非常に規模の大きなガンマ線バースト Gumma Ray Burst が観測されたのは今年の4月のことだ。アメリカの衛星スウィフトがその兆候を捕らえたのがきっかけだった。早速世界中の天文学者が地上の望遠鏡をその方向に向け、映像を撮影しようとした。上の写真(AFP提供)はその成果の一つだ。中央に赤く光っている部分がガンマ線バーストだ。
その後このガンマ線バースト(GRB090423)を分析するうち、貴重なことがわかってきた。このバーストは今から130億年前に爆発した巨大な星から発せられていたのだった。130億年前といえば、ビッグバンから7億年ほどしかたっていない。だからこの星の爆発は、宇宙生成期の出来事に属するといえる。爆発の内容が詳細になれば、宇宙が生まれた当時の様子が飛躍的に明らかになる可能性がある。
ガンマ線バーストは人類が知っている限りもっとも激しい爆発だ。その光のエネルギーは銀河系のもっとも明るい部分の1000万倍もある。巨大な星が一生を終えて消滅する際に起こり、あとにはブラックホールが残る。
今回見つかったガンマ線バーストをもとに、イギリスの二つの天文学グループが、生成期における宇宙の様子を推論している。その内容は科学雑誌 Nature に発表された。
ビッグバンがおきたのは137億年前のこと。それから40万年ほどたった時点から宇宙のダークエイジと呼ばれる時期が始まる。この時期、エレクトロンとプロトンが結合して中性子をつくり、それが宇宙に充満していた。この状態の宇宙は密度も高く不透明な状態だった。ダークエイジと名づけられた所以だ。
ビッグバンから8-9億年たった時点で、原子は電化値を帯びるようになった。それと平行して透明な空間が生み出され、今日の宇宙と同じような構成をとるようになった。
今回発見されたガンマ線バーストは、ダークエイジの終息期近くに起きた出来事といえる。その頃すでにこんな爆発の原因となるような巨大な星が存在したことを裏付けるものだ。ちなみに、これまでに発見された最も古いガンマ線バーストは、今回のものから1億5000万年後のものだった。
(参考)Mega-star explosion most distant object ever seen AFP
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