言(ヴィヨン:遺言の書)

フランソア・ヴィヨンの主著は、30歳ごろに書いたとされる「遺言の書」Le Testamentである。それ以前に書いた詩集にも、Le Testamentと名付けたので、区別するために、主著のほうはGrand Testament、以前のものをPetit Testamentと呼び分けている。日本語では、Petit Testamentのほうは、普通「形見分けの書」と訳している。

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2007年5月 2日

祈りのバラード:ヴィヨンが母のために作った歌

「遺言の書」第89節の後に、ヴィヨンは母のためにつくったバラードを載せている。ヴィヨンの遺言は、まず天使に宛ててなされた後、父とも仰ぐ叔父ギヨームに移り、そして母へと向かうのであるが、母のためにヴィヨンが残したものは、聖母ノートル・ダームに捧げられたバラードなのであった。

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2007年5月 3日

愛する女へのバラード(ヴィヨン:遺言の書)

母親の次に、ヴィヨンが選んだ遺贈の相手は昔の女。ヴィヨンの女遍歴については、色々と説がある。ヴィヨンのはじめて引き起こしたトラブルは女が絡んだものだったし、放浪の身となるにあたって決定的となった事件にも女がからんでいた。

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2007年5月 9日

死のロンド(ヴィヨン:遺言の書)

ロンドは「輪舞曲」と訳される。ルフランを規則的に配して、回遊式の体裁に仕立てたものだ。西洋音楽の一ジャンルとして古くからあった。ヴィヨンの時代にも、小唄の一つの形式として、広く行われていたらしい。

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2007年5月10日

パリ女のバラード:フランソア・ヴィヨン

今日、パリジェンヌの話し上手は、世界中の女性の中でもとりわけ洗練されているとの評判であるが、既にフランソア・ヴィヨンの時代からそうであったらしい。ヴィヨンは、そのパリの女たちの舌先の見事さを、半分揶揄混じりで讃える歌を作っている。「遺言の書」第144節の後にある「パリ女のバラード」である。

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2007年5月16日

墓碑銘とロンド(ヴィヨン:遺言の書)

フランソア・ヴィヨンの詩集「遺言の書」のハイライトは、ヴィヨンが自らのために作った墓碑銘とロンドである。遺言がテーマなのであるから、自分の手で自分自身のための墓碑銘を書いておきたかったのであろう。墓碑銘にロンドを添えたのは、詩人としての矜持からと思われる。

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2007年5月17日

慈悲のバラード(ヴィヨン:遺言の書)

フランソア・ヴィヨンの詩集「遺言の書」は、186節の八行詩と20篇の独立の詩からなっているが、その最後に近い部分、「結びのバラード」の一つ手前に置かれているのが、「慈悲のバラード」である。

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2007年5月23日

逆説のバラード:フランソア・ヴィヨン

フランソア・ヴィヨンは、大小のテスタメント(「形見分け」と「遺言の書」)のほかに、雑詩篇と呼ばれる独立の詩篇十数編を残している。最も有名なものは「吊るされ人のバラード」である。そのほかに「逆説のバラード」とか「矛盾のバラード」とかいった、挑発的な題名の作品がある。

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2007年5月24日

矛盾のバラード(ヴィヨン:ブロアの歌合せ)

フランソア・ヴィヨンは、1456年に引き起こしたあるトラブルがもとでパリにいることができなくなり、諸国を放浪するようになった。その旅の途中、文芸の保護者で名高いシャルル・ドルレアン公を頼り、ブロア城に立寄ったことがあった。

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2007年5月30日

書簡のバラード:フランソア・ヴィヨン

フランソア・ヴィヨンは、シャルル・ドルレアン公と別れブロア城を出た後も放浪を重ね、コキャール党と呼ばれる盗賊団の一員となったようだが、1461年に捕らえられて、マン・シュル・ロアールの監獄にぶち込まれた。

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2007年5月31日

フランソア・ヴィヨンの心と身体の論争

1462年の暮、フランソア・ヴィヨンは絞首刑の判決を言い渡された。昔引き起こしたナヴァールの事件を蒸し返されたためだとされている。すっかり観念したヴィヨンは、このとき「吊るされ人のバラード」を書いて、死に備えたこともあった。

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ヴィヨンの悪魔狂言:パンタグリュエル物語

フランソア・ラブレーの大年代記第四之書「パンタグリュエルの物語」は、フランソア・ヴィヨンの愉快ないたずらについて紹介している。(以下テキストは、渡辺一夫訳、岩波文庫版)

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2007年6月 6日

アルチュール・ランボー:生涯と作品

アルチュール・ランボー Arthur Rimbaud (1854-1891) は、普仏戦争とパリコミューン前後のフランスに彗星のように現れ、光り輝くような作品を残して、あわただしく文学史の表舞台から去っていった。その文学的活動は数年にとどまり、しかも20歳を前にして筆を擱いたにかかわらず、その作品群は独特の香りに満ち、後の詩人たちに巨大な影響を及ぼした。フランス文学史上、孤高の光を放った稀有の詩人といえる。

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2007年6月 7日

夏の感触:アルチュール・ランボー初期の詩

早い時期から天才を示したアルチュール・ランボーは、15歳の頃から今日に伝わる優れた詩を書き始めた。1870年の1月に、ジョルジュ・イザンバールがランボーの通う中学校に、修辞学の教員としてやってきて、ランボーを本格的に指導したことが、彼の才能に火をつけたようだ。

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2007年6月13日

音楽につれて:ランボー、ブルジョアを皮肉る

アルチュール・ランボーの詩「音楽につれて “A La Musique”」は、ランボーがイザンバールにあてた1870年の手紙の中に収められているから、おそらくその直前に書かれたのであろう。

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2007年6月14日

ヴィーナス誕生:ランボーの肛門愛

アルチュール・ランボーは、18歳にして10歳年上の詩人ポール・ヴェルレーヌと男色の関係を結んだ。二人の間柄がどのようなものであったか、詳細はわからぬが、両人が残した言葉から類推すると、ランボーのほうが男役を勤めていたようだ。

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2007年6月20日

オフェリア:ランボーのイマジネーション

シェイクスピア作「ハムレット」の悲劇のヒロイン「オフェリア」は、画家や詩人たちのイマジネーションを刺激してきた。特に、19世紀の中頃に起こったイギリスの「ラファエル前派」は、オフェリアを共通の主題とするかのように、様々な画家がそれぞれ繰り返し描いている。中でもミレイの「水に浮かぶオフェリア」の絵はとりわけ有名だ。

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2007年6月22日

ロマン:ランボーの恋心

アルチュール・ランボーといえば男色のイメージが強く、子どもの頃から肛門への偏愛を垣間見せてもいたのであるが、女性に対する関心が全くなかったかといえば、そうでもないらしい。

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2007年6月27日

我が放浪:アルチュール・ランボーの放浪癖

1870年8月末、ランボーは家を出てパリに向かった。金のないランボーは本を売って得た僅かの金で、隣駅のモーオンまで切符を買い、そのまま無賃乗車をしてパリ駅までたどり着いたのである。ランボーの最初の放浪であった。

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2007年6月28日

谷間に眠るもの:ランボー戦死者を歌う

ランボーが住むアルデンヌ県一帯はフランス北東部に位置し、プロシャとの国境に近いこともあって、普仏戦争の際には戦場と化した。1870年10月末にはメッツがプロシャ軍に降伏、翌年1月1日にはメジェールが降伏、そして2日にはシャルルヴィルが降伏している。

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2007年7月 4日

キャバレー・ヴェールにて:シャールロアのランボー

1870年10月7日、ランボーは二度目の家出をする。恐らく金は殆ど持っていなかったのだろう。徒歩でベルギーに向かい、途中知り合いの家に転がり込んで一夜の宿を借りたりしながら、シャールロアまで歩き続けた。

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2007年7月 5日

戸棚:ランボーのノスタルジー

「戸棚」はランボーの詩の中でも、写実的な描写といい、古いものへのノスタルジックな感傷といい、変わった位置を占めている。ランボーの詩には他に、こうした雰囲気の作品は見当たらない。

