李白の詩「元丹丘の歌」(壺齋散人注)
元丹丘 元丹丘
愛神仙 神仙を愛す
朝飲頴川之清流 朝には頴川の清流を飲み
暮還嵩岑之紫煙 暮には嵩岑の紫煙に還る
三十六峰長周旋 三十六峰長く周旋す
長周旋 長く周旋し
躡星虹 星虹を躡(ふ)む
身騎飛龍耳生風 身は飛龍に騎(の)って耳に風を生じ
橫河跨海與天通 河を橫ぎり海を跨いで天と通ず
我知爾游心無窮 我知る 爾の游心窮り無きを
元丹丘は、神仙を愛す。朝には頴川の清流を飲み、暮には嵩山のもやの中へと帰っていく。
嵩山の三十六峰を常に巡回しているのだ、いつも巡回しては、星や虹を踏んで歩く、またその身は飛龍に乗って耳を風になびかせ、黄河を横断し東海をまたいで天に通ずる、私には君の果てしない心がよく分っている
元丹丘は李白が30歳前後に交際していた道士のひとり。李白はこの人物の詩を12編も書いているとおり、心から信服していたようだ。
頴川は河南省を流れる川、元丹丘はこの川のほとりに別荘をもっていた、嵩岑は嵩山のこと、五岳のひとつで神聖な山とされた。
関連リンク:李白:漢詩の注釈と解説
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