スープと雲 La soupe et les nuages:ボードレール
ボードレールの散文詩集「パリの憂鬱」から「スープと雲」La soupe et les nuages(壺齋散人訳)
とてつもなく可愛い我が恋人が、私を夕食に招いてくれた。私は食堂の開け放った窓ごしに、神が蒸気で作りたまうた動く建築物、触ることの出来ないすばらしい構造物を眺めていた。そして眺めつつ独り言をいったものだった。「この幻のような形は、彼女の目のように美しい。緑色の瞳をした、とてつもなく可愛い怪物だ。」
ボードレールの散文詩集「パリの憂鬱」から「スープと雲」La soupe et les nuages(壺齋散人訳)
とてつもなく可愛い我が恋人が、私を夕食に招いてくれた。私は食堂の開け放った窓ごしに、神が蒸気で作りたまうた動く建築物、触ることの出来ないすばらしい構造物を眺めていた。そして眺めつつ独り言をいったものだった。「この幻のような形は、彼女の目のように美しい。緑色の瞳をした、とてつもなく可愛い怪物だ。」
ボードレールの散文詩集「パリの憂鬱」から「どこへでもこの世の外なら」 N'importe où hors du monde(壺齋散人訳)
人生とは、病院のようなものだ。そこでは患者それぞれがベッドの位置を変えたい欲望にとらわれている。この者は、どうせ苦しむなら暖炉の前でと望み、かの者は、窓際なら病気がよくなるだろうと信じている。
私もまた常に、どこか違う場所ならもっといいに違いないと感じている。場所を移すということは、私がいつも自分の魂に問いかけているテーマなのだ。
ボードレールの散文詩集「パリの憂鬱」から「エピローグ」Epilogue(壺齋散人訳)
余は心満ちて山に登る
そこからはゆったりとした街が望める
病院、娼家、煉獄、地獄そして監獄も
そこでは常軌を逸した事柄が花ざかり
おおサタンよ 我が苦悩のパトロンよ
余は空涙を流すためにそこへ行ったのではない