ジョン・キーツの詩「居酒屋マーメイド」 Lines on the Mermaid Tavern を読む。(壺齋散人訳)
死んでいった詩人たちの魂よ
あなたがたの通った居酒屋マーメイドは
どんな素敵な野原やコケ蒸した洞窟
どんな理想郷より素晴らしかったそうですね
あなたがたの啜ったカナリアのワインは
どんな飲み物にも増してうまかった
天上のフルーツでさえも
この店の鹿肉のパイにはかなわない
何たる美味!
あなたがたはロビンフッドのように
マリアンのような女性をはべらせ
鹿の角にワインをくんで飲んだのでしたね
ある日その店の看板が
どこかに消えてしまったそうですね
だれも行方がわからなかったが
占星術師がそのわけを明かしてくれた
彼はガチョウのペンで羊皮紙に書いたという
その看板は新しい看板の下に隠れ
昔のままの姿でいると
そこには聖なる飲み物をすすり
満足して舌づつみする
ゾディアックの人魚が描かれていると
死んでいった詩人たちの魂よ
あなたがたの通った居酒屋マーメイドは
どんな素敵な野原やコケ蒸した洞窟
どんな理想郷より素晴らしかったそうですね
Mermaid Tavern はエリザベス朝時代のロンドンにあった酒場の名前である。セントポール寺院の東側、フライデー・ストリートとブレッド・ストリートの交差点にあり、フライデー・ストリートに面していた。
この酒場はまた、フライデー・ストリートクラブとも呼ばれ、そこには多くの文人たち、ベン・ジョンソン、ウォルター・ローリー、ジョン・ダン、そしてシェイクスピアなどが集まってきて、文学論議を交わしたという。
キーツの頃にはすでにその面影はなかったようだが、彼は往時を回顧して想像力を働かし、この詩を作ったのだろう。
Lines on the Mermaid Tavern - John Keats
Souls of Poets dead and gone,
What Elysium have ye known,
Happy field or mossy cavern,
Choicer than the Mermaid Tavern?
Have ye tippled drink more fine
Than mine host’s Canary wine?
Or are fruits of Paradise
Sweeter than those dainty pies
Of venison? O generous food!
Drest as though bold Robin Hood
Would, with his maid Marian,
Sup and bowse from horn and can.
Ihave heard that on a day
Mine host’s sign-board flew away,
Nobody knew whither, till
An astrologer’s old quill
To a sheepskin gave the story,
Said he saw you in your glory,
Underneath a new old-sign
Sipping beverage divine,
And pledging with contented smack
The Mermaid in the Zodiac.
Souls of Poets dead and gone,
What Elysium have ye known,
Happy field or mossy cavern,
Choicer than the Mermaid Tavern?
関連リンク: 英詩のリズム>ジョン・キーツ John Keats :生涯と作品
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