杜甫の七言律詩「秋興其七」(壺齋散人注)
昆明池水漢時功 昆明の池水漢時の功
武帝旌旗在眼中 武帝の旌旗眼中に在り
織女機絲虛月夜 織女の機絲月夜に虛しく
石鯨鱗甲動秋風 石鯨の鱗甲秋風に動く
波漂菰米沈雲黑 波は菰米を漂はせて沈雲黑く
露冷蓮房墜粉紅 露は冷やかしにて蓮房墜粉紅なり
關塞極天唯鳥道 關塞 極天 唯鳥道
江湖滿地一漁翁 江湖 滿地 一漁翁
昆明池は漢代に作られたもの、その折の武帝の旌旗が目に浮かぶようだ、だがいまや織女の石像の糸は月夜に虚しく、石鯨の鱗甲は秋風になびいていることだろう
池の波には菰米の影が漂い、露は冷ややかに赤い蓮の実が落ちる、關塞に隔てられた空には鳥の通い路があるのみ、自分は一漁翁のように江湖に漂泊しているのだ
長安の昆明池によせて、漢の武帝のころの隆盛振りと、現在の都の頽廃振りとを対比させてうたったもの。
武帝は雲南の真池をかたどった池を作り、そこで水戦を習わせた。インド進出に備えたのだという。
関連サイト: 杜甫:漢詩の注釈と解説
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