1月25日以来続いていたエジプトの騒乱は、ついにムバラクが大統領を辞任することで一つの大きな節目を迎えた。エジプト国民の大多数はこれを名誉ある革命の成功として受け止めているようだ。
ムバラクはこれまで一貫して大統領職にとどまりエジプトの民主化に携わると言明してきた。だが民衆はこれを容認せず、2月11日の金曜日の礼賛では100万人規模のデモが繰り広げられるなど、事態は窮迫してきた。その11日でさえムバラクは大統領職に座り続けると強気の姿勢を示していたが、ついに辞任を決意せざるを得なくなった背景には、軍部から引導を渡された事態があったようだ。
一端はおさまりつつあるかにみえた民衆の動きだが、グーグルのエジプト代表ゴニム氏が拘束を解かれてデモを指導するようになってから、従前よりも激しさを増すようになっていた。もはやムバラクがやめない限り民衆の動きが収まらないだろうことは誰の目にも明らかだった。ムバラクはそれを読み違えていたのだ。だから彼を辞任させるについては、軍が動かねばならなかったのだと思われる。
ムバラクはとりあえずエジプト国内の保養地シャルムエルシェイクに逃れたようだ。また彼の資産が凍結されたなどという情報も伝えられているが、今のところ身に危険が及ぶなどのさしせまった状態には置かれていないようだ。
今後は軍の最高評議会が大統領権限を行使することになる。最高評議会は今のところ恒久的に統治権を行使する意思は示しておらず、民主化のための礎になるべく努力する姿勢を示している。
民主化の手続きや具体的方向性についてはまだ何も決まってはいない。ムスリム同胞団を中心にした野党勢力や軍部を含めた既成勢力とが妥協を図りながら方向性を模索することになろう。
エジプトが今後どのように進んでいくか、アメリカやイスラエルをはじめ世界中が注目している。(写真はAP提供)
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