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2007年7月11日

夕べの祈祷:ランボーのスカトロジー

「夕べの祈祷」はランボーのスカトロジーが現れる最初の作品である。書いたのは、おそらく1870年の暮近くだと思われる。その頃ランボーは、シャルルヴィルに連れ戻されていたが、日常の生活に退屈しきり、周りの空気に我慢ならなかった。

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2007年7月12日

パリの軍歌:ランボーのコミューン体験

パリ・コミューンの反乱は1871年の3月18日に始まり、5月28日にティエール政権の仮借ない弾圧の下に崩壊した。2ヶ月間も続いた市民による反乱は、社会主義運動の初めての本格的動きとして、世界史に甚大な影響を及ぼす。

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2007年7月18日

盗まれた心:ランボーの脅迫観念

ランボーの詩「盗まれた心」は、「酔いどれ船」とともに、彼の初期の詩を代表するものであるが、それが何を歌ったのかについては、さまざまな議論があった。最もショッキングなのは、これが強姦された経験を歌ったものだとする説だ。

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2007年7月19日

虱を探す女たち:アルチュール・ランボー

ランボーは2度目の家出の際、ドゥーエーのジャンドル家の世話になっている。ジャンドルはイザンバールの親戚であったらしい。ジャンドル家には二人の娘がいて、ランボーは彼女たちの世話を受けた。「虱を探す女たち」は、そんなジャンドル家での思い出を歌ったものである。

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2007年7月25日

酔いどれ船:ランボーとパリ・コミューン

「酔いどれ船」は、ランボーの初期の創作活動を締めくくる作品である。ランボーは1871年9月中旬、ヴェルレーヌとはじめて会うのだが、そのときに挨拶代わりにこの作品を携えていっているから、書き上げたのはそれ以前のことだろう。

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2007年7月26日

尻の穴のソンネ:ランボーとヴェルレーヌ

1871年9月にポール・ヴェルレーヌを訪ねてパリにやってきたランボーは、ヴェルレーヌの妻マチルドに嫌われ、あちこちと知人たちの家に居候しながら、その日暮しを始めた。これ以後、1873年7月に訣別するまで、ランボーはヴェルレーヌと深い関係を続けるのである。

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2007年8月 1日

涙:言葉の錬金術(アルチュール・ランボー)

1872年の5月から6月にかけて、ランボーは多産な詩作活動をした。周辺から孤立してパリで生活する手立てを失ったランボーは、いったんシャルルヴィルの家に戻ったのであるが、この年の5月半ばにパリに来てからは、旺盛な創作意欲を示した。ランボーが韻文で創作する最後の時期でもあった。

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2007年8月 2日

至高の塔の歌:ランボーの恍惚

「至高の塔の歌」は、「涙」や「永遠」とともに、1872年5月、パリのムシュウ・ル・プランス街の屋根裏部屋で書かれた。この部屋のことは、同年6月エルネスト・ドラエイにあてた書簡の中で、ランボーは次のように書いている。

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2007年8月 8日

永遠:アルチュール・ランボー

「言葉の錬金術」に「永遠」を載せるにあたって、ランボーは次のように書いている。

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2007年8月 9日

黄金時代:ランボーの錯乱

「黄金時代」は、アルチュール・ランボーの韻文としては最後のもので、彼の一つの到達点をしめしている。だが、その内容は錯乱に満ちており、なまじな解釈を拒むものをもっている。

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2007年8月15日

ポール・ヴェルレーヌ:生涯と作品

ポール・ヴェルレーヌ Paul Verlaine 1844-1896 は、19世紀末のフランスを代表する詩人たちの一人である。この時代のフランスの詩人たちにおおむね共通する特徴として、デカダンという言葉が使われるが、ヴェルレーヌはその言葉に最もふさわしい人物だったといえる。

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2007年8月16日

ヴェルレーヌ:サチュルニアン詩集 Poèmes saturniens

サチュルニアン詩集 Poèmes saturniens はポール・ヴェルレーヌの処女詩集である。ヴェルレーヌがこの詩集を出版したとき、彼はまだ21歳の青年だった。いわばヴェルレーヌにとっての青春の歌とも言うべきものだが、詩に流れている雰囲気は、青年のものというよりは、人生の辛酸をなめつくした老人の嘆きを思わせる。

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2007年8月22日

よく見る夢(ヴェルレーヌ:サチュルニアン詩集)

サチュルニアン詩集はヴェルレーヌにとっては思春期以降の詩作の総決算であったから、その中にはさまざまな要素が含まれている。中心をなすのはエリーゼへの愛であるが、そのほかの作品にも女への愛を歌ったものが多かれ少なかれ見出される。

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2007年8月23日

秋の歌(ヴェルレーヌ:サチュルニアン詩集)

「秋の歌」は、ヴェルレーヌの作品の中で、少なくとも日本人にとっては、もっとも親しまれているものである。ヴェルレーヌの詩を特徴付けているあの音楽的な要素が、これほど完璧に成功している作品はないと思われるのだ。

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2007年8月29日

女と猫(ヴェルレーヌ:サチュルニアン詩集)

ヴェルレーヌはボードレールの落とし子の一人ではあったが、ボードレールのように猫を歌うことはあまりなかった。そんな中で猫をとりあげて歌ったこの詩は珍しいものといえる。だが、詩に歌われた猫は、ボードレールの猫とは異なり、人間の女を思わせるようだ。

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2007年8月30日

バルコニーにて(ヴェルレーヌ:女の友達)

「女の友達」はヴェルレーヌの第2詩集である。わずか6篇のソネットから成るこの小さな詩集を、ヴェルレーヌがどんな意図から世に出したのか。すでに第一詩集「サチュルニアン詩集」によって、独自の世界を築いていたヴェルレーヌは、自分の世界をもっと確かな形にしようと思ってこの詩集を編んだのかもしれない。

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2007年9月 5日

月の光 (ヴェルレーヌ:艶なる宴)Fêtes Gallantes

艶なる宴 Fêtes Gallantes は、ヴェルレーヌにとって実質的には第二歌集である。サチュルニアン詩集によって、彼の独創性は広く認められるようになったが、この詩集はその延長上にあって、音楽的な要素や、甘い感情を歌った。

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2007年9月 6日

センチメンタルな対話(ヴェルレーヌ:艶なる宴)

ヴェルレーヌは甘ったれた性格で、他人を思いやる心に欠け、どうしようもない類の人間だったようである。いわば重症の性格破綻者だったと思われるのだ。もし詩を書くことがなかったなら、鼻持ちならぬ人間として、世間から排除されてしまっただろう。

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2007年9月12日

ヴェルレーヌ:よき歌 La Bonne Chanson

ヴェルレーヌは友人シヴリーを通じてマチルド・モーテを紹介されるとたちまち恋に陥り、しつこく求愛するようになる。マチルドの両親はヴェルレーヌを警戒したようであったが、ヴェルレーヌはマチルド本人を陥落させようとして、愛の詩を作っては、せっせと送り届けた。その甲斐もあってか、ヴェルレーヌはマチルドと婚約することができたのである。

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2007年9月13日

ヴェルレーヌ:言葉なき恋歌 Romances sans Paroles

詩集「言葉なき恋歌」 Romances sans Paroles は、ヴェルレーヌがランボーとの痴話げんかがもとでモンスの刑務所に服役している間に出版された。時に1974年3月。ヴェルレーヌはまだ30歳になっていなかった。

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2007年9月19日

涙あふるる我が心(ヴェルレーヌ:言葉なき恋歌)

「言葉なき恋歌」に収められた作品には、恋のけだるさを歌ったものが多い。それらの恋が男女の間のものなのか、それともヴェルレーヌとランボーとの間のものなのか、一篇づつから読み取ることはむつかしい。

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2007年9月20日

わたしの心は悲しかった(ヴェルレーヌ:言葉なき恋歌)

