ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「ひまわりの歌」 Ah! Sun-flower (壺齋散人訳)
ひまわりの歌
物憂げな ひまわりの花よ
太陽の歩みと競いながら
お前が追い求めるのはどんな国
旅人が目指すという黄金の国か
キリストが希求にやつれ
聖母が雪に包まれながら
墓の中から追い求めるという
その国にひまわりよ 行きたいというのか
イギリス人にとってひまわりは、文字通り太陽を追い求める花だ。その花の追い求める方向にあるのは、太陽が光り輝く黄金の国。それはただに日が輝いているというにとどまらず、人をひきつけてやまない不思議な国であるに違いない。
ブレイクのこの歌は、ひまわりにことよせて、すべての人が希求する国、つまり神の国をイメージしたものだ。それはキリストさえ、また聖母さえもあこがれる国である。
ひまわりの花は、アメリカの植民地から伝えられて以来、イギリスの風土にも根付いた。それは常に太陽を向いていることから貞節の象徴ともされ、また意思の強さをも感じさせた。そんなところがブレイクの精神性にも応えたのであろう。
Ah! Sun-flower William Blake
Ah Sun-flower! weary of time,
Who countest the steps of the Sun:
Seeking after that sweet golden clime
Where the travellers journey is done.
Where the Youth pined away with desire,
And the pale Virgin shrouded in snow:
Arise from their graves and aspire,
Where my Sun-flower wishes to go.
関連リンク: 英詩のリズム>ブレイク詩集「経験の歌」
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