ウィリアム・ブレイク詩集「無垢の歌」より「生まれた喜び」Infant Joyの歌。壺齋散人訳。
生まれた喜び
“僕にはまだ名前がない
生まれてまだ二日なんだ“
どんな名前がいいかしら
“ぼくはとっても幸せだから
喜びの名がいいな“
いつまでも喜びが続きますように!
可愛い喜び
愛らしい喜びはまだ二日
あなたを喜びと呼びましょう
あなたは微笑み
私は歌う
いつまでも喜びがつづきますように!
この詩は生まれたばかりの幼子とその母親との愛情あふれるやり取りをうたったものだ。わずか2節の短い詩だが、そのなかには、生命の尊さへの厳粛な気持ちと、生きることの喜びが溢れ出ている。
前節では子どもと母親の会話を歌い、後節では母親の呼びかけを歌う。子どもは、自分にはまだ名前がないけれど、ママの喜ぶ顔を見て、その喜びこそが自分の名にふさわしいという。母親は子どもの顔をみて、あなたは微笑み、わたしは歌うと歌う。
誰しも生まれたばかりの子どもを前にしたら、このように歌わずにはいられないだろう。
Infant Joy : William Blake
"I have no name:
I am but two days old."
What shall I call thee:'
"I happy am,
Joy is my name."
Sweet joy befall thee!
Pretty joy!
Sweet joy, but two days old.
Sweet joy I call thee:
Thou dost smile,
I sing the while,
Sweet joy befall thee!
関連リンク: 英詩のリズム>ブレイク詩集「無垢の歌」
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