毎日新聞モスクワ支局の田中洋之記者が、ロシアの2010年国勢調査の中間結果を、エコノミスト誌上で紹介している。総人口は1億4290万人で、2002年国勢調査より220万人減少した。ロシアの人口は1995年の1億4850万人をピークに減少に転じていたが、その傾向が今でも続いていることを物語っている。
ロシアは州や共和国など83の構成体からなっているが、そのうち人口が増加したのは20、北カフカスなど周縁部の民族共和国が目立つという、一方首都モスクワが2002年比11パーセント増の1150万人を記録するなど、都市部の人口は全体の73パーセント以上を占め、その反動で、地方の人口密度はいっそう希薄化した。
性別の内訳を見ると、男性が6620万人(46.3パーセント)、女性が7670万人(53.7パーセント)、男性の割合が極端に低い。これにはロシア特有の事情が働いていると推測できる。ロシア人の男は昔から大酒のみが多く、肝硬変で若死にするものが後を絶たないというのだ。
人口の減少は当然、国力を低下させるというので、プーチン政権はこれを「国家の危機」と位置づけ、さまざまな対策を打ってきた。
もっとも効果があったのは、第二子以降の出産に特別手当を支給するというものだ。それも一人につき34万ルーブリ(約100万円相当)というから半端ではない。その効果があってか、一時は人口減少のスピードが弱まったかに思われた。
もっともそれは1980年台に生まれた第二次ベビーブーマーが出産適齢期にさしかかったことも幸いしていたといわれ、今後、ソ連崩壊後の世代が中心となるにしたがって、出産数の伸びも期待できないという。
こうした傾向を踏まえ、国連はロシアの人口が2050年には1億1600万人まで落ち込むと予想している。
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