西欧諸国の極右政党といえば、かつては反ユダヤ主義(Anti Semitism)で一致していた。ところが最近はうって変わり、親ユダヤ色を打ち出している。オーストリアの極右政党自由党の党首ハインツ・シュトラッヘがイスラエルのシオニズム政党リクードとの連帯を表明しているのを始め、ドイツの自由党、スウェーデンの民主党、ベルギーの超国家主義政党などがイスラエルを訪問して、アラブとの戦いにおける連帯を表明している。
こうした動きの背景には、西洋諸国におけるイスラム人口の増加という事態があるようだ。1990年には2960万だったイスラム人口が、2010年には4410万まで増加し、フランスなどでは全人口の10パーセントを占めるまでになった。
彼らは西欧的な価値体系になかなか溶け込まず、イスラムの流儀を持ち込んで文化的な摩擦を生んでいるほか、ヨーロッパ人の雇用の機会を奪っているといった経済的な摩擦も引き起こしている。
このように急速に増大したイスラム勢力を、ヨーロッパ諸国はいささかもてあまし気味というのが、正直なところのようだ。フランスのサルコジやドイツのメルケルがイスラム人口との文化的・社会的統合に否定的な考えを表明したのも、こうした事情を反映しているのだろう。
実際世論調査の結果を見ても、アンチ・イスラム感情は西欧諸国に広く浸透してきている。極右政党はそうした感情を汲み取って極端な反イスラム主義を持ち出しているわけだ。
その反イスラム主義が何故親ユダヤ主義と結びつくのか、筆者などにはなかなかわからないが、どうやら"敵の敵は味方"といった打算的な考えが反映しているようだ。(写真は極右政党の行進:AFP)
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