ウィリアム・ブレイク William Blake の長編詩「ミルトン」から「エルサレム」
するとあの古代の人々の足が
イングランドの青い山々を歩いたのか?
主の聖なる羊がイングランドの
さわやかな牧場に見られたのか?
あの神々しい顔が我らの
曇りがかった丘に輝き出たのか?
エルサレムがこの土地の
暗い水車小屋の間に建てられたというのか?
我が黄金に燃え立つ弓をよこせ!
我が欲望の矢をよこせ!
我が槍をよこせ!雲よほどけろ!
我が炎の戦車をよこせ!
決して心の戦いをやめないぞ
我が剣をいたずらに眠らせておくこともしないそ
我々がエルサレムをイングランドの
緑豊かな地に再建するまでは
ウィリアムブレイクの長編詩「ミルトン」はブレイク自身の幻想的な体験を物語ったものだといわれている。ブレイクは幻想の中で天国のミルトンを訪ね、ひと時語らった後、ミルトンを自分の靴の中にしまってこの世に戻ってくる。それにひとりの少女が一緒についてきて、是非ミルトンに合わせてほしいという。するとミルトンはブレイクの靴の中から現れる。
このようにストーリーはきわめて幻想的だ。この詩の解釈をめぐってはさまざまな説が現れたが、ミルトンの力を借りて世界を変えたいとするブレイクの気持ちを歌ったものだとする説や、ブレイクのパラノイアを表現したものだとする説などが有力である。
ミルトンはいうまでもなく、イギリスの宗教改革に深くかかわった詩人。ブレイクの時代には、新教的心性を持った人々から、熱狂的に支持されていた。
なおここに取り上げた「エルサレム」の部分は、曲がつけられて賛美歌としても歌われている。スポーツの国際試合では、イギリスの応援歌にもなっている。
Milton : Jeruzalem
And did those feet in ancient time
Walk upon England's mountains green?
And was the holy Lamb of God
On England's pleasant pastures seen?
And did the Countenance Divine
Shine forth upon our clouded hills?
And was Jerusalem builded here
Among these dark Satanic Mills?
Bring me my bow of burning gold!
Bring me my arrows of desire!
Bring me my spear! O clouds, unfold!
Bring me my chariot of fire!
I will not cease from mental fight,
Nor shall my sword sleep in my hand,
Till we have built Jerusalem
In England's green and pleasant land.
関連リンク:ポエティカル・スケッチ:ブレイク詩集
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