李白の五言古詩「秋浦歌十七首其一」(壺齋散人注)
秋浦長似秋 秋浦長へに秋に似たり
蕭條使人愁 蕭條として人をして愁へしむ
客愁不可度 客愁度(すく)ふべからず
行上東大樓 行きて東の大樓に上る
正西望長安 正西に長安を望み
下見江水流 下に江水の流れを見る
寄言向江水 言を寄せて江水に向かふ
汝意憶儂不 汝の意儂(われ)を憶ふや不(いな)や
遙傳一掬涙 遙かに一掬の涙を傳へ
為我達揚州 我が為に揚州に達せよ
秋浦はその名の如く常に秋の気配に包まれている、その物寂しい様子に自分も憂いがちになる、旅情に耐え切れずに、東の大樓に上れば、真西には長安を望み、足下には長江が流れる
川の水に言を寄せて送り届けたい、どうか我が思いを察して欲しい、我が涙を川水と共に運び去り、揚州まで送り届けてくれ
秋浦は安徽省長江流域の街、風光明媚な水郷として知られる、李白はこの町が気に入って50歳代半ばに3年ほど滞在している
この歌は、旅情にかられながら家族を思いやった歌だ、自分の涙を揚州にいる家族の下に送り届けてほしいと、長江に向って叫んでいる
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