経済学と世界経済


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アメリカの格付け会社スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)が27日、日本の外貨建て・自国通貨建ての長期ソブリン格付けをAAからAA─に引き下げた。

日本版「エコノミスト」がアメリカのデフレを特集している。リーマンショック後のアメリカの経済停滞は、2009年には底打ちしたといわれていたが、その後なかなか上向く兆しがないばかりか、最近は二番底の可能性さえささやかれている、その背景にはかつて日本が陥った(いまでも脱却できないでいる)デフレと同じ要因が働いているのではないか、そういう議論が展開されている。

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先般フランスで起きた若者の暴動騒ぎは、久しぶりにヨーロッパの抱える矛盾をあぶりだして見せた。(上の写真:ロイター提供)

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英紙エコノミストの最近号が、日本の近未来を占う記事を載せている。Into the unknown By Henry Tricks 書かれていることはみな、日本人自らがすでに知っていることばかりだが、知っていながら対策を取ろうとしないことについて、強烈な警告を行っている。そこが読んでいて、焦りを掻き立てられるような気分にさせられる。

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全米経済研究所 National Bureau of Economic Research が、2007年12月に始まった景気後退は2009年6月で収束していたと発表したことで、複雑な反響が生じている。

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アメリカ国勢調査局の統計によると、2009年におけるアメリカの貧困層人口は前年より400万人増えて4370万人となり、51年前の調査開始以来最悪の数字を記録したそうだ。総人口に対する貧困率は14.3パーセントになる。

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元相場と中国の貿易収支(日本経済新聞)

中国の通貨当局が人民元の対ドルレートの切り上げを事実上容認したことを受けて、週明けの6月21日には早速その効果が現れた。人民銀行がガイドラインとして設定している一日あたり0.5パーセントの上昇幅一杯に、元の対ドルレートが上昇したのだ。今後ともこの傾向が続くのか、またその場合どれくらいの水準にまで元の切り上げが進むのか、見方はさまざまだ。

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先稿でギリシャの財政破綻とそれがユーロ圏、ひいては世界経済に及ぼす影響の一端について触れた。そこでひとつ問題として残されたのは、ギリシャ政府がなぜこんな財政破綻に陥ったのかということだ。

深刻な財政破綻に陥ったギリシャに対して、ユーロ圏の諸国が協調融資に踏み切った。その額は三年間で総額1200億ユーロ(約15兆円)、うち3分の2はユーロ圏の15カ国が、残りの3分の1はIMFが負担する。

この日(9月15日)はリーマン・ショックから一年。あのショックが引き金になってアメリカはもとより世界中が深刻な不況に陥った。それを教訓に、行き過ぎたマネーゲームをもたらしたアメリカの金融システムに対する疑問が深まり、資本主義経済の再構築が議論されてきた。金融システムに対して節度あるパフォーマンスを誘導するための規制の導入はその最たるものだ。

ここ数年来日本経済を苦しめてきたデフレが依然止まらないばかりか、勢いを増してきているようだ。スーパーにいくとよくわかる。食料品を始めとした日常用品の価格が一段と下がっており、価格競争のすさまじさを改めて感じさせる。その象徴となっているのが自社ブランドというものだ。

マネー資本主義という耳慣れない言葉を使って、NHKが今回の金融危機の背後に潜む病理に光を当てていた。

アメリカの金融危機が節度を失ったマネーゲームの産物だったことはいうまでもないが、その影にはゲームを加熱させる科学の存在があった。金融工学 Financial Engineeringと呼ばれるものだ。確率論を応用したこの新しい学問が、投資家たちの投資リスクに関する感覚を麻痺させ、マネーゲームを暴走させる結果となった。そのプロセスを、NHKの特集がわかりやすく伝えていた。

今回の世界規模の経済危機を巡って、その原因と資本主義の将来について、ファリード・ザカリア Fareed Zakaria がニューズウィーク誌上に興味深い分析を載せている。The Capitalist Manifesto; Greed is Good

今回の世界的規模での経済危機は当分持続しそうな様子だが、これを契機にして、世界の経済地図が大きく塗り替えられていくのではないかと予測されている。というのも、BRICs諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国)といわれる新興の経済パワーが、不況にあえぐ先進諸国を尻目に、相対的に高い経済成長を続けており、この勢いが止まらないと、やがて先進諸国に拮抗する巨大経済パワーに成長する可能性が高いからだ。

アメリカ流資本主義のルールにはわけの分らぬところが多い。とりわけこのたびの金融危機をめぐっては、筆者の理解を超えた事柄が起こる。政府から1700億ドルのベイルアウト資金を受けたA.I.Gが、自社の経営陣に対して巨額のボーナスを支払うつもりだなどという話を聞くと、理解できないというより、腹立たしい気持ちにもさせられる。

オバマ政権が発足して一月半が経過した。この間オバマ大統領は差し迫る金融危機への対応に追われ、選挙期間中に掲げていた経済政策の枠組みについては、本腰を入れて実施するだけの余裕がなかった。だが新たな予算編成のなかで、一気にその遅れを取り戻し、アメリカを新たな社会的枠組に導いていこうとする意欲をのぞかせた。

今年のクリスマスは、多くの人々にとって苦々しいものになったろう。突然吹き起ったともいえる不況の風にあおられて、職を失い、場合によっては住むところを失って、路上でサンタクロースの到来を待ったものもいただろう。

アメリカの金融危機が実体経済にまで飛び火し、消費者の購買意欲が劇的な低下を見せる中で、アメリカ経済の象徴であった自動車産業が危機的な状況に陥っている。自動車の売り上げが昨年比30パーセントも減少する事態に見舞われ、ビッグスリーはいづれも深刻な経営危機に陥ったのである。

昨日朝日新聞によるポール・サミュエルソンへのインタビュー記事を紹介したところ、思わぬ反響があった。この記事の中でサミュエルソンはケインズ派経済理論にもとづく財政出動を主張していたのだが、筆者もまた同じ意見だと受け取られたのだ。だが筆者はサミュエルソンやクルーグマンの主張を、私見を交えずに紹介したつもりであって、必ずしも彼らと意見を同じくしているわけではない。

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