蘇軾の七言絶句「夜西湖に泛ぶ五絶其四」(壺齋散人注)
菇蒲無邊水茫茫 菇蒲無邊水茫茫たり
荷花夜開風露香 荷花夜開いて風露香し
漸見燈明出遠寺 漸く燈明の遠寺を出づるを見る
更待月黑看湖光 更に月の黑きを待ちて湖光を看ん
ガマの類いが一面に生い茂り水面が果てしなく広がっている、蓮の花が夜開いて風露が芳しい香りをたてる中、遠きにある寺から不思議な灯りが漂ってきた、今度は月のない夜に来てこの怪しい灯りを見ることとしよう
西湖はその名の通り、杭州の市街の西側にある。中国では多くの都市に西湖という名の湖があるが、単に西湖といえば杭州の西湖をさすほど、杭州とは切っても切れない縁がある。
蘇軾はこの湖をこよなく愛し、知事として二度目に赴任した際には、後に蘇堤と呼ばれる堤を整備した。
この詩は西湖の夕景を歌ったもの。第三句(転句)にある灯明とは、西湖の水面に浮かぶ不思議な光をさす、夏の夜に見られるという。
関連記事:漢詩と中国文化
コメントする