ジョン・キーツの詩「恐れのとき」 When I have Fears を読む。(壺齋散人訳)
わたしのペンがわたしの思いを書きつくすまで
万巻の書を読み豊かな思想を
収穫のように実らせることが出来るまで
自分が生きてはいないだろうと思うと
夜空に輝く星を眺め
そこに高雅なロマンスを読み取るとき
いかに魔法の手を以てしても
星の軌跡を辿り尽すことは出来ないと思うと
そしてあなた たまゆらに輝く愛しい人よ
あなたを見ることがもはやかなわず
あなたの純真な愛のすばらしい魅力を
もはや味わうこともできないと思うと
わたしはこの世の崖っぷちに一人たたずみ
愛も名誉も何者でもないと考えるのだ
キーツは弟のトムが結核で死んだことに深い衝撃を受け、自分もやはり弟のように、そう長くは生きられないだろうと思うようになった。1818年には、彼にも結核の症状が現れ、それが深刻化し始めたのだ。
その頃に、キーツはファニー・ブローンを愛するようになった。その愛が深いものであればあるほど、キーツはその愛に責任をもてないことに苦しんだ。なぜなら、自分は愛する人を幸せにすることが出来ないからだ。
そんなキーツの深い嘆きが、この詩の中にはこめられている。
When I have Fears that I may Cease to Be
When I have fears that I may cease to be
Before my pen has glean'd my teeming brain,
Before high-piled books, in charactery,
Hold like rich garners the full ripen'd grain;
When I behold, upon the night's starr'd face,
Huge cloudy symbols of a high romance,
And think that I may never live to trace
Their shadows, with the magic hand of chance;
And when I feel, fair creature of an hour,
That I shall never look upon thee more,
Never have relish in the faery power
Of unreflecting love;--then on the shore
Of the wide world I stand alone, and think
Till love and fame to nothingness do sink.
関連リンク: 英詩のリズム>ジョン・キーツ John Keats :生涯と作品
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