蘇軾の七言律詩「江上に山を看る」(壺齋散人注)
船上看山如走馬 船上 山を看れば走馬の如く
倏忽過去数百群 倏忽として過ぎ去ること数百群
前山槎牙忽変態 前山は槎牙として忽ち態を変じ
後嶺雑沓如驚奔 後嶺は雑沓して驚奔するが如し
仰看微徑斜繚繞 仰いで微徑を看れば斜に繚繞し
上有行人高縹渺 上に行人あり高くして縹渺たり
舟中挙手欲與言 舟中 手を挙げて與に言はんと欲すれば
弧帆南去如飛鳥 弧帆 南に去って飛鳥の如し
船の上から両岸の山を見れば、数百という山がすさまじい勢いで去っていく、眼前には入り組んだ山が折り重なり、かと思うと背後に消え去っていく
天上を見上げれば細い道筋が斜めに通じ、そこを歩いている人がはるか彼方に見える、船から手をふって話し掛けようとしても、船は飛鳥の如くに飛び去ってしまうのだ
蘇軾の一行を乗せた船は故郷の眉州を出発した後、岷江を経て長江の本流に入り、東へと下っていく。この詩は重慶を過ぎて山峡へと向かう途中に書かれた。この辺は長江の中でも最も流れが急なところだが、この詩はその様子を生き生きと描き出している。
なおこの船旅は、父蘇洵、弟蘇轍のほかに兄弟の妻たちも同行していた。
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