「わたしの心は悲しかった」と題するこの詩は、ヴェルレーヌの特徴である感傷性と音楽性が最もよく調和した逸品であり、彼の一つの到達点を示している。だが、そこには深い精神性は感じられない。どちらかというと、言葉がそれを発した人間とは無関係に、自分自身に酔っているような風情だ。

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2007年9月26日

ヴェルレーヌ:叡智 Sagesse

1873年の夏に、ランボーとの間に引き起こした事件がもとで、ヴェルレーヌは1年半余りモンスの刑務所に服役した。この間にヴェルレーヌは信仰上の回心を体験し、カトリックに深く帰依するに至る。そしてその信仰を膨大な詩に残した。詩集「叡智」に収められた作品群がそれである。

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2007年9月27日

何故かは知らねど(ヴェルレーヌ:叡智)

ヴェルレーヌの詩集「叡智」は、ランボーとの別れの苦さを歌ったものと、宗教的な改心を告白したものとからなっている。前者の多くは獄中で書かれた。

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2007年10月 3日

詩の作法 Art poétique (ヴェルレーヌ:昔と近頃)

晩年のヴェルレーヌは酒びたりのただれた生活を送った。梅毒のために健康がさいなまれもし、病院を出たり入ったりもした。だが、詩人としての名声はようやく高まり、彼のもとには若い詩人たちが集まるようにもなった。

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2007年10月10日

エディット・ピアフ Edith Piaf :シャンソンの女王

エディット・ピアフ Edith Piaf (1915-1963) といえばシャンソンの女王といわれ、20世紀のシャンソン界を象徴する存在だ。その伝記を題材にしたフランス映画が上映されると聞き、大のピアフ・ファンである筆者は早速見に行った。

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2007年10月11日

バラ色の人生 La Vie en Rose:エディット・ピアフ

「バラ色の人生」 La Vie en Rose はエディット・ピアフ Edith Piaf の代表作であるにとどまらず、シャンソン史上の記念碑ともいうべき歌である。1946年にピアフがこの歌を歌いだすや、瞬く間に世界中の人々の心を捕らえた。

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2007年10月17日

愛の讃歌 Hymne à l'Amour:エディット・ピアフ

「愛の讃歌」 L’hymne a l’amour は「バラ色の人生」 La vie en rose とともに、エディット・ピアフ Edith Piaf の代表的な曲である。ピアフ自ら作詩した。

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2007年10月18日

三つの鐘 Les Trois Cloches:ピアフ

エディット・ピアフ Edith Piaf が歌ったシャンソン「三つの鐘」 Les Trois Cloches (壺齋散人訳)

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2007年10月24日

パリの空の下 Sous le ciel de Paris

パリの空の下 Sous le ciel de Paris は「望郷」Pépé le Moko で知られる映画監督ジュリアン・デュヴィヴィエ Julien Duvivier が1951年に公開した同名の映画の主題歌である。もともとはジュリエット・グレコ Juliette Greco が歌っていたが、エディット・ピアフ Edith Piaf やイヴ・モンタン Yves Montant も歌い、むしろグレコより人気を博した。

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2008年3月26日

レミ・ド・グールモン Rémy de Gourmont :生涯と作品

レミ・ド・グールモン Rémy de Gourmont (1858-1915) はフランスのサンボリストを代表する作家の一人である。日本では詩人として知られているが、フランスにおいては生前より幅広い評論活動によって知られ、その独特の美学は、エズラ・パウンド Ezra Pound やエリオット T.S.Eliot など、英語圏の作家によって高く評価された。オールダス・ハックスレイ Aldous Huxley はグールモンの評論を英語に翻訳して紹介している。

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アガートAgathe :レミ・ド・グールモン

レミ・ド・グールモンの詩集「天国の聖女たち」 Les Saintes du Paradis から「アガート」Agathe を読む。(壺齋散人訳)

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2008年3月27日

毛 Les cheveux :レミ・ド・グールモン

レミ・ド・グールモンの詩は、堀口大学が精力的に翻訳して紹介したので、日本人にはなじみが深い。中でも詩集「シモーヌ」に収められた諸篇は、グールモンの雰囲気をよく表しているものとして、喜んで受け入れられた。この詩集の中にでてくるシモーヌは、特定の女性というのではなく、グールモンにとっての女性の原像のようなものだったらしい。


毛(壺齋散人訳)

  シモーヌ お前の毛の林の中は
  不思議なことだらけだ

  お前は干草の匂いがする
  お前は獣が寝そべった石の匂いがする
  お前はなめし皮の匂いがする
  お前は籾殻をとった麦の匂いがする
  お前は木の匂いがする
  お前は朝食のパンの匂いがする
  お前は廃墟の壁ぞいに咲いた
  花の匂いがする
  お前はブラックベリーの匂いがする
  お前は雨に洗われた蔓の匂いがする
  お前は夜の墓場で摘まれる
  イグサや羊歯の匂いがする
  お前はコケの匂いがする
  お前は生垣の陰に落ちた
  赤茶けた枯葉の匂いがする
  お前はイラクサや子馬の匂いがする
  お前はウマゴヤシやチーズの匂いがする
  お前はウイキョウやアニスの匂いがする
  お前はクルミの匂いがする
  お前は熟れた果実の匂いがする
  お前は柳の葉の匂いがする
  お前は花盛りのライムの匂いがする
  お前は蜜の匂いがする
  お前は草原を行く人の汗の匂いがする
  お前は大地と川の匂いがする
  お前は愛と火の匂いがする

  シモーヌ お前の毛の林の中は
  不思議なことだらけだ

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2008年4月 3日

林檎畑 Le verger :レミ・ド・グールモン

林檎畑 Le verger :レミ・ド・グールモンの詩集「シモーヌ」Simone から(壺齋散人訳)

  シモーヌ 林檎畑へ行こう
  枝で編んだバスケットをもって
  畑に入るときには
  林檎の木に語りかけよう
  林檎の季節が来たねと
  林檎畑へ行こう シモーヌ
  林檎畑へ行こうよ

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2008年4月 4日

枯葉 Les feuilles mortes :レミ・ド・グールモン

枯葉 Les feuilles mortes :レミ・ド・グールモンの詩集「シモーヌ」 Simone から(壺齋散人訳)

  シモーヌ 森へ行こう 枯葉が落ちて
  コケや石畳や小道を覆っているよ

  シモーヌ 枯葉を踏む音が好きかい?

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2008年4月 9日

ブロンドの林 La forêt blonde :レミ・ド・グールモン

レミ・ド・グールモンの最後の詩集「気晴らし」 Divertissement は1912年に出版された。そのときグールモンは50をとっくに過ぎていたのであるが、その老いの情熱の中から、女の妖しい美しさを歌った一連の詩を生み出したのだった。それらはいわば彼にとっての白鳥の歌だったわけである。

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2008年4月10日

不敬の祈り Oraisons mauvaises :レミ・ド・グールモン

レミ・ド・グールモンの詩集「気晴らし」 Divertissement から「不敬の祈り」Oraisons mauvaises を読む。(壺齋散人訳)

    Ⅰ

  お前の手に神の祝福を 汚れたお前の手に!
  お前の手の節々には罪が隠れている
  お前の手の白い皮の白っぽい陰の合間には
  秘めやかな愛撫の強烈な匂いが染み付いている
  お前の指先で死につつある囚われのオパール
  それは磔にされたキリストの最後の溜息だ

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2008年4月16日

ステファヌ・マラルメ Stéphane Mallarmé :生涯と作品

ステファヌ・マラルメ Stéphane Mallarmé (1842-1898) は、ポール・ヴェルレーヌやアルチュール・ランボーと並んでフランスの象徴主義(サンボリズム)を代表する詩人である。しかし同じく象徴主義の名を冠せられても、マラルメの作品は他の誰にも似ることのない、独特の雰囲気をもっている。言語のシンタックスや意味にとらわれず、言葉の持つ音楽性と形態を自由に展開させたその作風は、歴史的にも先例をみないものである。だから彼は真の意味で、孤高の詩人というに相応しい。

