草野の歌う富士山は、どっしりとたしかな存在感を感じさせる。それは巨大な肉体のようだ。ただそこに静かに横たわっているばかりではなく、幾億年の時空を貫いてうごめいている。
富士山 作品第参
劫初からの。
何億のひるや黒い夜。
大きな時間のガランドウに重たく坐る大肉体。
ああ自分は。
幾度も幾度もの対陣から。
ささやかながら小さな歌を歌ってきた。
しかもその讃嘆の遙かとほくに。
遥かとほくに。
ギーンたる。
不尽(ふじん)の肉体。
厲しい白い大精神。
関連サイト: 草野心平:詩の鑑賞
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