ブッシュ政権によって提出された金融安定化法案が、一旦は否決されながら、数日後には劇的な復活をとげた。アメリカの憲政史上でも珍しい出来事である。しかしあれほどこの法案に拒絶反応を示した議員たちが、なぜわずか数日の間に考えを改めたのか。その内幕をワシントン・ポストが巧妙に分析している。
まず否決の結果が株式市場の大暴落となって現れた。これは、ポールソンたちの描いている暗黒のシナリオがあるいは本当になるかもしれないという恐怖感を彼らにもたらした。それ以上に、選挙区からの反応、とりわけ産業界からの反応が議員たちに思い直しを迫った。
この否決を受けて、金融機関は神経質なまでに臆病になり、金の貸し出しを渋るようになった。それが産業界にアッパーカットのような打撃を与えた。産業界は銀行の貸し渋りに直面して、俄かに金が回らなくなったのだ。
このままでは、金融機関どころかアメリカの産業全体が、金融危機に飲み込まれて沈没する事態になりかねない。こうした懸念が産業界に広がり、その不安の声が議員たち個人個人に集中したのだ。その声は大企業にとどまらず、中小企業からも沸き起こった。
これはどうも、共和党政権が仕掛けたことではないかとの、憶測も流れている。いずれにしても、否決後の世論に猛烈な変化が生じ、これが議員たちに思い直しを迫ったのだろうと、ワシントン・ポストは分析している。
共和党政権は、法案の再提出におまけをつけた。議員たちに苦渋を飲み込みやすくさせるための工夫だ。1000億ドル規模の減税を柱に、公共投資の拡大、破産法の改正などを抱き合わせたのだ。金融機関だけに税金を投入するのではなく、国民にも広くそのおこぼれを回すから、今回は政府のいうことを黙って聞けということらしい。
とにかくこの法案の成立によって、金融機関の救済には一定の筋道ができた。これがうまく機能すれば当面の金融恐慌は回避できるだろう。しかし、金融危機を引き起こしたそもそもの原因まで解消できるわけではない。
それは低迷する住宅市場であり、またそれをもとに不安定な金融商品を運用してきたアメリカの金融システムの脆弱性である。それらを安定化させるような仕組みが作られない限り、金融不安の火種はくすぶり続けるだろう。
そのうえ、政府によるこの巨額の負債を、将来どうやって返済していくのか。グローバル規模でのインフレ懸念が強まっているなか、やり方次第ではインフレに火をつけることになりかねない。
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