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乾杯 Salut :マラルメ

ステファヌ・マラルメの詩「乾杯」Salut を読む。(壺齋散人訳)

  この泡と 処女なる詩が
  描かれているのは聖餐の杯
  彼方ではシレーヌの一群が溺れ
  みな身を逆さにしている

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2008年4月17日

あらわれ Apparition :マラルメ

ステファヌ・マラルメの詩「あらわれ」Apparition(壺齋散人訳)

  月は悲しみに沈んでいた
  涙にくれた翼の天使が夢見心地に弓を持ち
  湿った花々に囲まれながら ビオラを弾くと
  白く咽ぶ音は紺碧の花弁の上をすべっていった

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2008年4月23日

空しい願い Placet futile :マラルメ

ステファヌ・マラルメの詩「空しい祈り」 Placet futile を読む。(壺齋散人訳)

  王女さま! へベが担いだ壺から水が流れ出し
  それがあなたの唇を潤すさまが妬ましくて
  わたしはわたしで火を使う でも司祭のようにではなく
  またセーブルの皿にあなたの裸体を描くこともしない

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2008年4月24日

苦悩 Angoisse :マラルメ

ステファヌ・マラルメの詩集「苦悩」Angoisse を読む。(壺齋散人訳)

  人間の罪に満ちた獣よ 今宵はお前の肉体を
  征服するためにきたのではない
  またお前の不純な髪を我が接吻で倦怠に包み
  悲しい嵐をかき回そうとも思わぬ

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2008年4月30日

鐘を撞く男 Le Sonneur :マラルメ

ステファヌ・マラルメの詩「鐘を撞く男」を読む。(壺齋散人訳)

  鐘が美しい音色をたてて
  朝の澄み渡った空気に響き渡り
  ラヴェンダーとタイムの花に囲まれ
  祈りを捧げる子どもに届く

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2008年5月 1日

マラルメ夫人の扇 Éventail de Madame Mallarmé

ステファヌ・マラルメの詩「マラルメ夫人の扇」 Éventail de Madame Mallarméを読む。(壺齋散人訳)

  言霊を振り放つような
  あなたの扇の一振りが
  未来の詩句を解き放つ
  その貴重な棲家から

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2008年5月 7日

マラルメ嬢の扇 Autre Éventail de Mademoiselle Mallarmé

ステファヌ・マラルメの詩「マラルメ嬢の扇」 Autre Éventail de Mademoiselle Mallarmé を読む。(壺齋散人訳)

  夢多き子よ 道なき道をたどり
  お前の純粋な喜びのうちに浸れるように
  嘘でもよいから言っておくれ
  私の翼をお前の手で受け止めてくれると

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2008年5月 8日

エドガー・ポーの墓 Le Tombeau d'Edgar Poe :マラルメ

ステファヌ・マラルメの詩「エドガー・ポーの墓」Le Tombeau d'Edgar Poe を読む。(壺齋散人訳)

  ついに永遠が彼自身の姿となって現れたかのように
  詩人が諸刃の剣を振りかざして起き上がると
  同時代人たちは改めて思い知らされるのだ
  この奇怪な声の中に勝ち誇っている死のことを

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2008年5月15日

ボードレールの墓 Le Tombeau de Baudelaire :マラルメ

ステファヌ・マラルメの詩「ボードレールの墓」Le Tombeau de Baudelaire を読む。(壺齋散人訳)

  埋まった宮殿の排水口の奥にのぞいているのは
  墓の中からよだれのように染み出たガラクタども
  ぞっとするようなアヌビスの彫像
  その獣のようにとがった鼻面
 

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ヴェルレーヌの墓 Tombeau de Verlaine :マラルメ

ステファヌ・マラルメの詩「ヴェルレーヌの墓」Tombeau (de Verlaine) を読む。(壺齋散人訳)

  黒い墓石が吹きまくる北風に怒る
  それでも存在することをやめず 背教の点でなら
  自分は人間の悪意に似ていると感じて
  死者の遺影に冥福を祈るのだ

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2008年5月22日

牧神の午後 L'Après-Midi d'un Faune :マラルメ

牧神の午後はマラルメ畢生の傑作というべき作品であり、通常の文法を軽視した独特の言葉配置、またその言葉の流れの音楽性において、際立った特徴を有している。クロード・ドビュッシーはこの詩の音楽的な美しさに感動し、同名の有名な曲を作り、また20世紀の詩人たちにも限りないインスピレーションを与えた。

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秋の嘆き Plainte d'Automne :マラルメ「綺語詩篇」

マラルメはボードレールに倣って散文の詩もつくった。それらはあまり多い数ではないが、いづれもマラルメらしさが現れている。散文といいながら音楽性にこだわり、書かれている内容も難解きわまるものだ。マラルメはそれらの散文詩をまとめて、「綺語詩篇」Anecdotes ou Poemes と名付けた。

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2008年5月28日

ポール・ヴァレリー Paul Valéry :生涯と作品

ポール・ヴァレリー Paul Valéry (1871-1945) は、大詩人であるとともに20世紀のフランスを代表する偉大な知性として認められている。その活動は、詩や文学のほか、音楽をはじめとした多彩な芸術分野、歴史、哲学、数学など様々な領域に渡っており、生涯に渡って知の巨人というに相応しい活動振りを見せた。

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2008年5月29日

糸を紡ぐ女 La Fileuse:ポール・ヴァレリー

糸を紡ぐ女 LA FILEUSE(ポール・ヴァレリー:壺齋散人訳)

  青い空がのぞいている窓辺で毛糸を紡ぐ女
  外では花壇がメロディアスに揺れている
  古い糸車の単調な音に女はうっとりとした

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友愛の森 Le bois amical :ヴァレリー

友愛の森 Le bois amical (ポール・ヴァレリー:壺齋散人訳)

  わたしたちは純粋な事柄を考えていた
  道々 肩を並べて歩きながら
  わたしたちは互いの手を握っていた
  言葉少なに 名も知らぬ花に囲まれ

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2008年6月 5日

ナルシスは語る Narcisse Parle :ポール・ヴァレリー

ナルシスは語る Narcisse Parle (ポール・ヴァレリーの詩:壺齋散人訳)

  兄弟たちよ 悲しき百合よ お前たちの裸体に
  求められたわたしは 美に煩悶する
  そしてニンフよ 泉の精よ お前に向かって
  わたしは虚ろな涙を純粋の沈黙に捧げるのだ

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若きパルク La Jeune Parque :ポール・ヴァレリー

若きパルク La Jeune Parque (ポール・ヴァレリーの詩:壺齋散人訳)

  風も吹かないのに このすすり泣くような音は何でしょう?
  この時刻 ひっそりと 星空の下で泣くのは誰?
  泣こうとするわたしの傍近くで

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2008年6月11日

蜜蜂 L'Abeille :ポール・ヴァレリー

蜜蜂 L'Abeille (ポール・ヴァレリーの詩集「魅惑」から:壺齋散人訳)

  お前の針が 蜜蜂よ
  どんなに繊細で どんなに致命的でも
  わたしはただ 薄紗のような眠りで
  お前の一撃を受け止めるだけだろう

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2008年6月13日

歩み Les pas :ポール・ヴァレリー

歩み Les pas (ポール・ヴァレリーの詩集「魅惑」から:壺齋散人訳)

  お前の歩みが 我が沈黙の子どもたちよ
  厳かに また緩やかに床を踏んで
  用心深いわたしの寝床の方へと
  静かに 冷ややかな音をたてて近づいてくる

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2008年6月18日

眠る女 La Dormeuse :ポール・ヴァレリー

ポール・ヴァレリーの詩「眠る女」 La Dormeuse (壺齋散人訳)

  どんな秘密を心の中で燃やしているのか?
  わたしの女友達 優しい顔で花の香りを呼吸する人よ
  どんなものを食べたおかげで その体内の温かみから
  眠れる女のこの輝きが生まれてくるのか?

