李白の七言古詩「烏夜啼」(壺齋散人注)
黄雲城邊烏欲棲 黄雲 城邊 烏棲まんと欲し
歸飛啞啞枝上啼 歸り飛び啞啞として枝上に啼く
機中織錦秦川女 機中錦を織る秦川の女
碧紗如煙隔窗語 碧紗煙の如く 窗を隔てて語る
停梭悵然憶遠人 梭を停め 悵然として遠人を憶ふ
獨宿孤房涙如雨 獨り孤房に宿して涙雨の涙し
黄色い靄の中を城壁のあたりでは烏がねぐらへ向かい、飛び帰ってカアカアと枝の上で鳴く、機の中で錦を織るのは秦川(長安)の女、碧紗の帳は煙のように霞み、窓越しに独り言をいっている、時に梭の動きをとめて遠征した夫を悲しそうに思い出しては、孤独な部屋のなかで雨のような涙を流すのだ
これも遠征した夫を思った歌。ねぐらへと帰っていく烏と比較しながら、孤独のなかで夫の帰りを待ちわびる妻の気持ちを歌ったものだ。
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漢詩と中国文化
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