1990年代前半のボスニア・ヘルツェゴヴィナ内戦で、多くの人々を虐殺した戦犯として旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷から訴追されていた当時のセルビア人武装勢力指導者ラトコ・ムラディッチが、15年の逃亡の果てに逮捕された。
ムラディッチは旧ユーゴスラビアの解体にさいして、ボスニア・ヘルツェゴヴィナが独立宣言すると、セルビア人武装組織の責任者として、ボスニア内戦を戦い、1992年から95年にかけてのサラエヴォ包囲や、1995年にスレブレニツァおきたボスニア人大虐殺などを指揮し、1万人以上のボスニア人を殺した責任を問われ、ジェノサイド、戦争犯罪、人道に対する罪などの容疑で起訴されていた。
逮捕当時、ムラディッチはセルビア北部のラザレボ村に潜伏していた。変装などはしていなかったが、偽名を使い人目を忍んで暮らしていたようだという。
ムラディッチとともに、国際戦犯法廷から訴追されていたラドバン・カラジッチはすでに2008年に逮捕されている。これで旧ユーゴスラビアの解体を背景にした人類史上最も残酷なホロコーストといわれる民族浄化の責任者が、二人とも逮捕されたことになる。