杜甫の七言絶句「江南にて李龜年に逢ふ」(壺齋散人注)
岐王宅裏尋常見 岐王の宅裏尋常に見る
崔九堂前幾度聞 崔九が堂前に幾度か聞きし
正是江南好風景 正に是れ江南の好風景
落花時節又逢君 落花の時節に又君に逢ふ
岐王の宅裏ではいつも君を見たものだった、崔九の堂前では何度君の歌を聞いたことだろう、この素晴らしい江南の風景の中で、落花の時節に再び君に会えるとは思わなかった
大暦(770)杜甫は潭州で李亀年と出会った。李亀年は玄宗皇帝時代に活躍した往年の大スターとでもいうべき楽師。その彼が晩年に落ちぶれて長沙まで流れてきたのだろう。
李亀年は杜甫よりもだいぶ年長だったと思われる。杜甫は少年時代に父親に連れられて李亀年のショーを見に行ったこともあるのだろう。いまこうして僻遠の地ではからずも再会し、互いに過去の思い出にひたりあうのだ。
関連サイト: 杜甫:漢詩の注釈と解説
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