6月10日に中国・広州近郊の新塘で起きた大規模暴動は、12日まで3日連続で続き、14日現在も戒厳態勢が敷かれている模様だ。治安当局は大量の要員を投入して鎮圧に当たっているが、民衆の不満はなかなか収まりそうもないという。
暴動のきっかけは、四川省から来た妊娠中の露天商女性に治安要員が暴力を振るったことだった。怒った同省出身の民工たちがこれに抗議、騒ぎは瞬く間に広がった。新塘には四川から来た出稼ぎ労働者が10万人いるといわれ、これらの人々が次々と加わって、収拾がつかなくなったというわけだ。
暴動は偶発的な出来事をきっかけに自然発生的におきたもので、組織されている形跡はない。しかし根が浅いというわけでもない。
暴動の背景にあるのは、中国社会に広がる一方の格差だ。一方では何百万円もする高級車を乗り回しているものがいれば、他方では低賃金にあえぐ出稼ぎ労働者がいる。しかも近年はインフレが進行し、豚肉などの食料品をはじめ日常生活用品が値上がりし、庶民の暮らしはますます苦しくなるばかり。
そんな不満が、共産党政府に次第に向けられることになって、中国国内では各地に暴動の火種がくすぶっているとみられる。
先日は内モンゴル地区で、遊牧民がトラックにはねられたことがきっかけになって、大規模な暴動が起きたばかりだ。きっかけは違うが、体制に対する民衆の不満が底にあることでは、共通している。
中東のジャスミン革命の風は、弱いながら中国にも吹き寄せている。今のところそれは、大きな広がりを示していないが、民主化に向かう動きは、何時大きな潮流となって、中国の広い範囲に広がらないとも限らない。
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