この絵の構図は、油彩画「雪中の狩人」とよく似ている。前景に丘が描かれ、そこには一仕事終えて麓の村に帰っていく人々がある。麓には広々とした空間が広がり、その先には切り立った山々がそびえる。アルプスの自然とネーデルラントの田園風景を組み合わせた、もっともブリューゲルらしい構図だ。
手前で休息している兵士たちがもっているのは、矛のついた槍、その鋭い切先が百姓たちの杖と反復しあっている。
この絵の最大の特徴は、枝を豊かに張った木を画面の中央にもってきていることだ。ブリューゲルは風景画の中に好んで樹木を加えたが、この絵のように画面の中央に持ってくることは珍しい。
コメントする