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風の精 Le Sylphe :ポール・ヴァレリー

ポール・ヴァレリーの詩「風の精」 Le Sylphe (壺齋散人訳)

  見えず 知られず
  わたしは香り
  生き生きと また消え消えと
  風に乗ってやってきます 

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2008年6月25日

柘榴 Les Grenades :ポール・ヴァレリー

ポール・ヴァレリーの詩「柘榴 」Les Grenades (壺齋散人訳)

  熟した実の過剰さに負けて
  開きかけた硬い柘榴
  あたかも賢者の額から
  思想がはじき出たかのようだ

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2008年6月26日

消えうせたワイン Le vin perdu :ポール・ヴァレリー

ポール・ヴァレリーの詩「消えうせたワイン」Le vin perdu (壺齋散人訳)

  いつだったか またどこだったか
  わたしは大海の中に向けて
  虚無への捧げもののように
  少しだが貴重なワインを注いだ

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2008年7月 3日

イリュミナション Illuminations :ランボー最後の散文詩集

ランボーの散文詩集「イリュミナション」が始めて発表されたのは1886年、雑誌「ヴォーグ」紙上においてである。そのときランボーはまだアフリカで生きていたが、この発表に関与した形跡はない。これを編集したのはグスタフ・カーンとフェリックス・フェネアンであるが、彼等は何らかのルートで手に入れたランボーの散文詩篇に加え、1872年代に書かれた韻文12編も一緒に発表した。

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洪水の後 Après le deluge :ランボー「イリュミナション」

洪水の後 Après le deluge (ランボー「イリュミナション」から:壺齋散人訳)

  洪水の記憶が覚めやらぬ頃

  一匹の兎がイワオウギとツリガネ草の繁みの中に立ち止まり
  くもの巣の合間を通して虹に祈りを捧げた

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2008年7月10日

寓話 Conte :ランボー「イリュミナション」

ランボー「イリュミナション」から「寓話」 Conteを読む。(壺齋散人訳)

  王子には ただ闇雲に寛大であろうとしていたことが
  なにか馬鹿げたことのように思えた。
  彼はすばらしい愛の革命を予見したのだった。
  そして女たちには飾り立てた媚以上のものが
  期待できるはずだと思った。
  彼は真実が知りたかった
  本質的な欲望と充足のときを。
  それが異常な信念であろうとなかろうと、知りたかったのだ。
  少なくともそのための人間としての能力は十分に持っていた。

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生活 Vies :ランボー「イリュミナション」

ランボー「イリュミナション」から「生活」Vies (壺齋散人訳)

  おお 聖地の大道 寺院のテラスよ!
  俺に予言を授けてくれたあのバラモン僧はどうしただろうか?
  あの頃、あの場所については、俺にはまだ老女たちの姿が思い浮かぶのだ。
  俺は覚えている 銀色の太陽の時間が川のあたりを流れ、
  野原の中であいつの手が俺の肩にかかり、
  二人して爪先立ちながら胡椒畑で抱き合ったことを。
  - 赤い鳩が俺の思考の周囲を飛び回る
  - 俺はここに追放されてきて、
  文芸史上の傑作劇を演じるための舞台をこしらえてみた。
  諸君には前代未聞のすばらしい劇をお見せしよう。
  諸君がそこからどんな宝物を引き出すか、俺は見届けよう。
  結果はよくわかっている。
  俺の叡智は、カオスのように侮られるが、
  諸君に取り付いている無感覚に比べれば、俺の無内容などけちなものだ。

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2008年7月17日

出発 Départ :アルチュール・ランボー「イリュミナション」

ランボーの「イリュミナション」から「出発」 Départ (壺齋散人訳)

  見飽きた いたるところにわだかまっている幻影
  もう沢山だ 昼も夜も一日中いつでも街の喧騒だ
  十分わかっている 人生の節目 ―おお喧騒よ 幻影よ!
  新たな情愛と騒音に向けて出発だ!

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王権 Royauté :ランボー「イリュミナション」

王権 Royauté :ランボー「イリュミナション」から(壺齋散人訳)

  ある晴れた朝 善良な市民たちに取り囲まれ
  身なりのよい男と女が 広場に向かって叫んでいた
  「諸君 わしはこれを女王にしたいのじゃ!」
  「わたしは女王様になりたいの!」
  女はこう叫んで身を震わした
  男は啓示と試練について 友人たちに語った
  二人は身を寄せ合って悶え苦しんだ

  実際その朝 二人は王と女王だった
  カーマインの釣り花が家々の窓を飾り
  午後には 二人して棕櫚の庭園から進み出てきたのだった

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2008年7月24日

ある理性に A une raison :ランボー「イリュミナション」

ある理性に A une raison (ランボー「イリュミナション」から:壺齋散人訳)

  お前の指が太鼓をひと叩きすると
  あらゆる音が飛び出し 新しいハーモニーが生じる

  お前がひと歩きすると 新兵たちの行進のように勇ましい

  お前が頭の向きを変えると 新しい愛が生まれる
  お前が頭をもとに戻すと そこにも新しい愛が生まれる

  「運命を変えよう 疫病を克服してやり直そう」
  子どもたちがそうお前に歌う
  「肝心なのは運と意欲さ」
  皆はお前にそういう

  時が熟せば どこへでも行くさ

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2008年7月25日

街 Ville :ランボー「イリュミナション」

街 Ville (ランボー「イリュミナション」から:壺齋散人訳)

  俺は大都市と称されるこの街の一時的な滞在者だし
  したがっていささかも不平があるわけではない
  家具は変な趣味でごたごた飾られてはいず
  家の外観は都市計画に従って皆一様だ

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2008年7月31日

ヴァガボンド Vagabonds :ランボー「イリュミナション」

ランボーの「イリュミナション」から、ヴァガボンド Vagabonds (壺齋散人訳)

  憐れな兄貴よ!こいつのおかげでどれほど眠れぬ夜を過ごしたことか!
  「俺は人生にまじめに取り組んでこなかった。
  俺は人生を甘く見ていた。
  こんなことをしていたら人生から追放され、奴隷の境遇に陥ってしまう。」
  兄貴は俺を運がない奴だといい、異常なほど純真だという。
  そういってあやしい理屈を付け加えるのだ。

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夜明け Aube :ランボー「イリュミナション」

夜明け Aube (ランボー「イリュミナション」から:壺齋散人訳)

  俺は夏の夜明けを抱いた。

  宮殿の前には、まだ動いているものは何もなかった。
  水面は動かず
  森の小道には深い影が落ちていた。
  俺は熱い息を弾ませながら、歩いた。
  宝石たちが顔を見合わせ、翼が音もなく舞い上がった。

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2008年8月 7日

花々 Fleurs :ランボー「イリュミナション」

ランボーの「イリュミナション」から「花々」 Fleurs (壺齋散人訳)

  黄金の台の上から
  - 絹の紐や、灰色のガーゼや、緑のビロード
  ブロンズの太陽のように黒ずんだクリスタルに囲まれ
  - 俺は、銀や目や髪の透かし模様をつけた絨毯の上で
  一本のジギタリスが開くのを見た

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海景 Marine :ランボー「イリュミナション」

ランボー「イリュミナション」から、「海景」 Marine (壺齋散人訳)

  銀と胴でできた戦車
  鋼鉄と銀でできた船のへさきが
  波を打って進み
  バラの切り株を根こそぎにする
  大地の潮流
  引き潮の巨大なわだちが
  うねりながら東へと広がり
  林立する木立
  防波堤に向けて押し寄せる
  そしてその先端には光の渦が逆巻くのだ

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2008年8月14日

苦悩 Angoisse :ランボー「イリュミナション」

ランボーの「イリュミナション」から、苦悩 Angoisse(壺齋散人訳)

  俺の野望が次々と砕かれていくのを、
  あいつが果たして容認するだろうか?
  - 安楽な最後が苦痛の日々を償い
  - 成功の一日が俺たちの恥辱をなだめてくれるように!

