陶淵明擬古九首から其五「東方有一士」を読む。
擬古其五
東方有一士 東方に一士有り
被服常不完 被服常に完からず
三旬九遇食 三旬に九たび食に遇ひ
十年著一冠 十年一冠を著す
辛勤無此比 辛勤此に比ぶる無きも
常有好容顏 常に好き容顏有り
我欲觀其人 我 其の人を觀んと欲し
晨去越河關 晨に去って河關を越ゆ
青松夾路生 青松 路を夾んで生じ
白雲宿簷端 白雲 簷端に宿る
知我故來意 我の故に來れる意を知り
取琴爲我彈 琴を取って我が爲に彈ず
上絃驚別鶴 上絃 別鶴を驚かせ
下絃操孤鸞 下絃 孤鸞を操る
願留就君住 願はくは留まりて君に就いて住み
從今至歳寒 今より歳寒に至らん
東方に一人の男がいる、服はぼろを着、月に9度しか食事せず、10年間同じ冠をかぶっている
貧しさにかけては比べるものがないが、いつもニコニコ顔で過ごしている、そんな男を見たいと思い、朝に旅立って河關を越えた
青松が道の両側に生え、白雲が軒端にかかっている、自分がやってきたわけを知ると、男は歓迎して琴を弾いてくれた
上弦では別鶴の曲を弾き、下弦では孤鸞の曲を弾く、願わくば一緒に暮らし、冬を迎えたいものだ
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