詩経国風:鄘風篇から相鼠を読む。(壺齋散人注)
相鼠有皮 鼠を相(み)るに皮有り
人而無儀 人にして儀無し
人而無儀 人にして儀無くんば
不死何為 死せずして何をか為さんや
相鼠有齒 鼠を相るに齒有り
人而無止 人にして止無し
人而無止 人にして止無くんば
不死何俟 死せずして何をか俟(ま)たんや
相鼠有體 鼠を相るに體有り
人而無禮 人にして禮無し
人而無禮 人にして禮無くんば
胡不遄死 胡(なん)ぞ遄(すみやか)に死せざらんや
鼠をみるとそこには皮がついている、ところが人には皮があっても礼儀に欠けたものがある、人にして礼儀がなければ、死なずしてどうしようというのか
鼠をみるとそこには歯がついている、ところが人には歯があっても節度に欠けたものがある、人にして節度がなければ、死なずして何をしようというのか
鼠をみるとそこには手足がついている、ところが人には手足があっても礼節に欠けたものがある、人にして礼節がなければ、早く死んでしまったほうが良い
人間にして礼節に欠けたものは、鼠にも劣る、鼠と同じく皮や歯や手足を持っていても、人間らしい礼節を伴わないものは人間とは言われぬのだ、と鬱憤を述べているこの詩は、役人たちの腐敗堕落を揶揄したものだとされている
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