ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」Songs of Experience から「愛らしいバラの木」 My Pretty Rose Tree (壺齋散人訳)
愛らしいバラの木
5月の花のなかでもとびきりの
美しい花を貰ったの
でもわたしには愛らしいバラの木がある
だからその花は人にあげたわ
わたしはバラの木のところに戻り
朝な夕なに世話を焼いたの
でもやきもち焼きのバラはそっぽを向き
わたしには棘しか残らなかったの
バラは美しい花びらとともに人を刺す棘を持っている。こんなことから、うつくしさとともに、人間をはねつける厳しさを、あわせてイメージさせる。
この詩は、バラに嫉妬の感情を投影し、その嫉妬が人に棘を向けさせるという、かなしいやり取りを描いている。
バラはここでは女性のイメージに描かれているから、このやりとりは女同士のことを歌ったものとも受け取られる。
My Pretty Rose Tree William Blake
A flower was offerd to me;
Such a flower as May never bore.
But I said I've a Pretty Rose-tree!
And I passed the sweet flower o'er .
Then I went to my Pretty Rose-tree
To tend her by day and by night.
But my Rose turnd away with jealousy:
And her thorns were my only delight.
関連リンク: 英詩のリズム>ブレイク詩集「経験の歌」
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