杜甫の五言律詩「宋員外之問の舊庄を過る」(壺齋散人注)
宋公舊池館 宋公の舊池館
零落首陽阿 零落す首陽の阿(おか)
枉道祗從入 道を枉(ま)げて祗(ただ)入るに從(まか)す
吟詩許更過 詩を吟じて更に過るを許す
淹留問耆老 淹留して耆老に問ひ
寂寞向山河 寂寞 山河に向ふ
更識將軍樹 更に識る將軍の樹
悲風日暮多 悲風日暮に多きを
宋公の栄華をしのぶ舊池館が、いまは首陽のほとりで零落してたたずんでいる、寄り道したついでに立ち寄ったが門もなく、詩を吟じながら自由に立ち入れる
立ち止まって古老に聞けば、こうして寂寞として山河を前にしているのだという、宋公の弟たる将軍がやすらったという木も、いまでは悲しい風が吹きすぎるのみだ
二十台での諸国放浪の後、杜甫は30歳の頃洛陽に戻り、楊氏の女を娶って、洛陽郊外の首陽のほとりに居を構えた。陸渾荘という。
この詩はその首陽山のほとりにある宋之問の旧荘を訪ねたときのもの。宋之問は杜甫の祖父杜審言の友人であり、沈全期とともに律詩を完成した人物である。則天武后に気に入られて出世したが、後に失脚して不遇の最後を遂げた。
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