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2008年8月15日

戦争 Guerre :ランボー「イリュミナション」

ランボーの「イリュミナション」から「戦争 」Guerre (壺齋散人訳)

  少年時代、ある種の空が俺の視力を鍛えてくれた
  その空のあらゆる陰影が俺の表情にも反映し
  様々な現象が生起した。
  今では
  屈折した永遠の瞬間と無限定の定理とが
  俺を駆り立てて、この世界を通過させる
  ここでは俺は、礼儀を以て遇され、
  妙な子どもたちに尊敬され、大いなる愛を注がれるのだ。
  俺は戦争を夢見る
  権利と力との、思いがけぬロジックの戦いだ。

  音楽の一節のようにたわいない

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2008年8月21日

ボトム Bottom :ランボー「イリュミナション」

ランボーの「イリュミナション」から「ボトム」 Bottom (壺齋散人訳)

  俺の寛大な性格にとっても、この世は余りにも刺々しい
  そこで俺は女主人の家で目を覚ますと
  灰色の巨大な鳥となって天井からぶら下がり
  宵闇の中に羽根を垂れていたのだった

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デモクラシー Démocratie :ランボー「イリュミナション」

ランボーの「イリュミナション」から「デモクラシー Démocratie」 (壺齋散人訳)

  薄汚れた風景の中を旗がなびき、
  田舎者のわめき声が太鼓の音をかき消す

  「俺たちが養うべきは飛び切り皮肉屋の売奴だ
  理屈屋どもの革命などくたばれ

  「気の利いたテンペラ画のような国万歳!
  産業と軍隊のために奉仕せよ

  「ここがどこだろうともういい、おさらばだ
  徴兵に志願して、残忍な哲学を身につけよう
  科学を軽蔑し、快楽に悪知恵を働かせ
  世の中がどうなろうと知ったことか。
  これが本物の行進だ いざ前へ進め」

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2008年8月27日

ギヨーム・アポリネール Guillaume Apollinaire :生涯と作品

ギヨーム・アポリネール Guillaume Apollinaire (1880-1918) は、20世紀初頭のフランスにおける、ほとんどあらゆる前衛芸術に係わりを持った。今日では詩人としての名声が確立しているが、彼はむしろ美術批評家として出発したのであり、ピカソやブラックのキュビズム、キリコらのフュチュリズム、そしてオルフィズムやシュルレアリズムなどを次々と世に紹介したことで知られた。

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2008年8月28日

ミラボー橋 Le pont Mirabeau :アポリネール詩集「アルコール」

アポリネール詩集「アルコール」から「ミラボー橋」を読む。(壺齋散人訳)

  ミラボー橋の下をセーヌが流れる
  我らの愛も
  忘れないでおこう
  苦悩の後には喜びがあることを

  日は暮れよ 鐘よ鳴れ
  時は流れ ぼくはとどまる

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2008年8月30日

イヌサフラン Les colchiques :アポリネール

アポリネールの詩「イヌサフラン」 Les colchiques (壺齋散人訳)

  秋の牧場はきれいだけれど毒がある
  牡牛がそこで草を食むと
  そのうちに毒にあたる
  目の隈模様のリラのようなイヌサフランが咲いた
  お前の目もこの花のようなすみれ色
  青みがかった目の隈のような秋のような色だ
  その目のためにわたしの命も毒にあたる

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2008年9月 4日

クロティルド Clotilde :アポリネール

クロティルド Clotilde :ギヨーム・アポリネール(壺齋散人訳)

  アネモネとオダマキが
  庭の中で花を開いた
  メランコリーが愛と
  さげすみの合間に眠る庭

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白雪 La Blanche Neige :アポリネール

白雪 La Blanche Neige :アポリネール詩集「アルコール」から(壺齋散人訳)

  空には大勢の天使たち
  一人は士官の服を着て
  一人はコックの姿をし
  他のみんなは歌っている

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2008年9月11日

ジプシー女 La tzigane :アポリネール

ジプシー女 La tzigane (アポリネール:壺齋散人訳)

  あの女ジプシーは知っていたんだ
  俺たちが闇で引き裂かれていると
  それで俺たちは別れたが
  何と井戸から希望がわいて出てきた

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秋 Automne :アポリネール

秋 Automne (アポリネール:壺齋散人訳)

  霧の中を蟹股の農夫と雄牛が行く
  秋の霧の中をのんびりと行く
  霞んで見えるのは貧しくもつつましい村

  歩きながら農夫は鼻歌を歌う
  愛の歌と浮気の歌
  愛の指輪と傷ついた心の歌

  秋が夏を過去へと追いやった
  霧の中を灰色の二つの影が行く

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2008年9月19日

鐘 Les cloches :アポリネール

鐘 Les cloches (アポリネール:壺齋散人訳)

  美しいジプシー 我が恋人
  鳴り渡る鐘を聞いてごらん
  二人で激しく愛し合おう
  周りの人など気にしないで

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サンテ刑務所 A la Santé :アポリネール

サンテ刑務所 A la Santé (アポリネール:壺齋散人訳)

   I

  独房に入る前に
  俺は裸にされた
  くぐもったうめき声がいう
  ギヨーム なんてざまだ

  ラザロが出てきた墓へ
  俺は入っていくのだ
  さらば 陽気な騒ぎ声よ
  昔の日々よ 娘たちよ

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2008年9月25日

病める秋 Automne malade :アポリネール

病める秋 Automne malade (アポリネール:壺齋散人訳)

  病める秋よ 惜しまれつつ
  お前は死すだろう バラ園に嵐が吹きすさぶ頃
  果樹園に
  雪が降る頃

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狩の角笛 Cors de chasse :アポリネール

ギヨーム・アポリネールの詩「狩の角笛」 Cors de chasse(壺齋散人訳)

  俺たちの恋愛は気高くも悲劇的
  暴君の仮面をみるようだ
  どんな不思議なドラマも
  どんな些細なことがらも
  俺たちの愛を掻き立てたことはなかった

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2008年10月 2日

雨が降る Il pleut :アポリネール詩集「カリグラム」

アポリネール詩集「カリグラム」から「雨が降る」 Il pleut (壺齋散人訳)



  女たちの声が雨のように降っている
  思い出の中にさえも
  死んでしまっているかのように

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はがき Carte postale :アポリネール

ギヨーム・アポリネールの詩「はがき」 Carte postale(壺齋散人訳)

  テントの中で君にはがきをしたためている
  外では夏の日が暮れゆき
  青みがかった空には
  まばゆいばかりの花模様がみえる
  それは耳を劈く砲弾が
  束の間に描く模様なのだ

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2008年10月10日

鳥は歌う Un oiseau chante :アポリネール

アポリネールの詩「鳥は歌う」 Un oiseau chante(壺齋散人訳)

  どこかで鳥の歌声がする
  お前の心が目覚めていて
  兵士たちの間を漂っているのか
  僕の耳に心地よく響く

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星の悲しみ Tristesse d'une étoile :アポリネール

ギヨーム・アポリネールの詩「星の悲しみ」 Tristesse d'une étoile(壺齋散人訳)

  美しいミネルヴァが僕の頭から生まれた
  血が星となって永遠に僕の頭を飾るのだ
  戦いの女神が僕の頭を武装してくれる
  分別は底のほうに 空はてっぺんにある

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2008年10月16日

トリスタン・コルビエールTristan Corbière:黄色い愛

トリスタン・コルビエール Tristan Corbiere (1845-1875) は全く無名のまま死んだ。彼が生前に出した唯一の詩集「黄色い愛」 Les Amours Jaunes は誰からも注目されることがなかった。そんなトリスタン・コルビエールの詩を始めて世に紹介したのはポール・ヴェルレーヌである。

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墓碑銘 ÉPITAPHE :トリスタン・コルビエール

墓碑銘 ÉPITAPHE :トリスタン・コルビエール詩集「黄色の愛」から(壺齋散人訳)

  熱狂から命を絶った あるいは怠惰で死んだ
  生き続けるとしても忘却のうち 以下はその生前の姿 

  唯一の悔恨は自分自身の主人になれなかったことだ

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女の友へ A une Camarade :トリスタン・コルビエール

