詩経国風:曹風篇から「蜉蝣」を読む。(壺齋散人注)
蜉蝣之羽 蜉蝣の羽
衣裳楚楚 衣裳楚楚たり
心之憂矣 心の憂え
於我歸處 於(いづく)にか我歸り處らん
蜉蝣之翼 蜉蝣の翼
采采衣服 采采たる衣服
心之憂矣 心の憂え
於我歸息 於にか我歸り息(いこ)はん
蜉蝣掘閱 蜉蝣掘閱(くつえつ)して
麻衣如雪 麻衣雪の如し
心之憂矣 心の憂え
於我歸說 於にか我歸り說(やど)らん
蜉蝣(かげろう)の羽は、美しい着物である、だがその命の短さをわたしは心に憂えるのだ、私にしてもどこに身を休めたらよいのだろうか
蜉蝣(かげろう)の翼は、華やかな着物である、だがその命の短さをわたしは心に憂えるのだ、私にしてもどこに身を憩わせたらよいのだろうか
蜉蝣は長い間地中に暮らし、そこから出てきた麻の衣のような姿は雪のように白い、だがその命の短さをわたしは心に憂えるのだ、私にしてもどこに身を寄せたらよいのだろうか
蜉蝣は美しいが儚い命だ、人間の命もまた儚く短い、それを思うと自分の心は憂いに満ち、その短い命をどこに寄せて生きたらよいのか、わからなくなる、そんな無常観を歌ったものである
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