奪回 Rescousse (トリスタン・コルビエール:壺齋散人訳)
もしも俺のギターが
音締めの甲斐なく
いやな音を立て
インドの匕首
拷問の吊り鉤
首吊り台
びっくり箱のようで
よろしくないなら
もしも俺のだみ声が
甘い恋の歌を
歌うことができないならば
―畜生因果な商売だ
もしも俺の葉巻煙草が
灯台のあかりよろしく
お前を闇に迷わせないなら
ー燃え尽きてしまえ
もしも俺の押し出しが
逆巻く竜巻のように
優雅さに欠けているなら
―わめくのはやめろ
もしも俺の心が
燃える海のように
波打つことがないなら
―氷で茹でられ
とっとと消えてしまうとしよう
Rescousse は、奪回するとか取り戻すという意味のフランス語だが、詩の中では何を取り戻したいのか、よくわからぬところがある。
鈴木信太郎はこれを、「助けてくれ」と訳しているが、secour から連想しのだろう。
Rescousse - Tristan Corbière
Si ma guitare
Que je répare,
Trois fois barbare:
Kriss Indien.
Cric de supplice,
Bois de justice,
Boîte à malice,
Ne fait pas bien....
Si ma voix pire
Ne peut te dire
Mon doux martyre....
—Métier de chien!
Si mon cigare,
Viatique et phare,
Point ne t'égare;
—Feu de brûler....
Si ma menace,
Trombe qui passe,
Manque de grâce;
—Muet de hurler....
Si de mon âme
La mer en flamme
N'a pas de lame;
—Cuit de geler....
Vais m'en aller!
関連リンク: 詩人の魂>トリスタン・コルビエール
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