ハッブル宇宙望遠鏡が打ち上げられたのは1990年のことだ。当初はトラブル続きだったが、何回かの修理を経て観測精度を上げ、数々の宇宙の映像をキャッチしてきた。
何しろ地上天文台と比較して、余計なノイズにさらされることがないだけ、精密な映像を捕らえることができる。これまでに発見された太陽系外の惑星の殆どは、この望遠鏡が発見したものだし、数十億年と見られていた宇宙の歴史が、120億年以上前にさかのぼるらしいことを示唆したのもこの望遠鏡だった。
ところがこの優れものの望遠鏡が壊れたというので、一時は世界中の天文学者と宇宙観察愛好家をがっかりさせた。打ち上げられてから19年もたつのだから、ある意味では仕方がない事態だった。そもそもこの望遠鏡の寿命は15年程度と設定されていたのだから、壊れて当たり前ともいえた。
しかし今の時点では、この望遠鏡に代わるものはない。壊れたままでは、人類の宇宙に関する貴重な情報源が途絶えたままになる。そんなわけで、当初予定になかった修理活動が、急遽宇宙空間で展開されることになった。
修理するのは無論人間だ。その人間がロケットに乗って宇宙空間に向かい、自分たちの手で直接修理する。せっかく人間が宇宙まで行くのだから、ただの修理ではもったいない。実際この修理を通じて、望遠鏡の能力は一段階アップするそうだ。
5月14日、修理のためのミッションは無事達成された。ハッブル望遠鏡は、まだ当分宇宙の映像を地球に送り届けてくれるだろう。しかもこれまでよりいっそう鮮明な映像が期待できるという。
ハッブル後の宇宙望遠鏡打ち上げのプログラムも目下進行中だそうだ。ジェームズ・ウェッブと名づけられたその宇宙望遠鏡は、予定通りに進めば、2013年に打ち上げられるという。成功すれば、ハッブルの数倍の能力をもつそうだ。
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