柿本人麻呂は、万葉歌人のなかでも、最も優れた歌人であったといえる。その生涯については、わからぬことも多いが、持統天皇の時代に、宮廷歌人として多くの儀礼的な歌を作ったことを、万葉集そのものが物語っている。その歌は、古代の神話のイメージを喚起させて、雄大なものがある。
柿本人麻呂は相次いで失った二人の妻のために、哀切きわまる挽歌を作っている。また、旅の途中に目にした死者を見ては、彼らの不運に感情移入して、歌わずにはいられなかった。それらの歌に響く人麻呂の人間的な感情は、時代を超えて人びとの心を打つ。
その死については不明な点が多く、古来様々な憶測を呼んだ。筆者は、独自の考察をもとに、柿本人麻呂火葬説を提出した。
ここでは、柿本人麻呂について、筆者が折々にものした論考をまとめてみた。
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