詩経国風:召南篇から「小星」を読む。(壺齋散人注)
嘒彼小星 嘒(けい)たる彼の小星
三五在東 三五 東に在り
肅肅宵征 肅肅として宵(よる)征き
夙夜在公 夙夜 公に在り
寔命不同 寔(これ)命同じからざればなり
嘒彼小星 嘒たる彼の小星
維參與昴 維れ參と昴と
肅肅宵征 肅肅として宵征き
抱衾與稠 衾と稠とを抱く
寔命不猶 寔 命猶(し)かざればなり
ほのかに光る小星が、三つ五つ東の空にかかっています、その星を眺めながらわたしたちは夜に出かけ、夙夜だんなさまのお供をします、奥様とは身分が違いますから
ほのかに光る小星は、參星と昴星です、その星を眺めながらわたしたちは夜に出かけ、布団と寝巻きを持参します、奥様とはめぐり合わせが違いますから
日本でも江戸の戯作者たちは妾のことを小星と洒落て言っていた、妾の音が小と似通うことから、妾生が転じて小星になったのだろうと、筆者は思っていた。
ところが中国でも妾を小星といい、それが詩経の昔からのことだったと知り、いささか驚いたことがある。
この詩はそんな妾たちの悲哀を歌ったものである。どうやら古代中国の妾たちは、布団と寝巻き持参で旦那の寝屋に通ったものらしい。
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