ブラジルに初の女性大統領が誕生した。有権者の93パーセントが投票した今回の大統領選挙で、与党労働党の女性候補者ディルマ・ルセフDilma Rousseffが、野党社会民主党の候補者ホセ・セラを大差(55%vs45%)で破り、当選したのだ。
これまで一度も選挙の洗礼を受けたことがなく、国民の間では官僚上がりの、有能だが冷酷な政治化とのイメージが強かったルセフ、その彼女が当選したのは、国民の間で圧倒的な人気を誇る現職の大統領ルイス・イナチオ・ルラの全面的な支持があったからだ。
ルラは貧しい人を人並みの生活水準に持ち上げ、国民の多くを中流以上にした実績を買われ、国民の間に圧倒的な人気がある。すでに大統領として二期を勤めているので、憲法の規定によって、今回は立候補できなかったが、もし立候補していたら、圧倒的な支持で三選されただろうといわれている。
こんなこともあって、ルセフ女史は、ルラの威光のおかげで大統領になれたといわれているが、どうしてどうして、決して無能な政治家ではないようだ。
彼女は軍政下にあった60年代を通じて、筋金入りの民主主義活動家であり、軍政府によって3年間も投獄された経緯がある。もともとマルクス主義者として出発したが、官僚を経て政治家になってからは、現実的な視点から、国民生活の向上に努力してきた。
ルラは4年後の大統領選挙には、復活をかけた挑戦を行うと宣言しているが、それまでに、ルセフが国民の強い支持を見方に出来るかどうか、今後の彼女の政治姿勢にかかっている。
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