ロックの倫理思想
ロックの倫理思想は快楽と欲望に立脚している点で、ベンサムの功利主義思想を先取りしている。ロックによれば、快楽を増進し苦痛を減退させるものが善である。だから我々人間は快楽が最大になるように欲望する。そして快楽が最大になった状態を幸福と感ずるのだ。
ロックの倫理思想は快楽と欲望に立脚している点で、ベンサムの功利主義思想を先取りしている。ロックによれば、快楽を増進し苦痛を減退させるものが善である。だから我々人間は快楽が最大になるように欲望する。そして快楽が最大になった状態を幸福と感ずるのだ。
国家の成立に先立って人間の自然状態を想定し、そこから社会契約によって国家あるいは政府というものが形成されると考える点で、ロックはホッブスの政治理論と似通った思想を抱いていた。しかし肝心なところで、ロックとホッブスとの間には相違がある。
国家権力の構成要素は、立法、行政、司法の三権からなるが、これらを異なる機関に分担させ、相互の間に牽制とバランスを計ろうとする思想は、近代の民主主義政治にとって基本的な枠組になっている。それはイギリスの政治的伝統から生み出されてきたものであり、今日ではアメリカを典型として、民主主義を標榜する世界中の国々の政治体制に組み込まれている。
唯心論的な観念論はバークリー George Berkeley (1685-1753) に始まるといってよい。その点で彼は近代哲学史上重要な位置を占めている。
デヴィッド・ヒューム David Hume (1711-1776) は、ロックが始めた経験論的なアプローチを究極まで突き詰めることによって、そこから奇妙な帰結を引き出した。彼は、形而上学者たちがいう実体なるものの虚構性を改めて証明したばかりか、人間の精神活動を支えているもう一つの実体、つまり自我の存在まで否定したのである。