ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「子守の歌」 Nurses Song を読む。(壺齋散人訳)
子守の歌
子どもたちの声が野辺に響き
谷間をささやきが満たすとき
私の心には昔の日々がよみがえり
私の顔は青ざめる
子どもたちが家に帰ると
日は沈みあたりに夜露がたちこめる
春の一日を遊び暮らした者たち
しばし冬と夜とをしのびなさい
子どもたちの遊ぶ姿をみて、自分の子どもの頃を思い出したのだろう、子守の顔が何故か曇って青ざめるのは、そこに悔いのような感情があるからだろうか。
「無垢の歌」に収められた同名の歌では、子守は子どもたちの姿を慈しみを以て見守っていた。帰る時間になっても、子どもたちにせがまれて、そのまま遊びを続けさせている。子どもたちが家に帰るのは、日も暮れて疲れ切ってからだ。
同じく green という言葉が使われていても、前には野辺のしたたる緑であったものが、ここでは青ざめた顔の色として象徴化されている。ブレイクは、この変化の中に何を歌いこんだのだろうか。
Nurses Song William Blake
When the voices of children, are heard on the green
And whisprings are in the dale:
The days of my youth rise fresh in my mind,
My face turns green and pale.
Then come home my children, the sun is gone down
And the dews of night arise
Your spring & your day, are wasted in play
And your winter and night in disguise.
関連リンク: 英詩のリズム>ブレイク詩集「経験の歌」
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