トリスタン・コルビエールの詩集「黄色い愛」から「女の友へ」 A une Camarade(壺齋散人訳)

  この俺に何を求めるのだ? 可愛い女よ
  俺ときてはお前が何より愛しいのだ!
  ―愛かしら? ―見つかるかどうか探してごらん!
  お前が俺を愛するなら 俺だってお前を愛してやる

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2008年10月23日

ガマガエル Le Crapaud :トリスタン・コルビエール

ガマガエル Le Crapaud (トリスタン・コルビエール:壺齋散人訳)

  歌声が風のない夜に響く
  ―銀色の板のような月
  黒ずんだ緑の葉っぱがなびく

  歌声がこだまのように生き生きと
  草薮から聞こえてくる
  ―静まったぞ やあそこだ闇の中だ

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夜のソンネ Sonnet de Nuit :トリスタン・コルビエール

夜のソンネ Sonnet de Nuit (トリスタン・コルビエール:壺齋散人訳)

  けだるそうな十字窓が
  俺の度重なる死に硬直している
  ダイアを嵌め込んだ硝子には
  俺の引っかき傷の跡がある

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2008年10月30日

奪回 Rescousse :トリスタン・コルビエール

奪回 Rescousse (トリスタン・コルビエール:壺齋散人訳)

  もしも俺のギターが
  音締めの甲斐なく
  いやな音を立て
  インドの匕首

  拷問の吊り鉤
  首吊り台
  びっくり箱のようで
  よろしくないなら

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時報 Heures :トリスタン・コルビエール

トリスタン・コルビエールの詩「時報 」Heures (壺齋散人訳)

  泥棒に追い銭
  人殺しに目くばせ
  剣客には手合わせ
  ―どうも俺の心は普通じゃない

  俺はパンプローナの気違いだ
  俺はお月様の哄笑が怖い
  黒いパンくずを抱えたゴキブリめ
  恐ろしや みな燭台の下でうごめいてるぞ

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2008年11月 7日

忌まわしい眺め Paysage Mauvais:トリスタン・コルビエール

トリスタン・コルビエールの詩「忌まわしい眺め」 Paysage Mauvais(壺齋散人訳)

  干からびた骨の砂 -波が弔いの鐘のような音をたて
  ひとつまたひとつとざわめき寄せる
  ―どんよりとした沼地には
  月が虫を飲み込んで 夜が更ける

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2008年11月 8日

最期 La Fin:トリスタン・コルビエール

トリスタン・コルビエールの詩「最期」 La Fin(壺齋散人訳)

  まさしくこれらの船乗りども 水夫も船長も
  大海に永遠に飲み込まれるべく
  遠い航路へと呑気に船出したところが
  みな死んでしまったのだ 船出の姿そのままに

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2008年11月13日

ロンデル Rondel:トリスタン・コルビエール

トリスタン・コルビエールの詩「ロンデル」 Rondel(壺齋散人訳)

  真っ暗だぞ 光泥棒!
  もう夜は来ない 昼も来ない
  あいつらが来るのを待ちながら 眠れ
  あいつらはいう 「いつか!」 そして 「いつも!」と

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死のジョーク Petit Mort Pour Rire:トリスタン・コルビエール

トリスタン・コルビエールの詩「死のジョーク」 Petit Mort Pour Rire(壺齋散人訳)

  軽やかに流れる帚星は髪の毛も梳かしてくれる!
  風にそよぐ葉っぱが梳かしてほしいとさ
  お前の見開いた目からは火花が散る
  それは馬鹿な頭に閉じ込められてた妖精なのさ

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2009年1月 7日

競走馬 Un Cheval de race:ボードレール「パリの憂鬱」

ボードレールの散文詩集「パリの憂鬱」から「競走馬」Un Cheval de race(壺齋散人訳)

  彼女は美しくはない、だが優雅なのだ。

  時間と愛とが、人に爪跡を刻み、ひと時の流れ、接吻の一つひとつが若さと瑞々しさを奪っていくことを、残酷にも彼女に教えてくれた。

  彼女は醜い。アリのようであり、クモのようであり、そういいたければ骸骨そのものといってよい。しかしまた同時に、媚薬であり、権威であり、魔法でもある。要するに彼女は素晴らしいのだ。

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2009年1月28日

日曜日はきらい Je hais les dimanches:シャンソンの世界

エディット・ピアフ Edith Piafのシャンソン「日曜日はきらい」Je hais les dimanches:壺齋散人による歌詞の翻訳

  週のうちのどの日も
  うつろで空っぽだわ
  でも最もいやなのは
  日曜日なのよ
  バラ色めかして
  気前よく遊び
  幸せそのもののようだけど
  その振りをしてるだけ

  日曜日はきらい
  日曜日はきらいなの

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2009年1月29日

十字架 Les Croix:シャンソンの世界

エディット・ピアフのシャンソン「十字架」Les Croix:壺齋散人による歌詞の翻訳

  神様 この世には沢山の十字架があるのですね
  木や鉄の十字架
  なつかしい十字架
  胸元を飾ってる
  小さな銀の十字架
  廃墟の中に捨てられた
  修道女の古い十字架

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2009年2月 6日

パダム パダム Padam Padam:シャンソンの世界

エディット・ピアフの歌「パダム パダム」Padam Padam:壺齋散人による歌詞の翻訳

  いつもわたしにつきまとっている
  この気配はずっと前からのことだわ
  わたしの行くところには必ずいて
  シンフォニーのように鳴り響くの
  ある日わたしは狂いそうになって
  何故なのって何度もいったわ
  でもその気配はわたしをさえぎり
  わたしより先を歩いては
  わたしの言葉を圧倒するのよ

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水に流すわ Non, Je ne regrette rien:シャンソンの世界

エディット・ピアフの歌「水に流すわ」Non, Je ne regrette rien:壺齋散人による歌詞の翻訳

  いいえ いいのよ
  後悔なんかしてない
  いろんな ことが あったけど
  水に流すわ
  いいえ いいのよ
  後悔なんかしてない
  すべて水に流して
  気にしないわ

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2009年2月20日

思い人 Mon Homme:シャンソンの世界

ミスタンゲット Mistinguettの歌「思い人」Mon Homme:壺齋散人による歌詞の日本語訳

  この世に ひとつだけの よろこびは
  思い人
  愛も 心も もてるものを 捧げるの
  思い人に
  真夜中に
  夢見るのも ただひとつ
  思い人のこと
  男前でも 金持ちでもないけど
  愛してるの
  ばかげてるでしょ
  でもいいのよ
  だれがどう思おうと
  こころから
  愛してるの

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サ・セ・パリ Ça, c'est Paris:シャンソンの世界

ミスタンゲット Mistinguett の歌「サ・セ・パリ」Ça, c'est Paris:壺齋散人による歌詞の日本語訳

  パリは ブロンド娘
  世界を 魅了する
  鼻を つんとさせて
  目には 笑みを浮かべ
  訪れる 人は誰でも
  魅力に うっとりとする
  いったん 去った後でも
  かならず 舞い戻るの

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2009年2月26日

ほんとよ C'est vrai:シャンソンの世界

ミスタンゲットの歌「ほんとよ」C'est vrai:壺齋散人による歌詞の日本語訳

  やっとパリに たどり着いたわ
  ロンドンと トリーノと
  オーストリアを旅し
  ウィーンから 舞い戻って きたの
  だってパリに いないわけには
  いかないもの
  パリは いつでも 最高だわ

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わたしはパリ生まれ Oui, je suis de Paris:シャンソンの世界

ミスタンゲットの歌「わたしはパリ生まれ」Oui, je suis de Paris:壺齋散人による歌詞の日本語訳

  わたしを
  見る人はみんな こういうの
  とてもおしゃまで かわいいねって
  うれしいわ
  そのとおりよ
  わたしは
  おしゃべりするのも だいすきよ
  街中の男たちともお友達
  たのしいわ
  空騒ぎしても
  礼儀正しいの
  わたしの
  生まれは
  (パリ)
  そのとおり

