詩経国風:周南篇から「桃夭」を読む。(壺齋散人注)
桃之夭夭 桃の夭夭たる
灼灼其華 灼灼たり其の華
之子于歸 この子ここに歸(とつ)がば
宜其室家 其の室家に宜しからん
桃之夭夭 桃の夭夭たる
有蕡其實 有蕡(ふん)たり其の實
之子于歸 この子ここに歸がば
宜其家室 其の家室に宜しからん
桃之夭夭 桃の夭夭たる
其葉蓁蓁 其の葉蓁蓁たり
之子于歸 この子ここに歸がば
宜其家人 其の家人に宜しからん
桃は若々しく、その花は燃えるようだ、その桃のような娘が嫁いだならば、きっと素晴らしいお嫁さんになるだろう
桃は若々しく、その実はふっくらとしている、その桃のような娘が嫁いだならば、きっと素晴らしいお嫁さんになるだろう
桃は若々しく、その葉はふさふさとしている、その桃のような娘が嫁いだならば、きっと家中の人が喜ぶだろう
古来中国人の間で、結婚式の席上好んで歌われてきた歌である、日本で言えば四海波のような位置づけであるが、その歴史は比較にならぬほど遠い
桃の初々しい姿を乙女の姿に重ね合わせ、花、実、葉についてそのみずみずしさを強調し、その桃のような乙女が嫁に行った家はさぞ幸せだろうと、のびのびとした祝いの感情を述べているところがよい
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