李白の五言律詩「太原の早秋」(壺齋散人注)
歳落眾芳歇 歳落ちて眾芳歇(や)み
時當大火流 時は大火の流るるに當る
霜威出塞早 霜威塞を出でて早く
雲色渡河秋 雲色河を渡って秋なり
夢繞邊城月 夢は繞る邊城の月
心飛故國樓 心は飛ぶ故國の樓
思歸若汾水 歸らんと思へば汾水の若く
無日不悠悠 日として悠悠たらざるは無し
年の盛りも過ぎて多くの花が散り去った、時はまさに火星が西に流れる秋だ、城壁の外では霜が猛威を振るい、雲の色が黄河に反映するさまは秋の気配を感じさせる
我が夢はこの辺地の城を巡ってさまよい、心は故郷の家のほうへと飛んでいく、帰ろうと思えばその思いは汾水の流れのように、一日としてはるかな憂いにとらわれぬ日はない
35歳のとき、李白は安陸を離れて洛陽に旅し、続けて太原を尋ねた。洛陽で知り合った元参軍の父親が太原の尹(市長)になったので、息子の招きを受けて赴いたのだった。この詩はその太源に滞在中かかれた詩で、唯一残っているものである。
太原といえば辺境の都市である。これはそこでの旅情のようなものを歌ったものだ。
関連リンク:李白:生涯と作品
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