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2009年3月 6日

人の気も知らないで Tu Ne Sais Pas Aimer:シャンソンの世界

ダミア Damia の歌「人の気も知らないで」Tu Ne Sais Pas Aimer(壺齋散人による歌詞の翻訳)

  あなたはそんな振りしてるけど
  心からは思っていない
  だからどんなに微笑まれても
  わたしはいいたくなるのよ

  人の気も知らないで
  両手を差し伸べる
  あなたの眼の奥に愛を探しても
  見つかるのはうつろな瞳だけ

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暗い日曜日 Sombre Dimanche:シャンソンの世界

ダミア Damia の歌「暗い日曜日」Sombre Dimanche:壺齋散人による歌詞の翻訳

  暗い日曜日 両手に花束を抱えて
  わたしは部屋に入っていく 疲れきった心で
  だってもうあなたが来ないことが分かってるから
  愛と苦しみを言葉に込めて歌うの
  一人ぼっちで涙に暮れるわたし
  霧が悲しみに揺らめくのを聞きながら
  暗い日曜日

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2009年3月12日

聞かせてよ、愛の言葉を Parlez-moi d'Amour:シャンソンの世界

リュシエンヌ・ボアイエ Lucienne Boyerの歌「聞かせてよ、愛の言葉を」Parlez-moi d'Amour:壺齋散人による歌詞の日本語訳

  聞かせてよ
  あなたの愛の言葉を
  その言葉が
  わたしの心をときめかすの
  何度でも
  その言葉を繰り返してね
  愛してるって

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私の心はバイオリン Mon cœur est un violon :シャンソンの世界

リュシアンヌ・ボアイエ Lucienne Boyerのシャンソン「私の心はバイオリン」Mon cœur est un violon:壺齋散人訳

  私の心はバイオリン
  あなたの弓に奏でられ
  さやけくも鳴り響く
  あなたの頬に寄りかかり
  時には軽やかな
  フォリーの調べ
  時には物憂げな
  メランコリーの調べ

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2009年3月20日

リラの花咲く頃 Quand refleuriront les lilas blancs:シャンソンの世界

シャンソンの名曲「リラの花咲く頃」Quand refleuriront les lilas blancs:壺齋散人による歌詞の日本語訳

  春よ あなたの訪れを
  みなずっと 待ってたのよ
  森の中では
  恋人たちが
  寄り添いあって あなたの息吹きに
  夢中になるわ
  両手いっぱいに リラを抱えて
  あなたを迎えたい

  リラの花が咲く頃
  ゆきかうのは愛の言葉
  乙女たちは
  うっとりとして
  春の息吹きに
  夢中なのよ

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詩人の魂 L'âme des poètes:シャンソンの世界

シャルル・トレネ Charles Trenet のシャンソン「詩人の魂」L'âme des poètes:壺齋散人訳

  詩人たちがいなく
  なった後もいつまでも
  その歌は街を流れるよ
  人びとは歌い楽しむ
  詩人の名は知らずとも
  その歌は胸に響く
  言葉やフシを変えてみたり
  時には雰囲気を変えて
  歌う ララララララ
  ララララララ

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2009年3月28日

海 La Mer:シャンソンの世界

シャルル・トレネ CharlesTrenetの歌「海」La Mer:壺齋散人による歌詞の翻訳

  海が 入り江に沿って踊る
  銀のしぶきを 上げて
  雨に打たれて揺らめきつつ

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街角 Coin de rue:シャンソンの世界

シャルル・トレネのシャンソン「街角」Coin de rue(壺齋散人による歌詞の日本語訳)

  思い出す ある街角
  いまはないけれど
  子供のころによく
  遊んだところ
  そこには柵があって
  待ち伏せするには
  もってこいだった
  よくけんかしたものさ

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2009年4月 2日

枯葉 Les Feuilles Mortes:シャンソンの世界

イヴ・モンタン Yves Montandの歌「枯葉」Les Feuilles Mortes:壺齋散人による歌詞の日本語訳

  君にはどうか思い出して欲しいんだ
  ぼくらが恋人同士だった日のことを
  あのころは毎日が美しく過ぎ
  太陽の光も今より輝いていた

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セシボン C'est si bon:シャンソンの世界

シャンソンの名曲「セシボン」C'est si bon:壺齋散人による歌詞の日本語訳

  こんなきれいなブロンドが
  世の中にいたなんて
  ぼくは全く首ったけさ
  人生が変わったよ
  ぼくは叫ぶ オー
  ぼくは叫ぶ アー

  セシボン
  歩こうよ あてどなく
  手と手を からませながら
  シャンソンを 歌って
  セシボン
  交し合う 言葉は
  意味もない ことだけど
  ぼくらは 幸せさ

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2009年4月 9日

パリ À Paris:シャンソンの世界

イヴ・モンタン Yves Montand の歌「パリ」À Paris:壺齋散人による歌詞の日本語訳

  どんなに長い時間があっても
  たったひとつのことがいえない
  あの永遠の一瞬を
  ぼくらは互いに
  抱き合いながら
  冬の光を浴びた
  公演の一角
  パリで
  パリの大地の上で
  宇宙の中心で

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あじさい娘 Mademoiselle Hortensia:シャンソンの世界

イヴェット・ジローの歌「あじさい娘」Mademoiselle Hortensia:壺齋散人による歌詞の日本語訳

  むかしあるところに
  ひとりの娘さんが
  つつましく暮らしてました
  その名はオルタンシャ
  身ごなしはとても軽く
  そして働き者
  みなはこう呼びました
  あじさいの娘さん
  街中の男たちは
  あなたに歌を贈ります
  そしてあなたの
  気を引こうと
  みな夢中だわ
  あじさいの娘さん

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2009年4月16日

花祭り La fête des fleurs:イヴェット・ジロー

イヴェット・ジロー Yvette Giraud の歌「花祭り」La fête des fleurs:壺齋散人による歌詞の日本語訳

  流れゆく 川面には
  ギターの音が響き
  舟は音も無く
  橋の下をゆきかうよ
  いっぱいに つんだ
  花が 水に
  姿を 映すよ
  陽は まどろんで
  金色にひかり
  鳥が 歌うよ

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ポルトガルの洗濯女 Les Lavandières Du Portugal:イヴェット・ジロー

イヴェット・ジロー YvetteGiraud のシャンソン「ポルトガルの洗濯女」Les Lavandières Du Portugal:壺齋散人による歌詞の日本語訳

  洗濯女を知ってるかい ポルトガルの洗濯女を
  とりわけセチュバル村の洗濯女たちを
  そこは洗い場というより 社交場のようで
  女たちが洗濯のリズムに乗って歌ってるんだ

  洗濯物を洗う間
  ワインでも飲んでなさい
  洗濯物を洗う間
  そこらをぶらついてなさい
  バッシャ バッシャ 精をだせば
  バッシャ バッシャ 今夜はよく眠れる

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2009年4月23日

ポルトガルの四月 Avril au Portugal:イヴェット・ジロー

イヴェット・ジロー Yvette Giraud が歌ったシャンソン「ポルトガルの四月」Avril au Portugal:壺齋散人による歌詞の日本語訳

  話してあげるわ
  わたしが見たことを
  けだるい夏空の
  下で
  恋する者たちが
  船の中で過ごした
  アヴァンチュールな
  日々
  その余韻を引きずって
  客が船から下りる
  それを見つめている
  わたし
  あのひとたちは愛に
  包まれてるはずよ
  だから歌いたくなるの

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りんごとさくらんぼの木の下で Cerisiers roses et pommiers blancs:シャンソンの世界

シャンソンの名曲「りんごとさくらんぼの木の下で」Cerisiers roses et pommiers blancs:壺齋散人による歌詞の日本語訳

  りんごとさくらんぼの木の下で
  石蹴り遊びをしたっけ
  あの子と遊ぶうちに ぼくは
  好きになったんだよ

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