杜甫の七言律詩「促織」(壺齋散人注)
促織甚微細 促織甚だ微細なり
哀音何動人 哀音何ぞ人を動かす
草根吟不穩 草根に吟ずること穩やかならず
床下意相親 床下 意 相親しむ
久客得無淚 久客淚無きを得んや
故妻難及晨 故妻晨に及び難し
悲絲與急管 悲絲と急管と
感激異天真 感激天真に異なり
キリギリスは甚だ微細だが、その哀れな声はなんと人を感動させるものよ、草の根に啼くさまは穏やかならず、床の下に居る姿をみては気持ちの通じ合うのを感ずる
この声を聞いては旅人も涙なしではおられず、残された妻も一人で夜を明かすのがつらいだろう、ゆっくりと啼いてはまたあわただしく鳴き、これがキリギリスの天性とは思われぬほど感激させられる
促織はキリギリスのこと。その泣き声は洋の東西を問わず愛されてきた。微妙な旋律に乗って風の中に響き渡る声が、どこか哀愁を感じさせる。
関連サイト: 杜甫:漢詩の注釈と解説
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