陶淵明「飲酒二十首」から、其四「栖栖失群鳥」を読む。
飮酒其四
栖栖失群鳥 栖栖たり群を失へる鳥
日暮猶獨飛 日暮れて猶ほ獨り飛ぶ
徘徊無定止 徘徊して定止するなく
夜夜聲轉悲 夜夜 聲は轉た悲し
厲響思清遠 厲響 清遠を思ひ
去來何依依 去來 何ぞ依依たる
因値孤生松 孤生の松に値へるに因り
歛翮遙來歸 翮を歛めて遙かに來り歸る
勁風無榮木 勁風に榮木無きも
此蔭獨不衰 此の蔭獨り衰へず
託身已得所 身を託するに已に所を得たり
千載不相違 千載 相ひ違はざらん
群れにはぐれた鳥が不安げに、日が暮れてもなお一人飛んでいる、徘徊して一箇所にとどまることなく、夜毎に泣く声はいよいよ悲しい、激しい叫びは遠くの仲間を求めているのか、行きつ戻りつして後ろ髪を引かれているようだ(栖栖:不安な様子、厲響:激しく叫ぶ音)
一本ぽつんと立っている松を見つけると、翼を収めて身を休めた、冷たい風に大方の木は葉を落としたが、この松だけは緑の影をたたえている、身を託するには心強い、これからもずっと共に生きていこう
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